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少子高齢化の影響で療養や介護医療を必要とする患者様が増加傾向となる中、大都市圏や地方都市圏(地方の中心市街地)を除いた地域では医師不足や看護師不足に頭を悩ませている病院や医療施設が多数存在しています。
平成30年2月9日 厚生労働省医政局が発表した2008年から2014年までの人口10万人当たりの医療施設従事医師数は、全体では10%の増加傾向と医師不足解消の兆しを見せるものの、過疎地域医療圏では24%の減少が見られるなど、大都市圏、地方都市圏への医師の集中が問題となっており、地域による医療格差はますます広がりを見せています。
そのような中、優秀な人材を確保しておくことは、病院や医療施設の健全な運営・経営において非常に重要な課題となります。
では、どのような施策を行えば医師、看護師を含むスタッフの離職者を極力減らし、医療の質を一定に担保した、安定した病院・医療施設経営を行うことができるのでしょうか。
今回は「働きやすい病院」の特徴を挙げることで、離職者の出ない病院とはどのような病院なのかを解説致します。
医師、看護師という長時間勤務、夜間休日勤務のある職業において、病院とは場合によっては自宅よりも長い時間を過ごす場所となります。
そこで重要となるのは、働く人々の為の設備の充実です。
人命を預かり、日々様々な緊張にさらされる医師、看護師などのスタッフは非常にストレスフルな職場環境に勤務しています。そこで重要となるのが、十分な休息が取れる、リフレッシュ可能なスペースを確保すると言うことです。
当直室は大きさや設備によって医師(常勤・非常勤)スタッフの確保が容易にも困難にもなると言われています。例えば、ベッドの設置位置が入り口から見えないような構造の室であることや、目隠しの衝立を設置するだけでもリラックスできる環境を造り出すことは可能です。また、シャワーや洗面スペースが明るく清潔に保たれていることも精神衛生上、重要な要素といえます。
特に患者さんと長い時間を過ごす病棟スタッフに向け、仮眠・休憩を取れる病棟休憩室を設置することもポイントです。
病棟内に患者さんの目から隔離した、休憩に適した設えがあれば、トラブル時には即座に対応できる距離でも十分に休息をとることが可能となります。
職員が使用する食堂に一部稼働間仕切りを設置し、食堂がスタッフミーティングなどで使用されている時でも一部は医師、看護師などスタッフの休憩スペースとして利用することが可能となります。
また、実例として、食堂スペース自体を最上階や景色の良い場所に配置し、開口部を大きくとることで解放感を演出し、リフレッシュを計る病院もあります。
医師、看護師などのスタッフを含め、スタッフルームや更衣室内のパウダールームの充実は離職者を出さないこと、また求人倍率を上げるという点においても有効です。
妊娠・出産を機に職場を一時離れ、その後復帰を望む医師、看護師が非常に増えています。
その際に大きな壁となるのが預け先の確保です。病院自体に託児所や保育所の併設がある病院とない病院では女性職員の復帰率や、求人倍率に大きな差が出ています。
昨今では東京都や大阪府、愛知県などの大都市圏、地方都市圏以外にも病院内保育所の運営に補助金を出す自治体が増えてきており、この事も院内託児所・保育所整備を後押ししています。
その他の働きやすい病院の要素として、多様な勤務形態を推進している病院であることが挙げられると考えます。勤務形態の自由度を高めることは、男性職員の育児参加や妊娠・出産を機に職場を離れた女性の復帰を促し、介護などのために離職した職員の復職、再就職に繋がると考えられます。
職員の生活やライフイベントを尊重した勤務形態を可能とすることで離職者の出にくい職場環境を構築していくことが可能となります。
日々ストレスフルな環境で働く職員の心身の健康を守り、労働意欲を高めることが離職者を防ぐ一番の近道と考えられます。また介護やライフイベント等により一旦職場を離れた職員の復帰や再就職を手助けする制度や設備の充実が、今後ますます労働者の確保が困難になる地域においては重要な要素ではないでしょうか。
安定した医療の質の担保と病院・医療施設の運営には、安定した職員の確保が何よりも重要です。
改修や増築などハード面に及ばずとも、少しの工夫で職員の労働環境を向上させ、離職者を減らすことは可能です。しかし、労働環境の改善に設備の改修や病棟増築など建築的な知識が必要となった際には、日本全国での病院建設計画実績を有し、様々な法人様をご支援してきたプラスPMに是非一度ご相談ください。
【参考】
・厚生労働省 医政局「医師偏在対策について」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000194394.pdf
【出典】
・厚生労働省「医師の需給に関する背景」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000199249.pdf
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