コンストラクション・マネジメント 株式会社プラスPM

ブログ

病院建設

病院の再整備に活用できる補助金の仕組みと動向を解説!目的に合った補助金取得法をお伝えします!

※2020.4.30改訂(2019.5.8公開)

昨今、病院経営を取り巻く環境は厳しさを増し、民間病院の施設整備事業には補助金の有効活用が欠かせません。

補助金を有効に活用することによって、理想とする新病院の実現や、開院後の健全な運営につながります。
しかし、そもそも補助金はどのような体系の仕組みなのか、どのような補助金が存在するのか、制限はあるのか、取得にはどのくらいの期間がかかるのかなど、初めての施設整備には未知数なことが多く、どこから検討して良いのかわからないという病院様も多くいらっしゃいます。

今回は、補助金の仕組みと動向をおさえた上で、病院整備の目的に合った補助金をご紹介することで、戦略的に補助金を活用する手法についてご説明いたします。

施設整備関連補助金の構成と近年の動向

施設整備関連補助金の構成

政府予算は2種類

病院関係の政府予算は、大きく次の2つから成り立っています。

  • 国庫補助金(厚生労働省所轄・国土交通省所轄)
  • 総務省所轄の地方債

上記のうち、民間病院の施設(建物)整備に係る補助金は、主に、国庫補助金の中に予算化された厚生労働省所轄の「医療提供体制施設整備交付金」、「医療施設等施設整備費補助金」と、国土交通省所轄の「耐震対策緊急促進事業交付金」等に計上されています。
本コラムでは、「病院」に特化し、且つ他の補助金と比較して政府予算が比較的多く確保されている補助金として、厚生労働省所轄の「医療提供体制施設整備交付金」に着目して解説します。

「医療提供体制施設整備交付金」は、毎年、各都道府県が自らの自治体における医療提供体制の確保を図るために必要な事業を選定し、国へ事業計画書を提出、その後、国から予算の範囲内で交付金が交付される流れになっています。

「医療提供体制施設整備交付金」の事業区分と特徴・課題

「医療提供体制施設整備交付金」には、どのようなものがあるのでしょうか。医療提供体制施設整備交付金は、平成30年時点で、以下の1)~3)から成る31の事業に区分されています。

1)医療計画等の推進に関する事業(21事業)
  • 医療施設近代化施設整備事業
  • 地域災害拠点病院施設整備事業
  • 休日夜間急患センター施設整備事業
  • 救急救命センター施設整備事業 他17事業

2)施設環境等の改善に関する事業(8事業)
  • 医療施設等耐震整備事業
  • 地震防災対策医療施設耐震整備事業
  • 地球温暖化対策施設整備事業 他5事業

3)医療従事者の養成力の充実等に関する事業(2事業)
  • 看護師の特定好意に係る指定研修機関等施設整備事業
  • 内視鏡訓練施設施設整備事業

この31の事業の中には、わずかではありますが公的団体のみを対象とした事業が存在し、民間事業者では取得できない補助金も含まれるため、注意が必要です。

※上記で具体例に示した事業は民間事業者で取得可能です

近年の動向

近年の予算額

直近の5年間における「医療提供体制施設整備交付金」の予算額の推移を以下に示します。
下表、注記より、毎年25億~55円前後が予算化されていることがわかります。

(単位:百万円)平成28年度平成29年度平成30年度令和元年度令和2年度案
当初予算 2,545 2,545 3,242 10,384 6,485
補正予算 2,995※1
5,540 2,545 3,242 10,384※2 6,485※3

出典:●平成31年度、令和2年度病院関係政府予算(案)について(経過報告)/全国自治体病院開設者協議会

●医療提供体制施設整備交付金について/厚生労働省
※1:平成28年度の補正予算は、対象事業のうち、医療施設等の耐震化整備のために措置
※2:令和元年度当初予算額のうち、7,545百万については「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に係る経費として計上
※3:令和2年度予算案のうち、3,242百万については「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に係る経費として計上

交付要望が多い事業

平成27年度から平成29年度までの合計で、交付額が多い事業は以下になります。

  • 医療施設近代化施設整備事業(交付額4,928百万円・交付件数90件)
  • 医療施設等耐震整備事業(交付額3,213百万円・交付件数58件)
  • 地域災害拠点病院施設整備事業(交付額575百万円・交付件数50件)

交付要望の無い事業

逆に、都道府県からの要望が無い事業もあります。

  • 小児初期救急センター施設整備事業
  • 地域療育支援施設施設整備事業
  • 不足病床地区病院施設整備事業 他5事業

「医療提供体制施設整備交付金」の実情と課題

施設整備関連補助金の構成に示したように、毎年、国は各都道府県からの要望を受け、予算の範囲内で交付金を交付しますが、都道府県からの要望額に対し、国から満額の交付がされているのでしょうか?

実情としては、都道府県からの要望額に対し、交付額は5割を下回る状況となっています。例えば、平成29年度においては、要望額5,918百万円に対し、交付額は2,545百万円。即ち、交付率は43%にとどまっている状況です。

上述のように、31ある交付事業の中には、交付額が多い事業と要望がない事業が存在しており、毎年の予算要求に向けては、需要に応じた供給ができるよう、事業の見直しを行うことで、限られた予算の中でメリハリある予算配分を行い、政策の推進を図ることが課題となっています。

令和2年度(案)の特徴

令和元年12月20日、政府は令和2年度予算案を閣議決定しました。厚生労働省予算案は、全体で、前年度比3.2%増の32兆9861億円が充てられ、そのうち整備交付金予算は3,242百万円となっています。

近年の動向に示した通り、「医療提供体制施設整備交付金」の予算額は例年に比して大きな変化はありませんでしたが、医療分野での変化として顕著だったのは、令和2年度初めて、「地域医療構想の推進」に多額の予算が付けられたことです。

  • 「地域医療構想の推進」に881億円
  • うち「地域医療構想の実現に向けた地域医療介護総合確保基金等による支援」に796億円
  • 「病床ダウンサイジング支援」に84億円

が充当されました。
「病床ダウンサイジング支援」は、急性期病床に限らず、医療法上の病床について稼働病床数ベースで1割以上の削減を行った病院に対し、「将来、当該病床を稼働させていれば得られただろう利益」を補助するものと説明されており、今後示される補助金交付要綱の具体像に大きな注目が集まることでしょう。

以上より、補助金を受ける側の民間事業者は、「医療提供体制施設整備交付金」の対象事業は医療環境に左右されることを念頭に置き、国の施策から戦略的に補助金の動向を読みとること、また、新しく充当された「病床ダウンサイジング支援」等の補助金情報をいち早くキャッチしながら、自院へ活用可能な補助金を選択していく必要があります。

目的別補助金の種類

ここまで、施設整備関連補助金の構成と近年の動向を確認してきましたが、ここからは、実際の施設整備において活用可能な、目的別の補助金を見ていきましょう。

建て替えが必要な場合

ケース1:建物の老朽化、狭隘化により建て替え・改修が必要な場合

〇医療施設近代化施設整備事業

病院における患者の療養環境、医療従事者の職場環境、衛生環境等の改善及びへき地や都市部の診療所の円滑な承継のための整備を促進し、もって医療施設の経営の確保を図るために行う施設整備に対する補助

ケース2:既存建物が未耐震建物のため建て替えが必要な場合

〇医療施設等耐震整備事業

医療施設等の耐震化又は補強等を行うことにより、地震発生時において適切な医療提供体制の維持を図るため、医療施設等の耐震化整備のための補助。

〇地震防災対策医療施設耐震整備事業

医療施設の耐震化又は補強等を行うことにより、地震防災対策又は土砂災害の防止のための対策の強化・推進を図るため医療機関の耐震化等のための補助。


ケース1、2は病床や工事規模により、最大数億円の補助額が見込めるため、新しく病院を建設する場合や大規模な増築の際に非常に魅力的です。交付要望が多い事業にあることからも、病院整備を行う際にまず検討する補助金となります。

医療施設近代化施設整備事業は、一時期「精神科病院のみ」を対象としていた時期もありましたが、昨年、「精神科病院に限らず、地域医療構想に基づいた施設整備」を対象とすることに改定されましたので、現在門戸が広がっています。一度手上げを断られた病院様も、再チャレンジしてみてはいかがでしょうか。一方で、近代化補助金は、「病棟の病床数を10%以上削減」等の制限がかかるため、建て替え後の病院収支に問題がないかを確認する必要があります。

耐震化の補助金については、全国で病院の耐震化がある程度進んだため、近年は徐々に減額をしている自治体が出てきており、取得するには早期の判断が必要です。補足まで、新しく病院を建設する場合、未耐震の既存病院は解体しなければなりません。

病院の機能強化・変更をしたい場合

現在の新しい診療機能の追加や現病院機能の強化を目的とした計画の場合、下記のような補助金もあります。

ケース1:建て替えを期に、救急部門や手術部門を強化したい場合

〇休日夜間急患センター施設整備事業

休日及び夜間の診療を行う急患センターを整備し地域住民の急病患者の医療を確保するため、休日夜間急患センターの施設整備に対する補助。

〇病院郡輪番制病院及び共同利用型病院施設整備事業

地域の実情に応じて病院郡輪番制方式等による入院を要する(第二次)救急医療機関を整備し、初期救急医療施設及び救急患者の搬送機関との円滑な連絡体制のもとに、休日及び夜間における入院治療を必要とする重傷救急患者の医療を確保するため、病院郡輪番制病院及び共同型利用病院の施設整備に対する補助。

〇救命救急センター施設整備事業

休日夜間急患センター等の初期救急医療施設、病院群輪番制等の第二次救急医療施設及び救急患者の搬送機関との円滑な連携体制のもとに、重篤救急患者の医療を確保するため、救命救急センターの施設整備に対する補助。


救急部門や手術室だけでなく、放射線検査や内視鏡室等の救急処置に使用する諸室も補助の対象となります。 上記の3つの補助金については建物の建設費もしくは医療機器、設備購入費が補助対象となりますのでどちらで申請する方が有利か選択することとなります。

ケース2:地域医療構想に基づく病床のダウンサイジングを行いたい場合

〇病床ダウンサイジング支援補助金

こちらは、令和2年度に初めて施行されるものですので未だ具体像はわかりませんが、多額の予算が充当されているため、年度明けに示される交付要綱に注目しましょう。

病院理念の実現を考えた場合

ケース1:地域に根差した病院をめざす

〇共同利用施設 施設整備事業

公的医療機関等を地域の中心的な医療機関として位置づけ、共同利用施設として地域の医療機関相互の密接な連携と機能分担の促進、医療資源の効率的活用を図り、もって地域の医療水準の向上に資するため、共同利用施設等の施設整備に対する補助。地域医療支援病院等における共同利用部門の整備に使用できる補助金となります。

対象範囲が多岐にわたり、行政により申請可能額が異なりますので、計画している診療機能で申請ができるのか確認が必要となりますが、地域連携強化を目的とした場合には有効です。

ケース2:省エネや環境負荷に配慮した病院としたい

〇地球温暖化対策施設整備事業

地球温暖化対策に資する病院及び診療所の整備を支援することにより、病院等における地球温暖化対策の取り組みを推進するため、医療機関の地球温暖化対策に資する施設整備に対する補助。
環境に配慮した病院建設は、ランニングコストを抑えた経済的な建物にもなります。但し、環境配慮設備は費用もかさみますので、初期投資と補助額のバランスを検討の上、採否を決定することが重要です。

補助金取得にあたっての留意点

補助金は、返済の必要が無いため大変魅力的なものですが、国費を使用するため、その手続きには留意すべき事項が多くあります。

申請のスケジュールを把握しましょう

補助金は申請時期、内示時期が決まっていることが多く、特に金額が大きな補助金は、内示が出なければ施工者を選定することが出来ない等、設計期間や施工者期間、開院時期に大きな影響を及ぼします。

例えばある補助金では、申請時期が毎年6月頃に設定されており、この申請には、基本設計が完了しているレベルの事業計画が要求されます。
そしてその申請を提出して以降は、基本的に計画変更は許可されない(整備居室や面積が変更できない)ため、この申請時点で精度の高い施設計画が策定されている必要があります。

6月に申請を提出以降、行政による審査が行われ、おおよそ9月を目安に内示が示されます。その内示を受けなければ、原則として施工者を選定することは出来ません。
加えて、その年度末までには、施工者を決定した上で工事着工し、工事出来高を1%以上出さなければならないという決まりがある場合もあります。

目標とする開院時期がある場合はなおさら、この補助金スケジュールを事業開始早々に行政にヒアリングし、精査することが重要です。

発注方式への制約を確認しましょう

先に述べたように、補助金は国費を使用しますので、発注にあたっては工事費の妥当性を入念に審査されます。そのため、設計の発注、工事の発注にも決め事がある場合があります。
ひと昔前は、最も工事費の妥当性が担保できる発注方式として、設計施工分離方式を推奨する自治体が多かったのですが、近年は、設計施工一括発注方式を許容する自治体も出てきています。

また、設計者、施工者の選定方法についても、入札方式、総合評価方式など、決め事がある場合があります。
発注方式、選定方式は、事業スケジュールに大きな影響を与えますので、申請スケジュール同様、事業開始早々に、行政にヒアリングし、精査することが重要です。

適切な補助金の活用で最適な再整備計画を目指す

 ますます厳しさを増す病院経営ですが、施設整備を行うにあたっては、建替え後の収支計画に無理のない投資を行う必要があります。

そのためには、

  • 「医療提供体制施設整備交付金」の対象事業は医療環境に左右されることを念頭に置き、国の施策から戦略的に補助金の動向を読みとること

  • 新しく充当された「病床ダウンサイジング支援」等の補助金情報をいち早くキャッチし、自院へ活用可能な補助金を選択しいくこと

  • 実際の施設整備において活用可能な、整備目的別の補助金情報を収集すること

  • 国費以外にも、市区町村や民間主導の補助金情報(環境配慮やバリアフリー対応の補助金等)を収集すること

に注力し、活用できる補助金を最大限有効利用することをお勧めします。

プラスPMでは、数多くの病院建設プロジェクトを支援しており、事業の性質に合わせた最適な補助金のご提案をすることが可能です。建替え後の病院収支の最適化のため、補助金を最大限活用した事業をお考えの病院様、是非一度プラスPMにご相談ください。


関連記事

Twitter.png Facebook.png

ニュース・ブログMENU

プラスPMについてもっと詳しく知る

  • プラスPMの強み

    プラスPMの強み

    プラスPMのコントラクションマネジメント(CM)の特徴や、CMについてを解説しています。

  • 導入の流れ・費用

    導入の流れ・費用

    プラスPMのコンストラクションマネジメントの導入までの流れと、費用についてご覧いただけます。

  • 会社案内

    会社案内

    プラスPMの会社概要・アクセスや主要取引先、沿革やトップメッセージをご覧いただけます。

  • Q&A・最新情報

    Q&A・最新情報

    よくあるご質問や建設発注に関するコラム、資料ダウンロードなど、お役立ち情報をまとめています。

プラスPMへのお問い合わせ

当社コンサルタントによる初期ヒアリングは無料です。まずはお客様のご要望をおうかがいいたします。

電話

受付時間 平日9:00~17:00
(夏期休業および年末年始を除く)

当社サービスに関するお問い合わせ専用の番号となります

ページトップに戻る