コンストラクション・マネジメント 株式会社プラスPM

#01豊かさの本質を見つめる

食品工場建設プロジェクトが育てる
未来のリーダー

  • 株式会社S.P.M
    代表取締役社長
    村上 三平
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  • 株式会社プラスPM
    代表取締役社長
    木村 讓二
村上 三平×木村 讓二

新規の工場建設は大きな投資が伴うプロジェクトであり、そのリーダーには重責が課せられる一方、企業にとって、会社の将来を担う幹部社員を育てる絶好の機会ともなります。食品メーカー出身のコンサルタントとして数々の工場プロジェクトに携わってきたS.P.Mの村上三平社長に、リーダー育成のポイントをお話しいただくとともに、当社社長木村讓二が持論を展開します。さまざまな分野の最先端をいく企業経営者をお迎えし、語り合う対談シリーズ第1段。

Profile

株式会社S.P.M
代表取締役社長
村上 三平

鐘紡(株)に入社。生産技術研究所、食品研究所、技術管理本部、研究管理本部、新規事業開発部を経て、クラシエホールディングス(株)(旧カネボウ(株))CPO(最高生産責任者)兼クラシエフーズ(株)専務執行役員を歴任。2011年に生産改善コンサルティングファーム(株)S.P.Mを設立し代表取締役社長に就任。食品製造企業を中心に品質保証システム構築、TPSモデルを適用した生産効率改善、欠品なき在庫削減の実現に向けたプロジェクトを数多く手掛ける。

株式会社S.P.M 代表取締役社長 村上 三平
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株式会社プラスPM
代表取締役社長
木村讓二

1986年(株)プラスPM創業、創業当時は設計事務所として活動。1997年にプロジェクト全般に関わることを目的にCM会社へ転換。お客様目線、更に経営者目線でのプロジェクト推進を理念に掲げる独立系CM会社であり、施設運営に踏み込んだマネジメントを強みとする。また、京セラ創業者の稲盛和夫氏から20年以上にわたり、フィロソフィーを学び人財育成に活かしている。2013年、マレーシアにPlus PM Consultant Sdn.Bhdを創業。アセアン諸国、東ヨーロッパのプロジェクトも手掛ける。

株式会社プラスPM 代表取締役社長 木村 讓二

「磨けば光る玉」をOJTで輝かせる中小企業

木村村上さんは、大企業の生産部門の担当役員としてご活躍でしたが、コンサルタントとして独立されてからは、中小企業の経営者からの相談が多いと思います。どの経営者にとっても、次世代リーダーの育成は最重要課題でしょう。大企業と中小企業のリーダー育成について、感じていることをお聞かせください。

村上様 ※以下、敬称略
大企業は人材育成のカリキュラムを整備しています。新入社員教育に始まり、3年次、5年次など様子を見ながら教育の仕方を変えていくこともある。そして最も重視されるのが、係長、課長、部長など「長」になるときの研修です。国内外への留学制度なども充実していますね。

これに対し、売上50億円程度の食品系企業の場合、ほとんどが1週間程度の現場実習をするくらいで、人材育成制度は整っていません。やはり圧倒的に教育を受ける機会は少ないのが実情です。

しかし、中小企業にも、「磨けば光る玉」のような人材は一定の割合でいるはずです。問題は、その個人の資質を伸ばす仕組みを持っているかどうか。つまり、OJTでどれだけ生きた教育をするかにかかっていると思います。人材層が厚いことにあぐらをかいていれば大企業でも人材は育たないし、少ない人材をどう生かすかを懸命に考えている中小企業は伸びていきますね。

プロジェクトリーダーへ伝える3つのこと

木村新工場建設は、まさにOJTでリーダーを育てる最高の機会ですね。建設プロジェクトのリーダーには、どのようなことを伝えていますか?

村上私自身が前職で国内外の食品工場を手がけてきた経験から、次の3つのことを伝えています。

まず1つ目は、「工場建設は技術者として総合的なスキルを身につける絶好のチャンスだ」ということ。リーダーはメンバーを動かしていくうえで、現状の課題を俯瞰して考える「課題の整理力」、同業他社や他業種を比較分析するための「情報の収集力」、すべての設計仕様を緻密に見ていく「MECE[ミーシー](Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive=モレなくダブりなく)な構想力」を身につける必要があります。

加えて、生産立ち上げでは「調整能力」も磨かれます。旧工場の設備を新工場へ移設しただけなのにうまく稼働しない、といったことは日常茶飯事。期日に間に合わせるには、さまざまな工種の建設・設備業者間の調整も必要です。

そして最後には「検収」が待っています。工場が仕様どおりにできているか、責任をもって確認する。これも得難い経験になるでしょう。

木村1つのプロジェクトでビジネスの基本をまとめて学べるわけですね。

村上リーダーに伝えることの2番目は、「工場建設プロジェクトには3つの制約がある」ということです。第1の制約は予算・面積・納期の縛り。第2の制約は目標原価や品質保証、技術の縛り。新工場の減価償却費が乗っても利益を圧迫しないように、生産性でカバーしなくてはいけない。そして第3の制約が人材の縛り。チームの全員が最初からリーダーの意のままに動いてくれるとは限りませんからね。

木村リーダーはそうした障壁を乗り越えてこそ成長するのでしょうね。私たちCM会社のスタッフも、プロジェクトをマネジメントする立場として、お客さまの予算や納期を守ることは絶対です。予算内で建設会社を選び、発注して完成まで持っていくのは非常に責任の重い仕事ですが、その難しいことをやってもらわなければ人は育たないと思います。

村上そのとおりですね。私が伝えることの3つ目は、「10年後に自分が建設した工場の工場長になったとき、後悔しない工場にしてください」ということです。最新鋭の設備でも、時がたてば陳腐化します。だからこそ必要なのは、目先の設備や技術だけではなく、「こういう工場であるべき」というコンセプトを持った工場づくりが必要です。

例えば、私が最近係わった工場建設のリーダーは「安全・安心で、モノが滞らない工場にしたい」というシンプルなコンセプトを掲げました。難しいことを言わなくともいい。コンセプトがあれば迷ったら常にここへ立ち戻り、軌道修正していけばいい。そこが重要です。

木村新工場建設には多大な投資が伴いますから、求められる成果も大きいはずです。業績貢献については、プロジェクトリーダーにどこまで求めるのでしょうか。

村上通常は建設予算、竣工日時や原価管理、品質保証管理などの「目標管理値」を策定し、プロジェクトリーダーにはその範囲での達成を課します。業績貢献の責任を100%負わせるのは重すぎますからね。

木村そうでしょうね。リーダーを引き受ける人がいなくなってしまいます。

村上工場建設を人材育成の機会として捉えれば、重要なのは、プロジェクトリーダーがプロセスをきちんと管理できたかどうか。つまり、問題は常に発生するわけで、そのときに「そのリスクを最小化するためにどんな手段を講じたか」で評価することだと思います。

「I made it!」と言える自信がやる気につながる

木村私はリーダーの役割とは、ひと言で表現すれば「成果をつくること」だと考えています。これは一人でできることではありませんから、正確に言うと「成果を出せる組織をつくること」です。

そのために必要なのが「ビジョンを示し、方向づけをすること」、「メンバーのモチベーションを上げること」、そして「メンバーが成長する環境を整えること」。現状と目標のギャップをどう埋めていくかを本人と話し合い、プロセスを共有して日々管理していくことが大事ではないかと思います。

私は、部下を育てるための「やる気の方程式」を持っています。それは、Will(やりたい)、Must(やらなければいけない)、Can(できる) の3つが交わる仕事をやってもらい、少しずつハードルを上げていくこと。それが最高の成果に繋がると思うのです。中小企業では人材の厚みに限界がありますが、常にこの方程式を意識して会社を運営しています。


村上同感ですね。「やる気は自信から生まれる」というのが私の信条です。言い換えれば、「I made it!(それは私が作りました!)」と言える人間を育てる。実は、これは私がかつての上司から問いかけられ、部下にも問いかけてきた言葉です。

メーカー時代、私は化学屋さんが開発した試作品を生産ラインに落とし込む部門を担当していました。もちろん製品が出来上がるまでにはたくさんの人が関わっており、自分一人で作ったわけではありません。それでも「これは私が作りました」と言い切れるかどうか。そのためには、誰もが「あなたがいなければ、この製品はできなかった」と認めてくれるような実力をつけなければいけない。努力を重ねて手に入れた「I made it!」なら、それが自信になるし、モチベーションにもなる。「出る杭は打たれても、出過ぎた杭は打たれない」ということです。

同時に、リーダーとしてチームのモチベーションを高める上では、メンバーの能力をきちんと評価し、任せることが重要です。褒められたときに自分の手柄にするようではダメで、部下を前に出す。山本五十六の格言「やってみせ、言って聞かせてさせてみせ、褒めてやらねば人は動かじ」のとおりで、私はこれを「山本力」と呼んでいます(笑)。

木村当社の社員には「仕事は一人でするな、チームですること」と、いつも伝えています。そのためには情報共有が必須です。技術の会社ですから、新技術を習得した場合にはただちに全社のビジネスチャットに情報を上げることを義務づけています。チームで仕事をすることが結局は顧客満足につながり、ひいては会社の業績向上にもつながると思っています。

中小企業はDXで特徴を打ち出せ!

木村私は、未来の食品産業に大変興味を持っています。子どものころ、食事は母親が作るのが当たり前で、外食などめったにありませんでしたが、最近は夫婦共働きが増え、家では食事を作らない家庭もあると聞きます。また、コロナ禍の今、料理の宅配需要も急伸するなど、食文化はどんどん変化している。

また、サプライチェーンも様変わりしています。日本で獲った海産物をインドネシアで加工し、日本へ再輸入するということも珍しくありません。そこへDX(デジタルトランスフォーメーション)も入ってきて、さらに変革の機運が高まっています。村上さんは、これからの食品産業がどうなると予測されますか?

村上20年ほど前までは、労働力の安い中国で製品を作り日本で売るのが主流でしたが、経済力をつけた中国は「世界の工場」ではなくなりました。インドネシアやベトナムなどもいずれは同じ道をたどるでしょう。日本の製造業は技術でも追いつかれ、高品質な海外製品に押されて衰退しないとも限りません。

しかし、食品産業は電気産業などの工業品とは違い、天然の材料を使います。特に生鮮品であれば、保存技術も必要だし、輸送時間や配送費用も考慮する必要があり、すべてが海外からの輸入品になってしまうとは考えにくい。国内生産のものと、海外と連携して生産するものに二分化するのではないかと見ています。

ただ、それだけでやっていける保証はありません。日本も中国のように、何らかの面で「世界の工場」を担う戦略もあり得るでしょう。安く作るということではなく、例えば日本でしかできない加工技術など特徴を打ち出していけば、世界の中の一生産拠点として生きる道は拓けると思います。


木村食品産業のDXについては、どのような展開が予想されるでしょうか。

村上事業のデジタル化で既に進んでいるのが単品別原価管理システムですね。ただ現在中小のメーカーでの生産原価システムは、パッケージソフトを購入してアナログで収集したデータを入力している状態です。将来はDXが推進されAIやIoTも組み込まれ、すべてがネットワーク化されるでしょう。今の子どもは小さいころからゲームで遊び、情報はインターネットで入手していますから、そうしたシステムを使いこなす人材は豊富。むしろ、中小企業こそそういう人材を生かせる工場をつくらなければいけない。そうすれば、それぞれの企業の特徴や強みを打ち出す方向へシフトできるでしょう。電気自動車が全くの異業種からでも開発可能になったように、大企業と特徴のある中小企業の棲み分けが進むかもしれません。

木村消費行動が多様化し、DXの進展などによって生産現場がどんどん変わるこれからの時代には、どのようなリーダーが求められるでしょうか?

村上どんなに世の中が変化しても、リーダーに求められる本質的な資質は変わらないのではないか、と私は思います。

昔も今も将来も大切なのは、知的好奇心を持ち続けること。リーダーにふさわしい人とは、新しい知識を貪欲に身につけていくと同時に、安易に納得せずにとことん調べ、自分で考え行動できる人(セルフモーターの付いた人)です。また、幅広い人的ネットワークも重要ですから、個人の努力だけでなく外部の人脈を作れる仕組みを会社が用意してあげるフォローも、企業側として必要となってくるでしょう。

注意が必要なのは、リーダーが過去の成功体験に固執して、チームメンバーの挑戦を阻害してしまうことです。登る山さえ間違っていなければ、登頂ルートは一つではありません。リーダーには、メンバーの登ろうとしている山が正しいかを見極める知見と、別ルートからの登山を許容する胆力が必要です。

突出したエキスパート集団・プラスPMへの期待

木村当社は村上さんのご指導のもと、次々に食品関連工場のプロジェクトを立ち上げています。当社に期待されることをお聞かせください。

村上昔は、大企業はどこも工場建設を担う専門の部署を自前で持っていました。しかし、もはやそんな時代ではありません。そうなると、プラスPMのようなCM(コンストラクションマネジメント)を専門とする会社が必然的に求められていくでしょう。

ただ、CM会社は急増しており、競争が激化しています。生き残っていくためには、相手の気持ちになって考えることのできるCMr(コンストラクションマネジャー)をどれだけ抱えているかが勝負です。私自身、「メーカー出身のコンサルタント」であるからこそ、顧客の気持ちが分かると自負しています。

ベーシックな部分をしっかり押さえたうえで、突出したエキスパートのいるCM会社は、多くの企業にとって頼れる存在のはず。プラスPMには、そんな会社であることを期待しています。


木村今日は大変参考になるお話をいただき、ありがとうございました。


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