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2010年の後半頃に底値だった建設コストは東日本大震災以降、高騰し続け、現時点で2010年と比較して30%ほど上昇しています。
但し、2008年のリーマンショック前の建設費と比べると、14%ほどのUP率なので、4年前が異常に低すぎたと言えます。(建設物価調査会による資材価格及び日本経済新聞による労務費データを分析)
昨今は短期間に建設市場価格、とりわけ労務費が変動しています。事業構想段階の投資金額の見直しを設計段階で適宜行わずに競争入札を実行した結果、建設費高騰の現実を目の当たりにし、事業がスタートできずに暗礁に乗り上げる案件が増えています。
では、事業構想から着工までの間にどのタイミングで予算をチェックすればよいのでしょうか。
①事業構想段階では、規模やグレードの異なるプランを数通り検討する場合、プランごとにコストシミュレーションを行い、方針決定の根拠にします。
計画概要がこの段階では大雑把でも、仮に面積と仕様、グレードを想定し、精度を高めた概算を算出します。設計段階での仕様決定時に当初予算と比較し、いくらのコストUPなのか明確にするためです。
②設計段階ではプランの大枠が決まった状態でスタートしますが、プラン変更の都度コストチェックを行います。
床面積が増える、階数が変わる、設備方式や仕様、仕上げが大幅にグレードUPする、などの変更案ごとにチェックを行います。
変更の費用対効果を検証して初めて変更の意思決定を行います。基本設計段階(設計の初期段階)ならまだまだ見直しは可能なので、実施設計(詳細設計)に入るまえのコストシミュレーションが最も重要になります。これを怠ると、入札後の大幅な設計変更は、多大な時間とコストの無駄が発生します。
③発注段階では予めコスト削減案を抽出し、採否の決定をしておきます。
入札(若しくは見積り提出)後、予算に収まらない場合、慌てて善後策を検討していては事業の進捗が遅れます。
④工事期間中は何かと変更が発生するものです。
設計段階でしっかり詰めていたつもりでも検討漏れがありますので、発注段階で検討したコスト削減案をストックしておけば、工事中にやむを得ない追加工事が発生した時の原資として有効に利用できます。
プロジェクトチーム(発注者・設計者・施工者)内のコストに対する認識のずれは実務の中で最もエラーを起こしやすく、またそれらは先を読んだ準備や調整によって回避される場合が多くあります。
弊社ではプロジェエクトの初期段階からのマネジメントを行っておりますが、途中段階からご相談をいただくこともあります。コストに関するお悩みはいつでもご相談ください。
当社コンサルタントによる初期ヒアリングは無料です。まずはお客様のご要望をおうかがいいたします。