コンストラクション・マネジメント 株式会社プラスPM

お客様の声病院

地域医療の要として、その役割を磨き上げる。
白十字病院が新病院建設に込めた思い。

社会医療法人財団白十字会 白十字病院社会医療法人財団白十字会 白十字病院

社会医療法人財団白十字会
白十字病院

福岡市西区にある白十字病院は、2021年4月に新病院を開設しました。1982年より、地域医療を支えるケアミックス型病院を構えていましたが、これを2つに分院。新病院は急性期医療に特化した病院に、旧病院は回復期に特化した白十字リハビリテーション病院に生まれ変わりました。
白十字病院はなぜそのような決断をしたのか。それを紐解くと、今後の医療情勢を鑑みつつ、真摯に地域医療と向き合った病院経営のひとつのあり方が浮かび上がります。
新病院建設プロジェクトを主導した、社会医療法人財団白十字会 理事であり、法人本部事務局統括副本部長、福岡事務局長の石原 覚様、同じく事務長の吉野 典功様にお話を伺いました。

地域医療支援病院として、病院のあるべき姿を考え抜いた

社会医療法人財団白十字会理事 法人本部事務局統括副本部長 福岡事務局長の石原 覚 様

社会医療法人財団白十字会
理事 法人本部事務局統括副本部長
福岡事務局長 石原 覚 様

白十字病院の建替計画が動き出したのは2008年頃。当時の病院では、施設の老朽化や手狭さに悩まされていました。患者さんに安全・安心に使っていただくためにも新病院を建設したい。そう思っていた矢先に、近隣の広大な土地が福岡市から公募に出されることが判明したそうです。こうして、新病院建設プロジェクトが動き始めました。

新病院建設の方針を決めるにあたり大切にしたのは、改めて「白十字病院の役割」を問い直すことだったといいます。
「当時の病院はケアミックス型の病院で、急性期医療から回復期、慢性期の病棟が混在していました。しかし、白十字病院は福岡市西区でたったひとつの地域医療支援病院であるため、本来であれば救急を多く受け入れる立場にあります。そこで、新病院は急性期医療に特化させ、旧病院を増改築してリハビリに特化させるという方針になりました。」と、プロジェクトを率いた石原様はおっしゃいます。

社会医療法人財団白十字会 白十字病院 事務長の吉野 典功 様

社会医療法人財団白十字会 白十字病院
事務長 吉野 典功 様

決断の背景には、今後の医療情勢・医療経済に対する予測もありました。人口減少や入院患者の平均在日数の短縮により、病院のベッド数が余るのではないかと予測されています。そうした中で急性期医療に特化することによって、医療資源を効率よく活用できることが期待できます。また、スタッフの働き方も平準化し、求められる医療スキルも明確となることで、より働きやすい環境になる見込みだそうです。結果として、将来にわたって健全な病院経営を継続することが可能となります。

2階外来受付には石原理事お気に入りの福岡の街を描いた絵画が飾られている

2階外来受付には石原様お気に入りの福岡の街を描いた絵画が飾られている

災害対策に緑化対策。まちづくりの観点から事業提案内容を熟考

プラスPMシニアコンサルタント 日野 大助

プラスPMシニアコンサルタント 日野 大助

土地取得に向けて自治体の公募に参加するには、事業提案書が必要です。様々な事業者からの提案が見込まれる中で、医療目線で新病院の素晴らしさを主張するだけでなく、どのように地域貢献できるかという視点が重要になります。

そこで、まずは「土地取得プロジェクト」を立ち上げて、事務職以外のメディカルスタッフにも参加してもらいました。
「元々、地域に密着した病院として地域貢献につながるCSR活動やSGDsについても積極的に取り組んでいました。そこをさらに強化して、白十字病院としてどのようなまちづくりに貢献すべきかを熟考しました」と石原様はおっしゃいます。
多種多様なメンバーに参加してもらうことで、様々な視点でまちづくりに対する意見を集約しました。こうして、病院として地域の健康に貢献するだけでなく、災害対策、緑化対策、渋滞対策なども意識した地域貢献病院の基本構想が整っていきました。

地域交流の場として設けられた「白十字会地域交流サロン いしまるしぇ」

地域交流の場として設けられた「白十字会地域交流サロン いしまるしぇ」

「たとえば災害対策。もし大量の負傷者が出た場合は、既存の病院スペースだけでは場所が足りなくなるでしょう。そこで、白十字病院の駐車場でトリアージ(重傷度や治療緊急度に応じて傷病者を的確に振り分けること)して、病院の玄関付近にある多目的ホール『いきいきホール』で初期治療を行えるようにしました。ホールには緊急時に備えて医療ガスや非常電源などの医療設備を整えています。また、駐車場の3分の1は立体駐車場にして、水害時は地域住民の避難場所として開放します。
その他にも、病院の横に『フィットネス広場』という公園を作ったのですが、釜戸として利用できるベンチや、トイレとして利用できるマンホールを設置することで、非常時は『防災広場』として運用する提案をしました。
また、今回は緑化対策として、敷地面積の10%以上に緑を入れる必要がありましたが、これを大幅に上回る緑化率の提案をしました。雨水の再利用や井戸水の利用などを行い、環境にも配慮しています」(石原様)

白十字病院

その他にも、様々な地域貢献案が建設プロジェクトに組み込まれていきました。たとえば、土地の公募が出る際に、西側の区画に市の公園ができることが前もって決まっていたそうです。そこで、土地の落札後、地域の公民館などで開催される公園ワークショップに参加して、公園と白十字病院の土地がどのように連携すると、より地域の方にとって使いやすいかを話し合ったそうです。


日々の病院業務を抱えながらの新病院建設プロジェクトで得たもの

「土地取得プロジェクト」の提案内容が固まると、今後は「新病院開設準備室」を設立。このチームは事務職のみで組成し、様々な「分科会」を立ち上げて部署ごとの要望を聞いて回ったそうです。さらに、月に1回理事長なども交えて「建築定例会議」を実施。通常業務を抱えながらの建設プロジェクトの遂行は、想像以上にハードだったと、メンバーの吉野様はおっしゃいます。

「私は元々違う部署にいたのですが、過去に建築関係の仕事をしていた経験が買われて、事前に資材課に異動になりました。『いずれ新病院建設プロジェクトが始まるから、その時のために資材課に行って、設備や資材について把握しておいてほしい』と、辞令が出た際に石原事務局長から説明を受けました」(吉野様)

白十字病院

外観正面、夜になると白い十字が浮かび上がるデザインとなっている

吉野様は異動後に医療機器の整備計画書を作成されました。どの医療機器をいつ買って、いつ頃買い換える必要があるかなどを医療機器ごとに作成し、担当部署と調整を重ねていったそうです。どの部署も、使えるものなら最新の医療機器を使ってみたいというのが本音です。しかし、医療機器は高額で、すべてを最新式にすることは不可能です。そこで重要になるのが新病院の「基本構想」です。「地域医療支援病院として急性期医療に特化した病院になる」という方針のもと、必要な機器は購入し、使えるものは旧病院から移設しました。

「新病院建設プロジェクトは、人材育成の観点でも成果があったと思います。端的に言うと、自主的に動ける人材が育ちました。毎週の定例会議は活発に意見が出ましたし、組織が活性化した気がします。十数年活動してきた「新病院開設準備室」自体は2022年9月末で解散となるのですが、ここで培ったスキルや知見は、ずっと院内に残り続けていくでしょう」と石原様はおっしゃいます。

鉄アレイを模したような特徴的な外観と、明るく開放感にあふれる総合受付

鉄アレイを模したような特徴的な外観と、明るく開放感にあふれる総合受付

2021年、新病院完成。病院の理念に共感したドクターも増加

こうして2021年4月に新病院が完成しました。新設から約1年が経過し、現在の状況について石原様に伺うと、笑顔でご回答いただけました。

「新病院になって、医療行為の質がさらに向上したことで、手術件数がぐっと増えました。術後の回復も早く、平均在日数も減ったことで、当初の見込みより順調に稼働しています。手術室自体も、旧病院の4室から6室に増やしました。基本構想で決めたことがしっかり形となっています」(石原様)

最新鋭の機器を備えた手術室

最新鋭の機器を備えた手術室

病院が新しくなったことで、近隣の優秀なドクターたちも白十字病院に注目しています。
福岡大学医学部脳神経外科前教授が脳卒中センター長に、長崎大学医学部心臓血管外科前教授が心臓・弁膜症センター長に新たに就任するなど、新病院になって施設も充実したことで、白十字病院に対するドクターの関心が高まっています。

また、白十字病院は4階から上の病棟部分が鉄アレイのような特徴的な形をしていますが、これはスタッフステーションを囲むように病室が配置されているからです。どの病室もスタッフステーションから近距離に配置することで、死角をなくし、どの患者も分け隔てなく手厚く看護できるように工夫されています。

白十字病院

今後は、地域医療支援病院として現在の医療行為を継続しつつ、コロナ禍でなかなか実現できていない地域との交流をさらに深めていきたいとのことです。

「地域の皆様にとって交流の場になれればと思い、院内のコンビニやレストランは積極的に開放するつもりでした。また、多目的ホール『いきいきホール』や、『地域交流サロン いしまるしぇ』も本来は住民の皆様にどんどん貸し出しを行う予定でしたが、今はそれができていません。コロナの状況を鑑みつつ、地域の交流拠点になれるような取り組みをしていきたいです。逆に、こちらから地域の公民館に出向いて健康講座を開催する活動も以前から行っていたのですが、さらに強化したいですね。新たに地域貢献担当も抜擢し、地域の方と楽しく交流できるように、元お笑い芸人の方の研修を受けた職員もいます。未病の段階から地域と深い交流がある、そんな病院になりたいです」(石原様)

最後に、プラスPMに対する評価について石原様に伺ったところ、「これが今日、一番言いたかったことだけど」と前置きした上で、このようなお言葉をいただきました。

「ゼネコンを決める入札をしたときのことです。プラスPMさんのアドバイスに従って、予算内発注ができるように様々な工夫をしていたのですが、いざ価格が出て、予算内での発注ができていることがわかった瞬間、私が喜ぶより先にプラスPMさんが歓声を上げられたんです。まるで我がことのように喜ぶ姿を見て、私も嬉しかったです。我々は本当にひとつのチームとして活動し、達成感を共有できたんだという喜びがありました」(石原様)

取材中は、この他にも、事業計画に基づいた建設プロジェクトの進め方や、スケジュール管理、コンペの開催方法のアドバイス、病院側の立場で設計者やゼネコンと向き合ったことなどを評価いただきましたが、チームとして評価いただけたことを、何よりもありがたく思います。

担当者から

「喜び」を共に実現するお手伝い

プラスPM東京支店
シニアコンサルタント

日野 大助

白十字病院様の病院再整備に関するお考えを初めて聞いた時、一病院の建設だけでなく、地域と住民の将来を見据えた広く深い計画だと思いました。
経営層にて目指すべき方向性が明確に示されていたこともあり、それをいかに実現するか、実現のための手法を具体的にするかがプラスPMには求められていたと思います。
病院様に常に寄り添い、伴走者として課題の解決にあたり、一緒にプロジェクトを前に進める。翻訳者として、お客様がより良い判断を下せるよう、設計者や施工会社からの専門的な話や提案内容を、わかりやすい言葉で、具体的に伝えることを意識しました。
病院機能を新しくする、「病院を分ける」ということは、これまでの運営を一新する試みだと思っていました。しかし実際は、これまでに築いてきた地域住民の皆様との関係や白十字会様の理念や想いといった、過去の財産をどう引き継いでいくかが大事だと学ばせていただきました。
現在はコロナ禍ということもあり活用できていないコミュニティスペースも、今後、病院様の想い描いた安全・安心で、地域の皆様の笑顔に溢れる場になっていってくれると確信しています。

建築概要

工事名称白十字病院(仮称)建設工事
事業主社会医療法人財団 白十字会
工事場所福岡県福岡市
敷地面積18,962.66m2
建築面積5,337.81m2
構  造S造
階  数地上4階
延べ面積22,044.23m2(容積対象)
コンストラクション・マネジメント株式会社プラスPM
設計監理株式会社日本設計
施  工鹿島建設株式会社
工  期2019年2月1日~2020年11月30日

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