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病院建設

ChatGPTに病院の建て替え相談はできるのか?

現在、OpenAI社によって開発されたAIチャットサービスのChat GPTが世間を賑わせています。様々なメディアが特集を組んでいるため、この記事をご覧の皆様の中にも、すでにご活用されている方が多いのではないでしょうか。
このAIチャットサービスは、コンサルタントとしての役目も果たせるのではないかという話をよく耳にします。しかし、いざ専門的な相談をしてみても、ChatGPTから得られる回答がどこまで正しいかが分からないという状況に直面します。
そこで今回は、建築プロジェクトについての相談をChatGPTに投げかけてみて、建築の専門家として様々な支援を行う当社のコンストラクションマネジャー(CMr)に回答を確認してもらいました。

※この検証で使用したのは有償版のChatGPT PLUS(GPT-4.0)です。最新の情報を反映するため、WEBブラウジング機能も使用しています。本文内容については社内で十分な検証を行っておりますが、ChatGPTからの回答に対する責任の一切を当社は負いません。ご理解いただけますと幸甚です。

【検証】建築プロジェクトでAIはどのように利用できるのか

実際に建設プロジェクトを始める際に、多くの方が最初に直面するのは「そもそも建設プロジェクトとはどのように進めるのだろう」といった疑問ではないかと思います。そこで今回は「プロジェクトの進め方とタスクを整理する」ことを検証の目標に定めました。
使用したプロンプトは以下の通りです。より検証の精度を高めるため、例として具体的な相談者の背景を設定しています。

※プロンプトとは:ここでは、ChatGPTが応答を生成するための指令文や文章のことを指します。

あなたは建設事業におけるコンサルタント、私はあなたのクライアントです。

#命令:
下記の#条件に従って、私と問答を繰り返してください。
問答から必要な情報を得て、最終的に私の勤める病院の建替え事業でやるべきことを順序正しくリストアップしてください。
まずは、最初にやるべきことを教えてください。

#背景:
・私は病院の事務長
・私の勤める病院の病床数は200床
・築年数は35年
・近年は少子高齢化により患者数が減少している

#条件:
・私の質問に対し、あなたは1つにつき300字以下で回答してください。
・#目的を果たすために情報が不足している場合、私に質問をしてください。
・私は建築に対して素人です。建築分野に明るくなくとも分かるように説明してください。



使用したプロンプト

ChatGPTは単発の質問よりも、やり取りを繰り返し深掘りしていくことで、回答の精度が高くなると言われています。本検証も同じように複数回の対話を行っていますが、途中の経過については割愛させていただきます。
まず、基本設計までにやるべきことのステップを順序立ててリストアップしてもらいました。結果は表1の通りです。さっそく、この結果をCMrに確認してもらいました。

表1.jpg

表1. ChatGPTが考案した基本設計までにやるべきことリスト

専門家のコメント

ステップ2と3の順番が逆ですが、やるべきことの内容についてはおおむね間違いはありません。
ただし、後で詳しく述べますが、「4 プロジェクトスコープと予算の確認」で実行する中身は、病院様が想像されているよりも非常に濃いものになると思います。
この表だけでは伝わりませんが、実はこの段階で新病院の機能や建物規模、そこから導き出される予算とプロジェクトスケジュールが、ほぼ決まってしまうといっても過言ではありません。



ChatGPTは、ここまでの手順を踏んでから基本設計に入り、その後、設計の詳細化、建築業者の選定、施工管理を経て、竣工に至ると回答してくれました。
今回出してもらったこのリストだけでは、結局のところChatGPTにどこまで聞いてよいのか、また、各ステップで具体的にどうすれば良いかが見えてきません。そこで、必要な箇所をさらに深掘りして質問してみました。

ステップ1. プロジェクトチームの設立

最初のステップについては、CMrからも異論はありませんでした。病院建設のような規模の大きいプロジェクトは、1人で全てを回すのが非常に難しいです。適切な人材を集めたチームを発足させましょう。

専門家のコメント

ここについては異論ありません。



ステップ2. ビジョンと目標の設定

病院の建設事業は、経営と建設が密接に関わっています。
そのため、将来どのような病院が必要なのかを見直し、明確な経営ビジョンと建設の目標を設定して望むことが重要となります。
ChatGPTがビジョンと目標の設定に有効であるとしたのは以下の方法です。

  • ステークホルダーからの意見収集
  • プロジェクトチームでビジョンの定義と目標の設定
  • ステークホルダーとのレビュー

上記の方法を流れとすると次のようになります。
まず、新しい病院に必要なものについて病院関係者(ステークホルダー)から意見を募ります。それをもとに、どのような病院にしたいかと、実現するには設備や機能として何が必要かを決めます。そして、決定したことをプロジェクト関係者で共有することでこのステップは終了です。

専門家のコメント

実際には、「現状分析」を行った後で「ビジョンと目標の設定」を行うことになります。
しかし、病院関係者全員が納得する病院を目指すという点は間違いありません。そのビジョンと目標を全員で共有し、適切であるか確認・修正することが重要です。病院で働く皆さんは、どうしても現在の病院機能と建物を基準に考えがちです。大切なことは、新しい病院がどうあるべきなのか、という視点でビジョンと目標を設定することです。



ステップ3. 現状分析

では、「3. 現状分析」についてはどうでしょう。どのように現在の病院の施設と設備の評価を行えば良いのでしょうか。
これについて、ChatGPTが回答した手法は以下の通りです。

  • 現況施設の評価
  • 人間工学の考察
  • 病院スタッフや患者からのヒアリング

このステップでは、老朽化の進行具合や設備は最後にいつ更新したのか、耐震性や防火対策はできているのかという現況施設の評価。現在、院内で行っている医療行為・機能に対して患者やスタッフの動線、部屋の配置や広さ、また、バリアフリー対策は万全かという人間工学からの考察。そして、実際のスタッフや患者からの意見の収集を行う必要があるとChatGPTは述べてくれました。

専門家のコメント

ここについてはより詳細な説明が必要でしょう。
「1. 現況施設の評価」で必要なことは、現況施設が同規模同機能病院との比較の中で、どこに特徴があるのか、あるいはどこに合理化する余地がありそうなのかを把握するという視点です。できるだけエビデンスに則り、数値化して評価することが、専門家の集まりである病院の中では必要であると考えます。
「2. 人間工学の考察」「3. 病院スタッフや患者からのヒアリング」については、日進月歩の医療技術に相応しく、また患者さん・スタッフさんも働きやすい病院とするために、現在の病院での問題点を明らかにすることが重要です。大切なのは、誰しも自分が利用する、あるいは働く部屋や休憩する部屋は、広く環境がよいことを望むので、結果として問題点が過剰にでてくる傾向があることです。これも他施設との比較などエビデンスをもって論じることが必要です。



ステップ4. プロジェクトスコープと予算の確認

ステップ3までの分析結果から、新しい病院に機能として何を持たせるかについての決定と、実現にはどのくらいの資金が必要かの見積りを行います。
たとえば、個室の病室数を増やすことがプロジェクトスコープに含まれているとしましょう。その場合、それに必要な床面積、設備、人員などを考え、決定してから費用を見積り、その総額が予算内に収まるかを確認しなければなりません。
この作業は専門性が高いため、コンストラクション・マネジメント(CM)会社や設計事務所とともに行うことを、ChatGPTも推奨しています。

専門家のコメント

この次の段階が基本設計段階ですので、ここでは設計者へ伝える条件(設計与条件)を決めなければなりません。
「2. ビジョンと目標の設定」と「3. 現状分析」の結果から、新しい病院に必要な医療機能をより具体的にする必要があります。例えば、新しい病院のベッド数はいくつでしょうか。今後、どのような手術を何件行うでしょうか。その為には手術室が何室必要でしょうか。外来患者さんの想定数や診療科目はどのようにお考えでしょうか。その為には診察室が何室必要でしょうか。
それらの具体的に必要な医療機能を決め、それにふさわしい建物を想定することで、はじめて建設費が見えてきます。また、新しい病院の収支計画はその建設費と医療機能で問題ないでしょうか。
設計が始まると、どうしても建物だけに意識が捉えられてしまいます。
CMr.の立場から考えると、設計に入る前にこれら「病院機能と病院建物への要求水準の明確化」が必須だと思います。



ステップ5. 法規制と制約の確認

病院の建設プロジェクトには、建築基準法や都市計画法、消防法、地域の条例など多くの法律が適応されます。そのため、計画している条件がそれらに違反しないか漏れなくチェックをすることが大切です。
一から情報を収集すると膨大な時間がかかるため、ChatGPTには、設計事務所やCM会社を採用し、地域の建物の高さ制限や容積率制限、騒音や振動の規制に現在の計画が適合しているか確認させることを推奨されました。
このステップをChatGPTと二人三脚でできないか検証するために、東京都中央区で病院建設を行う際に気をつけるべき法律と条令を試しにリストアップしてもらいました(表2)。
リストアップには、WEB Browsing機能を使用しています。

表2小.jpg

表2. ChatGPTがリストアップした東京都中央区で病院建設を行う際に気をつけるべき法律と条令

専門家のコメント

このほかにも、土壌汚染対策法をはじめとした関連法規は多数あります。
また、No.8に「都道府県条例」については、その通りなのですが、ひとくくりに条例といっても、その内容は様々です。景観関連の条例など建物の高さや形態を直接縛る条例もありますし、埋蔵文化財関連の条例など、場合によっては事業スケジュールが数年単位で変更を余儀なくされるものもあります。詳細なチェックが必要です。



ステップ6. 設計事務所や施工会社、CM会社の選定

どの建設プロジェクトでも外せないのが、委託業者の選定。ChatGPTは1社に対して特命で発注するよりも、募集に対して応募してきた企業の中から選定を行うことを勧めてくれました。その理由として、「複数の企業から提案を受けることで競争原理が働き、より良い提案、より競争力のある価格設定が得られる」「複数の企業と接することで、それぞれの専門性や信頼性を確認できる」ことをあげてくれました。
さらに、実際に選定する際のポイントをChatGPTに聞いてみました。回答は以下の通りです。

  • 経験と実績
  • コミュニケーション能力
  • 財務状況と安定性
  • 品質と安全管理に対する取組み

提案を受ける際に、評価項目としてこれらを入れて評価することが有効とのことでした。
CMrの意見はどうでしょうか。

専門家のコメント

ここで挙げられた「経験と実績」には大きな内容が含まれています。
まず「実績」ですが、特に病院は他の建築物と比べて設計難易度も施工難易度が高く、使われる用語も専門的であるため、特に実績を重要視しなければならないと思います。
また「経験」ですが、ここにはその設計者がもっている「技術力」を含んだ表現になっていると考えます。その技術力を測るためには、技術提案を求めそのよしあしを判断することが重要です。ただし、技術提案自体に建築の専門的な内容が多分に含まれるため、病院側に立つ技術者が必要になります。
また、「価格」「実績」「技術力」を総合して選定しなければなりませんが、まずはその選定する仕組み自体を検討・決定する必要があります。



ChatGPTのリサーチ力

ChatGPTが得意としているリサーチ能力についても確認してみましょう。

たとえば、皆様がご自身の病院に適用できる補助金について調べたいとします。しかし、膨大なインターネットという情報の海で、求めている答えを見つけだすのは根気と時間がいる作業です。これをAIが代わりに行ってくれるのであれば、かなりの時間短縮が見込めます。
使用したプロンプトは以下の通りです。

あなたは建設事業におけるコンサルタント、私はあなたのクライアントです。
今回あなたに求められる役割は、リサーチャーです。

#命令:
下記の#背景と#条件を考慮して、私が勤める病院が建物の建替えで申請できる補助金についてピックアップしてください。

#背景:
・私は病院の事務長
・当院の病床数は200床
・築年数は35年
・当院は東京都中央区にある
・今回は移転新築であり、移転場所も中央区である

#条件:
・1度に3例まで回答してください
・該当する補助金がないときは「ありません」と答えてください。



使用したプロンプト

この条件で、ChatGPTが申請可能と回答した補助金は1件のみでした。
それは、「地域医療構想推進事業(施設設備整備)」です。
ChatGPTが行ったWEB Browsingの履歴を確認すると、東京都福祉保健局と東京都のWEBサイトのいくつかのページを確認していました。一見正しそうに見えますが、CMrからの意見はどうでしょうか?

専門家のコメント

実際は、病院様の医療機能や現況病院の状態、あるいは新病院の機能に応じた補助金は多数あります。
ただし、既存病院の状況や新病院の計画内容によって採用可能な補助金が変わってきます。計画によっては「医療施設近代化施設設備事業」や「病床機能再編支援事業」、「緩和ケア病棟整備事業」が採用可能かもしれません。既存病院の状況によっては「医療施設等アスベスト(石綿)除去等整備事業」というものもあります。
補助金については、行政の担当窓口に確認することが重要です。



CMrがご説明したように、補助金の獲得を検討される場合はなるべく早く自治体の窓口に尋ねることをお勧めします。一方で、相談する前に準備として知識を得たいときには、ChatGPTが役に立つのではないでしょうか。
また、コラム「補助金の検討で病院プロジェクトを進めましょう!」では、この他に実際に導入された補助金の例も説明していますので、よければご覧ください。

さらに、施工会社の選定する際の候補もWEB Browsing機能で挙げてもらいました。
検索には以下のプロンプトを参考にしてもらっています。

あなたは建設事業におけるコンサルタント、私はあなたのクライアントです。
今回あなたに求められる役割は、リサーチャーです。

#命令:
下記の#背景と#条件を考慮して、私が勤める病院が建物建替えの依頼を検討すべき施工会社についてもれなくピックアップしてください。

#背景:
・私は病院の事務長
・当院の病床数は200床
・築年数は35年
・当院は東京都中央区にある
今回は移転新築であり、移転場所も中央区である

#条件:
・1度に3例まで回答してください
・病院の建設に精通した会社に限定してください
・大手企業だけでなく中小企業も3例に1例の割合で提案してください



使用したプロンプト

結果として回答は得られましたが、問答を繰り返しても特定の企業の紹介しかありませんでした。ここでは企業名は割愛させていただきますが、対話中に出てきたのは実在の病院建設を得意としている企業です。しかし、偏りが生じるため、実際に同じ使い方をされる際にはご注意ください。

余談になりますが、ChatGPTのWEB Browsing機能を使い、病院建替えについて相談をすべきコンストラクション・マネジメント会社を尋ねると、プラスPMをはじめに紹介してくれます。

下記の#背景と#条件を考慮して、病院の建替えについて最初に相談を検討すべきコンストラクション・マネジメント会社をピックアップしてください。

#背景:
・私は病院の事務長

#条件:
・1度に3例まで回答してください
・病院の建設に精通した会社に限定してください
・日本の会社に限定してください



使用したプロンプト

ChatGPTをうまく活用するには

ここまでの検証で、WEB Browsing機能をはじめとして、精査は必要なもののリサーチにかかる時間を大幅に短縮することができるなど、うまく活用することで建設プロジェクトにおいても業務を効率化する手助けになりそうなことが分かりました。加えて、文書作成機能については目を見張るものが確認されています(図1)。先日、当社の社員が参加したセミナーでも、ChatGPTにコーディングしてもらうことで通常の数倍の速度でWEBサイトを構築していたそうです。
ただし、AIは間違いを回答する頻度も高いので、AIからの提案が正しいかどうかを最終的には人間が判断することが必須です。そのため、残念ながら自身の専門でない問題を相談することは、現時点では難易度が高いことが事実です。

病院建替えをお考えの際は、ぜひプラスPMにご相談ください。

スライド11.jpg

図1. 文章の校正をChatGPTにしてもらった結果

(完)


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