コンストラクション・マネジメント 株式会社プラスPM

#06豊かさの本質を見つめる

「余白」を大切にしながら
一生挑戦し続けるマインドを持つ

  • 東京2021オリンピック銀メダリスト
    トヨタ自動車アンテロープス所属
    Circle Of Life株式会社 代表取締役
    馬瓜エブリン
  • ×
  • 株式会社プラスPM
    代表取締役社長

    木村 讓二
馬瓜エブリン×木村 讓二

私たちの心に多くの感動を刻み込み、東京2020オリンピック・パラリンピックが幕を閉じました。それから半年以上も経過していますが、数々の名シーンが蘇ります。中でも、史上初の銀メダルに輝いた女子バスケットボールチームの活躍に熱狂した方も多いのではないでしょうか。「スーパースターはいないけどスーパーチームだ」というトム・ホーバス ヘッドコーチのコメントは当時話題になりましたが、プラスPMもチーム作りに何よりも重きを置いています。今回は、女子バスケットボール代表であり銀メダリストでもある馬瓜エブリンさんをお迎えし「豊かさの本質」を伺います。

Profile

トヨタ自動車アンテロープス所属
Circle Of Life株式会社 代表取締役
馬瓜エブリン

1995年6月2日、愛知県豊橋市生まれ。ガーナにルーツを持つ。小学校4年生からバスケットボールを始め、2014年アジア競技大会の日本代表に選出、2021年東京オリンピックで銀メダルを獲得した。現在は、トヨタ自動車女子バスケットボール部 アンテロープスに所属する現役選手でありながら起業家としても活躍し、Circle Of Life株式会社代表取締役、LAUNDRY JAPAN合同会社代表を務める。休日にはキャンプを楽しんでいる。

トヨタ自動車アンテロープス所属 Circle Of Life株式会社 代表取締役 馬瓜エブリン
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株式会社プラスPM
代表取締役社長
木村讓二

1986年 設計事務所としてプラスPM創業。1997年にプロジェクト全般に関わることを目的にCM会社へ転換。京セラ創業者の稲盛和夫氏から20年超にわたり、フィロソフィーを学び、発注者目線、経営者目線で仕事ができる社員を育てることをライフワークにしている。2013年、マレーシアにPlus PM Consultant Sdn.Bhdを創業。仕事の合間に、国内外へ旅に出かけ、自然の中で過ごすことを楽しみにしている。

株式会社プラスPM 代表取締役社長 木村 讓二

NBA選手に憧れてコートに立つ

木村エブリンさん、今日はお越しいただき本当にありがとうございます。オリンピックの時はテレビの前で応援していました。こんなことを言ったら失礼かもしれませんが、日本チームがここまで強いとは存じ上げず、銀メダル獲得に感動したのを今でも覚えています。チームのみなさんは最初からメダル獲得を確信していたのですか?

馬瓜エブリン様 ※以下、エブリン
ヘッドコーチは最初から「金メダルだ!」と言っていたのですが、実を言うと私たち選手は懐疑的でした(笑)でも、試合を重ねるごとに気持ちが高まっていって、気づいたら銀メダルに輝いていました。オリンピック出場は子どもの頃からの夢だったのですが、メダルを取った瞬間は嬉しい気持ちよりも「やっと開放される!」という思いが強かったです(笑) 何しろコロナ対策で隔離生活が長かったので。

木村そうだったんですね。子どもの頃からの夢ということですが、バスケを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

エブリン私の親がNBA(National Basketball Association 全米プロバスケットボール協会)のファンだったのです。家のテレビで一緒に試合を見ていたときに、得点王やMVPにも輝いたことのあるドウェイン・ウェイド選手を見て憧れをいだき、彼のようになりたくて小学校4年生から地元のミニバスチームに所属しました。とはいえ、強豪チームだったわけでもなく、「楽しくやりましょう~」という感じだったので、自分がまさかここまで来られるとは思ってもみませんでした!

最強のチーム作りに必要なこと

木村ここからは、チーム作りについてお聞かせください。
トム・ホーバス ヘッドコーチの「スーパースターはいないけどスーパーチームだ」という言葉に大きな反響がありましたね。
実は、プラスPMもチーム作りを最重要事項としています。といいますのも、良いチームが組めたらお客様に最高のサービスを提供できますし、仕事の生産性も上がります。しかし、一人だと手が回らなくなったり、抱え込みすぎて精神的に潰れてしまったりということもあります。だから会社としてチーム作りを大切にしたいのですが、実際には試行錯誤の連続です。私は、仕事の意義や、いかに社会の役に立っているかを社員に示して、その上で社員に議論をしてもらうことで主体性を高めています。ナショナルチームでは、トムヘッドコーチの元、どのようなチーム作りがなされていたのでしょうか?

エブリンナショナルチームは、オリンピックのための即席チームです。そのため、選手によっては普段求められているのとは違う役割を担うこともあります。トムヘッドコーチは「あなたは空いたら3ポイントシュート!」「あなたはドライブしてファールをもらってきて!」という感じで一人ひとりの役割を明確に示してくれるので、選手の役割が明確なのです。その上で、各々の選手が役割を果たすことを徹底したおかげで成果が出せたのだと思います。

その中でも、特に私が大切だと感じているのは、「余白を作ること」です。これはナショナルチームに限らず、自分のチームでも、ビジネスでも言えることです。いくら役割が大切でも、ガチガチに決め過ぎたら歯車がずれてしまったときや不測の事態に対応できないですよね。役割がありつつ余白があるから、サポートに入ったり即興ができたりします。余白は、想像以上のものを生み出すために必要なものです。

木村確かに、余白やホッとする時間は大切ですよね。

エブリン大切です。特にオリンピック前は隔離生活に慣れるのが大変でした。私はキャンプとかアウトドアが大好きなのですが、なかなか自由に行くことは出来ません。そこで、VRヘッドセットを購入して宮古島に行ったりしていました。部屋の中から。

木村私は週に2回ほど、スポーツジムでランニングをしてサウナに行って水風呂に入ってからビールを飲むのが至福の時間ですね。または、長野県の雄大な自然が好きでして、たまに行っては自然の中で読書をしたりトレッキングをしたりしています。

エブリン自然の中に身を置くことは大切だと思います。私のようなアスリートは、自宅と体育館の往復だけの生活になりがちです。そこで、地元名古屋市には徳川園という日本庭園があって、滝を見ながらボーッとしたりしています。最近は「あ! こんなところにエブリンが!」と驚かれることもありますが。

強くあるために、自分を許す

木村勝つためには自分の力を信じることが必要ですが、人間は弱気になることもあります。強い気持ちで試合に臨むために実践しているメンタルトレーニングがあれば教えてください。

エブリン実は、オリンピックに向けて一番取り組んだのがメンタルトレーニングでした。というのも、「オリンピックに出なくていいんじゃないか」と考えてしまう時期が1年くらい前にあったのです。新型コロナウイルスや、それに伴う隔離生活、開催不透明なオリンピック等、様々な要因から心身が疲れてしまっていたようです。でも、「オリンピックは子どもの頃からの夢じゃないか! このままじゃダメだ!」と思い直して、個人でメンタルトレーニングをつけることにしたのです。その時、「完璧主義なところがあって、出来ていないことにばかり目が向きがちだ」という指摘を受けました。

たとえば練習でシュートを打ったのに外してしまったとします。その後も続ければ入るかもしれないのに、私は外したことが気になってしまうんですよね。で、気持ちが引きずられてしまうことが以前はありました。トレーニングの結果、「完璧でなくても良いんだ。気にしないで続けよう」と思えるようになりました。気持ちを少し緩めるようにして、今は100点満点中60点くらいでいいかな、と思っています。
バスケットだけじゃなく、ビジネスもそうですよね。プロダクトを作る時も、一つひとつを気にしすぎたらアプリも何も出来ません。完璧に仕上げていざローンチしたらユーザーの関心は別のところにあった、なんて話もよく聞きます。60点くらいで自分を許さないと先には進めません。

木村この連載のタイトルは「豊かさの本質を見つめる」ですが、エブリンさんはどういったときに心の豊かさやものの豊かさを感じますか。私が嬉しいのは、社員が1年前と比べて成長したと感じたときですね。「あの彼(彼女)が、1年したらこんなすごい仕事が出来るようになったのか!」という瞬間はなんとも嬉しく、経営者として豊かさを感じます。

エブリン成長するということは、経営においてもバスケットにおいても同じように大切だし、豊かなことだと思います。さらに、そこに余白や余裕があると、より豊かだと私は思います。
余白の有無によって、自分のことだけじゃなく人のことまで見ていられるかが違ってきます。「余白のある心」といいますか、自分にばかり向いたエネルギーを他人にも向けられるようになれば、より豊かな状態なんじゃないかなと思います。

子どもとコーチの課題を一緒に解決できる「QUICK COACH」

木村エブリンさんが代表を務めるCircle Of Life株式会社ではコーチとスポーツを習いたい子どもたちをつなぎ合わせる「QUICK COACH」というサービスを開始したと聞きます。「QUICK COACH」はどんなサービスなのか教えてください。

エブリンきっかけは地元の子どもたちです。コロナウイルスの影響で、私たちは体育館を使えなくなってしまったので、子どもの頃のように道端で練習したりしていたんです。そのときに、ふと「私たちプロアスリートでも自由に運動が出来ないのに、子どもたちはきっと困っているだろう」と思ったんです。そこで知っている子どもたちに「プレイの様子を動画に撮って送ってくれたら添削するよ!」と声をかけたんです。これが口コミで広がって、「QUICK COACH」の原型が生まれました。現在はウェブアプリですが、今後はiPhoneアプリの準備中です。


また、子どもたちが体育館を使えないということは、コーチも使えていない、つまり収益を得られていないということです。そもそもの話ですが、コーチの仕事だけで食べていくのは難しいです。「QUICK COACH」を使って遠方に住む子どもたちにも指導が出来るようになれば、コーチの生活にも役立ちますよね。つまり、「QUICK COACH」は子どもとコーチの悩みを同時に解決出来るサービスなんです。

木村「コーチだけでは食べていけない」とのことですが、アスリートのセカンドキャリアはどのようなものでしょうか。

エブリン同じく、アスリートも引退後はなかなかスポーツの分野では生活できないというのが実情です。「あのすばらしい選手が、引退後はぜんぜん違う仕事を!?」みたいなことがよくあります。そういう選手のためにも、今までの経験を活かせるサービスとして「QUICK COACH」を広めたいですね。

アンテナを張って、一生挑戦し続ける

木村トップアスリートとして活躍しながら起業したエブリンさんは、きっと強い信念をお持ちなんだと思います。私も20代で独立して設計事務所を始めましたが、「もっと社会の役に立ちたい」という思いで当時は知られていなかったコンストラクション・マネジメントの会社を立ち上げました。その後も「海外に出よう!」とマレーシアやベトナムに進出したり、まだまだやりたいことがたくさんあります。
新しいものを生み出す苦労や、それでも挑戦し続ける意義について、思いをお聞かせいただけますか?

エブリン私もやりたいことが溢れている状態です。いつ挑戦が終わるのかは私自身もわかりませんし、おそらく一生挑戦し続けるでしょう。
まずは「QUICK COACH」を上場させたいですね。スポーツ系ビジネスを手掛ける企業の上場は少ないですし、選手が経営者というのも稀有な事例です。ひとつの成功事例になれたらと思います。
あとは、私のルーツであるアフリカのガーナに関われるようになりたいです。私は日本で生まれましたが、7〜8年前に家族でガーナに行ったことがあります。その時、現地の子どもたちが袋に水を入れて売っていたのを見ました。当時まだガーナにはペットボトルが普及していなかったのです。さすがに今はあると思いますが、なかなか水飲み場がなかったり、手洗い場がなかったり、私の祖母の家は井戸水を汲んでお風呂にしていました。例えばですが、ガーナでウォーターサーバー事業をやったらどうなるか、飲料だけでなく上下水道の代わりとしてインフラに出来ないか、なんてことを考えています。

木村ガーナでの事業、素晴らしいですね。いつか叶うように応援しています。
最後に、アスリートがセカンドキャリアを豊かに過ごすためのアドバイスをお願いします。

エブリンアスリートには職人気質な人が多くて、自分の技術をいかに磨くかに集中しがちです。しかし、その中だけに閉じずに、好奇心を持つことが大切だと思います。スポーツにはつながらないかもしれませんが、色んな所にアンテナを立てておくと、何かつながるかもしれません。スティーブ・ジョブズの言葉に「Connecting the dots」というのがありますが、最初は無関係に見えた点と点がいつか繋がって自分の世界を大きくしていくのです。だから、色んな所にアンテナを立てておくと良いでしょう。

木村とにかく人に会う、出かける、本を読む、そこから気づくものがありますよね。

エブリン私からも木村社長に質問していいですか? 経営者として、ぜひアドバイスを頂きたいです。

木村そうですね、「会社のために」ではなく、社会に必要なものを提供したいという思いがベースにないとダメだと思います。世の中に必要とされるものであれば、お金はあとからついてきます。その考え方を、経営者はもちろん社員にも伝えて、良いチームを作り、良いサービスを生み出すことでしょうか。あとは、せっかく良いサービスがあっても伝わらなければ意味がないので、メディアプロモーションも大切ですね。

エブリンありがとうございます!

木村こちらこそ、本日はありがとうございました。


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