お客様の声教育施設・研究所

交流して、共創する。ダイバーシティ実践型本社

オーケーエム本社・研究開発センターオーケーエム本社・研究開発センター

株式会社オーケーエム
本社・研究開発センター

現代は「共創の時代」です。企業同士の共創はもちろん、社内でも部署や立場を越えた交流が、新しいイノベーションを生みます。
株式会社オーケーエムは、1902年創業の老舗バルブメーカーで、船舶排ガス用バルブで世界シェア1位を誇るなど特殊バルブのグローバルニッチトップ企業です。
しかし、株式上場を目指し始めた2017年当時の本社は滋賀県の郊外にあり、立地に課題を感じていました。ひとつは全国の企業や行政、大学・研究機関との交流や研究開発での連携がしにくいということ、もうひとつは京阪神エリアから広く優秀な人材を採用することが難しいということです。
そこで、今後の成長、発展を担う起点として、本社や研究開発センターを滋賀県野洲市のJR沿線へ移転することを決断します。人が集まり共創が生まれるオフィスのあり方を探るため、株式会社オーケーエム代表取締役社長の奥村 晋一様、執行役員 商品開発部長の仙波 直一様にお話を伺いました。

思わず訪問したくなる本社・研究施設を作りたい

株式会社オーケーエム代表取締役社長の奥村晋一 様

株式会社オーケーエム
代表取締役社長の奥村晋一 様

バルブには、気体・液体・個体、高温・低温など、様々なものが流されます。個々のニーズに対応できるカスタマイズ力がオーケーエムの強みです。特に、SDGsの浸透で脱炭素社会を目指して次世代燃料への転換が進む中、これまでにないバルブを求める企業が増えることも見込まれます。こういったニーズに応えるには、お客様とコミュニケーションが取りやすい環境作りが重要です。本社と研究開発センターを移転するにあたり、オーケーエムが重視したのは「思わず訪問したくなる本社・研究施設」です。来客した方に会社をもっと良く知ってもらいたいということで、「展示エリア」を設けることが真っ先に決まり、デザイナーに設計を依頼しました。


「それまで社内のレイアウトなどは自前でやってきましたが、どうせやるなら来社された方が"この会社と繋がりを持ちたい"と思ってくださるような空間にしたほうがいいと考えました」と、奥村社長はおっしゃいます。また、仙波様は、「これまでの"バルブ工場"というイメージを一新したかった。最先端のテクニカルなことをしているということを伝えたかった」とおっしゃいます。

株式会社オーケーエム 執行役員で商品開発部長の仙波直一 様

株式会社オーケーエム
執行役員で商品開発部長の仙波直一 様

本社に入ると、まず目に入るのは天井の高い受付です。2階まで吹き抜けになっていて気持ちがよく、階段の壁面には実際の製品を元に3Dプリンターで再現したバルブがオブジェのように配置されています。2階に登ると展示スペースがあり、私たちの生活にバルブがどのように関わっているかを説明するコーナーや、実際のバルブなどが飾られています。天井にある配管のオブジェは、「自分たちの製品がどのように活用されているか知りたい」という社内の声を受けて実現したそうで、社内外から高評価を受けているそうです。

階段壁面に制作されたバルブのオブジェと展示室内天井の配管オブジェ

階段壁面に制作されたバルブのオブジェと展示室内天井の配管オブジェ

風通しの良いオフィスから、新たなイノベーションが生まれる

人の交流は会社に新しい知識や価値観を運びますが、それはなにも社外との交流だけではありません。新しい本社の2階には商品開発部のデスクがありますが、この横にカフェスペースを用意しました。

プラスPM シニアコンサルタント 浅海満

プラスPM シニアコンサルタント 浅海満

すると、それまで自席にこもって開発に没頭しがちだった社員たちがコーヒーを飲みに来るようになり、自然と社員同士の交流が生まれたそうです。また、1階の試験室と2階を吹き抜けの階段でつなぎ、他部署の人材との交流も活性化させました。吹き抜けの1階部分にはミーティングコーナーも用意しました。

食堂も、窓が大きくて明るく、カフェのような雰囲気の開放感あふれるスペースにしたところ、以前の本社時代よりも利用者が増え、社内の交流活性化につながっているとのことです。ミーティングスペースや会議室の壁にはガラスを多用し、開放感があって、内と外のつながりを意識できる空間になっています。

社内の風通しを良くした一方で、熟考したのがセキュリティ対策です。重要情報を扱う部署については個別の部屋を確保する一方で、必要に応じて社員が各部を行き来できるように、開放感と機密性を両立できるセキュリティ対策の実現に苦心されたとのことです。

商品開発部横に設けられたカフェスペースと開放感溢れる会議室

商品開発部横に設けられたカフェスペースと開放感溢れる会議室

移転から約1年、産官学すべての人材が来訪増

実際のところ、当初の目的である「社外との交流強化」について奥村社長に聞いてみたところ、「社外との交流は増えました。研究開発のために産官学様々な立場のお客様がいらっしゃって、ここでキックオフミーティングや進捗会議を開催しています。コミュニケーションの質は高くなりました。」と力強く答えます。大学関連だと、地元の滋賀県立大学をはじめ複数の大学と研究開発を進める同社。「社外の方が来やすくなったというのもありますが、我々が出やすくなったというのもありますね」と仙波様はおっしゃいます。

SDGsやダイバーシティを意識した本社で新たな価値創造を

現在はダイバーシティの時代です。SDGs全体の理念として「誰一人取り残さない」という考え方がありますが、多様な人材がお互いに認め合い、受け入れ合う機会と風土を作ることが、これからの時代の企業には求められています。

「多目的トイレを各階に設置しました。当初は1階だけでもいいのではないかという話もあったのですが、お客様がいちいち1階に降りてくるのは面倒です。そこで、各階に設置することになりました」と奥村社長。多目的トイレがあれば、車椅子の方はもちろん、病気などで広いトイレを必要としている人や、男性・女性の区分に違和感を持つ人にも使っていただけます。また、社内では様々な人材が働きやすい環境づくりの実践や、SDGs推進委員会を立ち上げて、CO2削減や琵琶湖のゴミ拾いなど地域社会への貢献にも励んでいるとのことです。

今後新社屋で実現したい取り組みとしては、コロナ対策で延期してしまった全社員を集めた本社お披露目会や、近所の小学生を招いた見学会などを行いたいとのことです。

展示室見学の際「これが私たちの製品です」と仙波様が丁寧にご紹介してくださいました

展示室見学の際「これが私たちの製品です」と仙波様が丁寧にご紹介してくださいました

最後に、プラスPMに対する評価についてお伺いしたところ、奥村社長より下記の言葉を頂戴しました。

「建設計画は滅多に発生するものではありません。当然、社内にノウハウもありません。専門家であるプラスPMに入っていただくことで、我々の中にあるざっくりとしたコンセプトをどのように実現するかを考えていただけました。また、ドアノブの位置や、トイレの適切なスペースなど、素人には気づけないような細かいところまでを専門家としてアドバイスいただき、安心してプロジェクトを進めることが出来ました。」

担当者から

「思い」を具現化するお手伝い

プラスPM大阪本社
シニアコンサルタント

浅海 満

オーケーエム様の新本社・研究所に対する思いを実現することをプラスPMのミッションとして、構想段階からお引渡しまでの約2年間、プロジェクトを支援しました。「思い」を具現化するためにプランを描き、検討資料を作成し、何がお客様の「思い」なのかを共有することからプロジェクトはスタートしました。プラスPMの業務は、抽象的なことをより具体的に可視化し、それを予算の中で実現する手法を提案すること、そしてプロジェクトを運営するマネジメントを行うことでした。本プロジェクトでは、オーケーエムの皆様の新本社・研究所に対する熱意に私自身大きな力をいただき、学ばせていただきました。

建築概要

工事名称株式会社オーケーエム 本社・研究開発センター
事業主株式会社オーケーエム
工事場所滋賀県野洲市
敷地面積4,094.53m2
建築面積946.41m2
構  造S造
階  数地上4階
延べ面積3,269.40m2
コンストラクション・マネジメント株式会社プラスPM
設計監理株式会社ナカノフドー建設 大阪支社一級建築士事務所
施  工株式会社ナカノフドー建設 大阪支社
工  期2019年11月1日~2020年10月15日

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