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医療経営

医療現場におけるAI/IoTの活用事例

技術発展が目覚ましい昨今、人工知能(AI)や「(医療)機器のインターネット(Internet of (Medical) Things (=IoT/IoMT)」が実際の医療の現場にも浸透し始めています。ここでは、最新の活用事例についてご紹介します。

AI

自動問診

患者の状態に関する質問の回答から病名を診断します。問診情報をもとに確率を出す統計学的手法によって、因果関係がありそうな情報を検証し、仮説の中から可能性を絞りこみます。
問診システムを導入している東京都江戸川区の目々澤醫院では、問診にかかる時間を約3分の1に短縮できたそうです。
ただし、職業や家族関係などの付帯情報や経験則からも推測できる、経験豊富で直感に優れた医師に比べると精度はまだ低いようです。

画像診断

MRI、CT、レントゲン、超音波、内視鏡、病理組織など、各種画像データから異常を発見し診断します。
がんなど、一部の病変の発見精度は専門医をすでに上回っています。年間3000万人の糖尿病患者がいる米国では、IDx社開発のシステムで、眼底写真を撮影し、糖尿病特有の病変を高精度で認識するAIも登場しました。糖尿病網膜症の早期発見に一役買っています。

余命予測

患者とカルテのデータから余命を予測します。
米国スタンフォード大学の研究プロジェクトは1995年から2014年までの200万人の患者の基礎データに加え、病歴・家族の病歴・喫煙歴・薬の効きやすさ等の因子から、90%の精度で数ヶ月単位の余命予測を可能にしました。人生100年時代において、高精度の余命予測は余生のQOLを向上させます。

会話ロボット

可愛らしい造形で対話能力に長け、患者のコミュニケーションを円滑にします。
富士ソフト社が開発したPALROは、発言のない人物に発言を促したり、発言数の多い人物の発言を抑制するなど、円満な司会進行も実現します。
体操やダンスなど、リハビリテーションへの活用で癒し効果やセラピー効果も期待され、高齢者施設や介護施設等で導入されています。

IoT

生体データ測定

体温、脈拍、血圧、排尿などのバイタルデータをリアルタイムに送信し、スイッチのON/OFFなどの機器動作を制御します。
各種ウェアラブルデバイスで患者の生体情報を自動計測することで、疾患の早期発見や早期治療に役立ちます。

服薬確認

患者の定期的な服薬を確認し、薬の飲み忘れや過剰摂取等の服薬エラーを防止します。結核など、服薬の重要性の高い疾患でより効果的です。
スマートフォンのカメラで顔、薬、服薬の場面を撮影し、データを送信するシステムで、患者の顔色認識により治療の進行度まで判断できます。保険制度の制約が大きい米国で、DOTS(直接服薬確認療法)遵守の必要性から導入されています。

遠隔診断

患者の状態を眼鏡のカメラから映像を送信し、遠隔地から専門医が診断できるようにします。テキスト通信の情報不足を補い、専門医による再診の必要性を減らします。

まとめ

逼迫する現場の医師に代わり、日々進化するAIはもはや単一的診断だけでなく、最新情報や医学知識を常時更新し、複数の患者情報から総合的診断を下すことすら可能になりました。
またIoTは、2020年からサービスが開始される5G(第5世代移動通信システム)によって通信速度が飛躍的に上がり、スマートフォンを基幹とする医療データの送受信システムも普及するでしょう。

昨年、厚生労働省と経済産業省、文部科学省は「AI病院」を産官学一体となって設立する方針を示しました。
利便性が高い一方で、インターネット接続を前提とするAI/IoTは常にセキュリティリスクが付き物であり、またAIの機械学習に対して敵対的攻撃が可能とする最近の報告もあります。

現状ではAI/IoTのこうした脆弱性にも留意しつつ、現場での活用を検討されるとよいと思われます。


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