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サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の建築計画を進めるためには、その施設方針を明確にする必要があります。
施設方針によって、建築計画の考え方が全く異なるものになります。
建築計画の違いは、施設の運営効率や入居者募集戦略にも影響を及ぼしますので、大変重要な検討項目になります。
今回は2つの事例での考え方を比較してみます。
(1)ご入居者様とスタッフの動線の考え方
(2)リビングスペースの考え方
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(1)ご入居者様とスタッフの動線の考え方
スタッフの動きをなるべく見せないように、入居者エリアとスタッフエリアを極力分けるように配置計画を考えるパターンと、ある程度スタッフの動きを見えるようにして、施設内を賑やかな雰囲気にしようとする考え方です。
前者のエリアを極力分ける施設は、比較的元気な高齢者を対象とした施設に多く見られます。
日常の生活感を大事にして、スタッフは裏方という位置づけにする考え方です。
施設ではなく、「住まい」という印象を大事にする施設になります。
ただし、エリアを分けようとするとスタッフ用の動線(通路)などを設ける必要が生じるため、後者に比べ共用部の面積が大きくなってしまいます。
限られた面積の中で、より多くの居室を用意しようとすると動線(通路)を兼用する後者の考え方になってしまいます。
逆に、ある程度は動線を交差させ施設内をスタッフが動いている様子を見せるようにすることで、施設の印象として安心感や賑やかさを出すことも考え方のひとつです。
(2)リビングスペースの考え方
何室かの居室ごとにリビングスペース(ダイニングスペース)を設けますが、その位置をどうするか、利用形態をどのように想定するかです。
これまでに多く供給されてきた要介護者向けの施設では、まず陽当たりや眺望などの条件が良い位置には居室を配置し、リビングスペースは北側などの、あまり条件の良くない位置に配置することが多いように思います。
一方で、各居室を寝室、共用のリビングスペースを住まいのなかでリビングルームと考えると、陽当たりや眺望の条件が一番良い位置に配置するという考え方もあります。
一般の住宅の間取りを考えた場合、リビングは南側、寝室は北側という考え方と同じで、20室に一ヶ所のリビングスペースだとすると20LDKという考え方です。
日中はなるべく居室から出ていただき、より活動的に過ごして欲しいという考え方の施設では、リビングスペースを優先することがあります。
また、リビングスペースの利用想定も、食事をするだけでなく、寛げるような家具を置くなどの工夫をすることで、より居室から出やすい環境をつくることも効果的になります。
今回は、動線とリビングスペースの考え方を例として取り上げましたが、その他にエントランススペースや浴室廻り、事務所の開放性なども施設の方針により計画内容に違いが生じます。施設の方針を明確にして、入居者層の想定、入居を検討している方が何を望むのか、募集の際のアピールポイントは何かなどに一貫性があり、その内容が計画に反映されていることが重要です。
例えば、入居を検討している方が施設見学に来られた際に、何(どこ)を見ていただき、何を施設の特徴として案内するかということです。
プラスPMでは、コンストラクション・マネジメントとして建築のマネジメントだけではなく、商品企画の支援も含めたプロジェクト・マネジメントとして、サ高住の開発の支援もさせていただいております。
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