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医療経営病院建設

綿密な諸室計画で働きやすい病院を実現!医師・看護士が集まる病院づくり

いよいよ2024年4月から「勤務医の時間外労働時間を原則として年間960時間まで」とする医師の時間外・休日労働上限規制、いわゆる「医師の働き方改革」がスタートします。すでにこれまでも、少子高齢化や医学部の定員抑制などにより医師不足が深刻化していました。

しかし、今後は比較的医師が集まりやすいとされていた大・中都市圏や地方都市圏においても医師・看護師不足に悩まされる病院が増えていく可能性があります。

今後、病院計画を行う際には、提言に沿った施設整備を行うことが非常に重要です。職員確保に有効なことはもちろん、補助の対象となり運営に寄与する可能性もあります。
今回は、職員の雇用が順調で離職者が少ない、いわゆる「働きやすい病院」を目指す施設整備にて、どのような工夫ができるのかご紹介したいと思います。

病院の建て替え、再整備を機に「働きやすい病院」の実現を目指している法人様はぜひプラスPMにご相談ください

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医師・看護師が集まる魅力的な病院の条件とは

医師不足の解消や良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保に向けて、厚生労働省のワーキンググループなどでは、以下のような案が議論されています。

  1. タスクシフティング・シェアリングの推進: 医師が行っていた一部の業務を他職種の医療従事者に引き受けさせることで、医師の負担を減らし、医療提供の効率化を図る
  2. キャリア形成プログラム: 医師教育やスキルアップ機会の提供で、若手医師の成長と定着を促進し、人手不足が予想される地域への医師配置を期待
  3. 福利厚生の充実: 院内保育などの福利厚生施策を導入し、医師が家庭との両立をしやすくすることで、長期的なキャリア形成を支援

タスクシフティングに取り組みやすい病院とは

スタッフコモンズ

タスクシフトをするためには様々な職種の職員間で連携が円滑であることが重要です。患者対応の現場やその前後のカンファレンスだけでは意思疎通は不十分かもしれません。普段から様々な職種の方が会話や情報共有できるスペースを物理的に設ける病院が増えてきています。
スタッフコモンズとは、そうしたフリースペースとして設けられ、挨拶程度の軽いコミュ二ケーションからちょっとした勉強会まで行える空間です。吹き抜けに面して階段を併設することで、普段は働いている階が違うため交流のないスタッフ同士がすれちがうといった工夫をしている事例もあります。また、ソファーセットや自由に使えるテーブルなどを配置することで、自然にミーティングを行えるように工夫をしているケースもあります。

2.jpg医師・看護師などスタッフが憩い、交流できるスタッフコモンズ

コメディカルスタッフやクラークの働き場所の想定

タスクシフトを円滑にするには、医師から看護師や技師への業務移譲のみでは不十分です。医療事務作業補助や病棟クラークといったサポート人材が働きやすいスペースの確保も求められます。
病棟内では以前からスタッフステーション内に作業スペースが設けられていましたが、外来診療部門でも医師や看護師のサポートとして活動する場面が増えてきており、ブロック受付や診察室の診察机に近接して作業スペースを設けるなど、診療に近い位置での計画が増えています。

看護師の居場所の設置(特定看護師など)

タスクシフトされる側が対応できるように、看護師の居場所の確保が今後必要になってきます。認定看護師や専門看護師のための外来診察室は従来も設置されていました。今後はそれに加え、一定の医療行為を行う特定看護師が働きやすい環境となるように、指導室やカンファ室などが居場所として診療部門近くに必要となってきます。
これらスタッフの居場所が共有スペースとつながり、チーム医療の推進が目に見える病院が求められています。

福利厚生の充実

医師、看護師という長時間勤務、夜間休日勤務のある職業において、場合によっては自宅よりも長い時間を過ごす場所が病院です。そこで重要となるのは、働く人々のための設備の充実です。
ある院長からは「アグレッシブな福利厚生」として、職員が夕飯の献立を考えられるように野菜を売るスペースを誘致しようという提案まで出たことがあります。
職員一人ひとりの生活を考え、福利厚生の充実を重視する病院が増えています。

当直室・仮眠室

当直室は1室が小さいためか計画段階では話題になりにくい部屋の1つです。一方で、完成後に使い勝手のクレームが発生しやすい部屋でもあります。
男女別にするか、職種で区別して分散させるか、逆にユニバーサルな当直室を1箇所に集中させるかなどの運営的な方針から、ベッド以外に何を備え付けるか、一足制とするかなど設計的な視点まで、大小様々な選択肢があります。
シャワーや洗面スペースが明るく清潔に保たれていることはもちろんですが、遮音性や入退室時の気配を感じにくい配置など勘所が多い部屋になります。

以前は、ストレスフルな医療現場と切り離せるリフレッシュ可能な場所が求められるケースが多かったのですが、最近は電子カルテを閲覧でき軽作業が行えるスペースを当直室内に設ける事例もあります。ちょっとした仕事を持ち込むことができるようにすることで、完全に作業を終えてからしか就業エリアを離れられなかった以前より、結果、早めに当直室に向かいやすくなったという感想をいただいています。

病棟休憩室

特に患者さんと長い時間を過ごす病棟スタッフに向け、仮眠・休憩を取れる病棟休憩室を設置することもポイントです。病棟内に患者さんの目から隔離され、休憩に適した設えがあれば、トラブル時には即座に対応できる距離でも十分に休息をとることが可能となります。
最近では感染症対策として1室で必要人数が入れる広さを確保しつつ、パーテーションなどで仕切れる作りが求められています。洗い物ができる流し台や冷蔵庫、電子レンジなど設備面の対応に加え、換気のしやすさから窓の設置が話題に上がるようになりました。採光や通風をうまく取り入れ、過ごしやすい休憩室を重視する事例も多くなってきています。

職員食堂

職員食堂は、一定規模以上の病院では、職員アメニティ上ほぼ必須となっているのではないかと思います。最上階や景色の良い場所に配置し、窓を大きくとることで解放感を演出したり、屋外デッキを併設するなどにより、リフレッシュスペースとして活用している病院もあります。

建設費用を抑えるためにレストランと一体とするケースも多々ありますが、その場合も一般利用者と食事スペースを分けるだけでなく、食堂までの廊下や入口を分け、職員専用の空間とするひと工夫で大きくアメニティの向上となります。また、大きなスペースを要する催し物の開催時などに利用できるように、多目的スペースなどを隣接させ、普段は移動可能な間仕切りで分けることで、大空間としての利用もできるようにしてある病院もあります。

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パウダールーム

急な出勤時や、終業後に外出の予定がある場合など、院内で身だしなみを整えておきたい場面は多くあります。更衣室内にパウダールームを設けることは、院外での生活とのスムーズな連続に寄与するだけでなく、職員の身だしなみが整うことによる院内パフォーマンスの向上にもつながります。
姿見鏡やフェイスライトを設けるなど、設備にも配慮された事例が多数あります。更衣室のロッカーは、コートやブーツが収納できる高さのものにするなど、ちょっとした違いでも職員の満足度が変わります。見て違いが分かる職員施設は、リクルート面でのアピールにも有効です。

託児所・保育所の併設

育児中の職員にとって、保育施設に関連する福利厚生は非常に人気です。保育施設の利用料が低額な場合、育児中のスタッフにとって大きなメリットとなります。病院内に保育施設を設け、離職の抑制につなげようとする病院も増えています。
院内保育所の運営に補助金を出す自治体もありますので、計画段階で自治体への確認をしてはいかがでしょうか。病院内に保育施設がない場合でも、周辺の保育施設の利用料を補助することは、従業員にとって魅力的な要素です。育児と仕事を両立させたいと考えている求職者も増えているため、保育施設に関連した福利厚生を検討することは重要です。

マザーズルーム

働きやすい環境とするためにはライフイベントによる一時的な離職を許容し、復帰のしやすい環境にすることも大切です。近年は産後復帰直後の職員用にマザーズルームを設置する病院も出てきました。産後の搾乳スペースや産前のちょっとした休憩などの際にも利用できる多目的な使い方が模索されています。

産後復帰に配慮することは、医療従事者以外でも、事務職やコメディカルスタッフに対しても重要です。

キャリアアップや自己研鑽

医師の長時間労働の原因に、多様化する医療ニーズへの対応やキャリア・スキルアップのための研鑽も挙げられています。これらは時間を短くしたり、内容を希薄にすることでの対応では解決できません。いかにストレス無くこれらの職務に当たれるかを考える必要があります。
ソフト面での援助や研修の仕組みは提言がいくつもされているため、今後はハード面でもこれらの仕組みにうまく合致できるように対応していくことが必要です。

学習室

自己研鑽のためのスペースとして、図書室と併せ学習室の設置を検討する病院があります。落ち着いて1人になれるスペースや、長時間の座学がしやすい家具など、医局や休憩室の机とは違った環境の創出を目的に学習空間を設けます。紙ベースの学習器材だけでなくPC操作や動画閲覧などでの研修システムもあり、これらに対応できる設備も備えていく必要性が出てくるものと思われます。

他施設との連携

スキルアップには、外部の大学や地域病院との交流・連携も大切です。医療情報や経験の共有は今後より一層重要となってきます。院内で勉強会が開催できるスペースを持つことで、外部の方も訪れやすくなります。また、利用しやすい場所にカンファ室を設置したり、WEB会議を想定したWEBブースの設置なども見られます。

WEB配信が今後重要になると判断し、大規模な会議を行う講堂を作らず、WEB会議が行える中・小規模の会議スペースをより充実させた病院もあります。

医学生や研修生の受け入れ

長期間の医学生や看護学生の受け入れをする病院の場合、当直室とは別に宿泊施設を設けることもあります。近くにアパートを借りるのとは違い、宿泊施設内に学生同士でディスカッションできる会議スペースを設けることで付加価値をつけるといった工夫もあります。

多様な勤務形態を推進する病院

その他の働きやすい病院の要素として、多様な勤務形態を推進している病院であることが挙げられます。勤務形態の自由度を高めることは、男性職員の育児参加や妊娠・出産を機に職場を離れた女性の復帰を促し、介護などのために離職した職員の復職、再就職に繋がると考えられます。職員の生活やライフイベントを尊重した勤務形態を可能とすることで離職者の出にくい職場環境を構築していくことが可能となります。

非常勤医師の居場所の確保

医局の計画をする際に、常勤医師数と研修医数はある程度想定して広さや室数を決定するのですが、非常勤医師の居場所をきちんと考えて計画された病院は多くはありません。医局の一角を使うことにして、空いている場所を提供するケースが多く見受けられます。
ただ、フリーランスの医師は個人で様々な活動をしている方も多く、外部との連絡や独自の研究をするスペース、個人的な荷物の保管場所が足りていないと感じているかもしれません。こうしたニーズに応えることで、より優秀な医師の確保が狙えるかもしれません。

タスクシフティングを行うには、より多くの医師数、看護師数を確保する必要があり、働きたくなる環境を整えることは職員獲得の第一歩となります。

まとめ

医師不足の解消や良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保は医療政策、病院経営に共通した悩みであり、解決すべき課題です。タスクシフティング、福利厚生の充実、キャリア形成といった対応策はソフト面、ハード面の両方から取り組む必要があります。ハード面を計画する個々の病院において、ソフト面である行政側からの発信を今後の計画に生かしていくことは、補助金や緩和の対象となる可能性もあり、運営に有利に働くでしょう。

加えて、ストレスフルな環境で働く職員の心身の健康を守り、労働意欲を高めることが職員確保の近道と考えられますし、介護やライフイベントなどにより一旦職場を離れた職員の復帰・再就職を手助けする仕組みや設備の充実は、離職防止となります。将来、キャリアを磨いた職員が病院へ貢献しつづけてくれるでしょう。

建築的な計画にこれらの知識や具体的な知見が必要となった際には、日本全国での病院建設計画の実績を有し、様々な法人様をご支援してきたプラスPMにぜひ一度ご相談ください

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