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日本政府観光局は2016年11月2日、2016年の訪日外国人客数が10月30日時点で2005万人に達したと発表され、2016年通年で2400万人になる見通しです。
東京都内や大阪、京都と観光地のホテルでは稼働率が常に90%を超えており、85%で満室と言われるホテル業界では過去に例を見ない高水準で推移しており、全般的に客室数は不足しています。
2020年に開催される東京オリンピックも影響して、ホテル建設が増えています。
また、2012年後半から今日に至るまで、急激に建設コストが高騰しており、建設予算から大幅にコストアップした見積価格となっており、お客様よりコスト削減について多数相談が寄せられています。
設計図を拝見しますと、まだまだコスト削減ができる平面計画や仕上げや仕様となっていることが多くあります。
今回は、現在設計を進めているインバウンド(訪日外国人旅行者)対象のビジネスホテルの事例をもとに、建設予算内で発注するためのイニシャルコスト削減と運営効率向上のためのランニングコスト削減について、設計上のポイントを解説いたします。
スタッフの更衣室や休憩室、事務室とフロント周り、リネン室を集約しバックヤードの部屋をまとめます。
利用計算により設置台数、速度を決定する=イニシャルコストの適正化につながります。
専用のスペースを設けず、エントランススペースを活用し、ネットをかけて保管するといった対応ができないか検討してください。
シングルルームやツインルームといった客室タイプにこだわらず、ユニットバスやベッド、机などの家具・備品の仕様を統一することによりスケールメリットによる単価が抑えられイニシャルコストを削減できます。
テレビ、ラジオ、会話がほとんど聞こえない遮音性能1級TLD-50が最低確保する等級で、グレード感(宿泊者想定、宿泊単価と費用対効果)により遮音性能等級を決定する必要があります。遮音性能はイニシャルコストに大きく影響します。
性能が高い仕様ほどイニシャルコストは高くなるため、ターゲットとなる宿泊者を決め、遮音効果の設定(会話、テレビの音の遮音といった遮音効果)から適正な仕様選定をすることで過剰なイニシャルコストの削減ができます。
上階の動きがかすかにわかる遮音性能1級(重量床衝撃音遮音性能LL-45、軽量床衝撃音遮音性能LH-50)が最低確保する等級で壁と同様、グレード感により遮音性能等級を決定する必要があります。
特に重量床衝撃音遮音性能については構造床(コンクリート)の厚みにより異なり、軽量床衝撃音遮音性能については仕上げ材料により異なります。
一般的にタイルカーペットが、遮音(足音)の効果があり、イニシャルコストも安価であるとともに、汚れ等による貼り替えも容易で、ワックス掛け不要、ランニングコストの削減ができます。
客室は、電気式ルームエアコン(室内機と室外機が1対1)を選定することでイニシャルコストとランニングコストが抑えられます。室内機1台当たりに価格が安価であること、消費電力も少なく、故障時の他の客室への影響がないことが採用理由です。
ただし、室外機を置くバルコニー等、室外機置き場が必要となるため、建築工事含めた総合的なコスト評価により判断する必要があります。
また、室外機1機に複数の室内機がぶら下がるビルマルチエアコン方式を採用するケースでは、冷暖切り替えフリー設定(別々の室内機で冷房と暖房の運転切り替えができる設定)をするとイニシャルコストが大幅に高くなり、室外機が故障した場合、複数の室内機が利用できなくなり宿泊者からのクレームが増大する恐れがあるので費用対効果を検証する必要があります。
これまで説明しました、設計ポイントにおけるコスト削減の取り組み事例はごく一部ですが、ホテル運営効率や機能を追求することがコスト削減につながります。プラスPMのコンストラクション・マネジメントは発注者側の立場に立ち、コスト、品質、スケジュールの最適化による建設事業の推進支援を行います。
事業施設(ホテル、生産工場や研究所、物流施設など)において、多数の新築や増改築、改修計画の運営効率をおさえた効果的なイニシャルコスト削減、ランニングコスト削減実績のあるプラスPMにぜひ一度ご相談ください。
当社コンサルタントによる初期ヒアリングは無料です。まずはお客様のご要望をおうかがいいたします。