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現在設計を進めているインバウンド(訪日外国人旅行者)をターゲットとしたビジネスホテルの事例をもとに、事業収益を向上させるための計画上のポイントを解説いたします。
収益向上のために押えなければならないポイントとして一つ目は、延床面積に占めるホテル客室面積=専門用語で言う「レンタブル比」を高めることです。二つ目が、客室を効率的に扱って、同じレンタブル比でも宿泊できる人数を増やすことです。
この二つによって宿泊できる人数を最大限に高めることで、ビジネスホテルの収益向上が実現できます。
収益面積を最大にして、できる限り客室数を増やすことが収益向上につながることは言うまでもありません。この「レンタブル比」を高める工夫を紹介します。
通常、給水管や排水管、電気配線は共用部に設備配管スペースを設置しますが、構造体の柱や梁部をかわして設置するため、必要以上の面積が必要となります。
この共用部に設ける設備配管スペースを削減するために、客室の水廻りユニット(ユニットバスやシャワーユニット)の一部を欠き込み、その欠き込み部を設備配管スペースとして利用することで面積が削減できます。
客室階に必要なリネン室(倉庫)を、全階ではなく隔階おきに設置することで面積が削減できます。リネン室が無い階は、客室としてそのスペースを活用することで収益面積が増加します。ただし、リネン室は一般的にエレベーター付近に設置されることが多いため、リネン室と置き換えた客室はエレベーターの遮音対策に注意する必要があります。
大浴室を1階共用部に設けることにより、客室の水廻りユニットの効率化を図ります。
ユニットバスからシャワーユニットに変更して各客室の面積を削減し、浮いた面積を客室の追加と大浴場に充てます。共用部面積は増加しますが、収益部である客室数そのものが増加するので問題ありません。(※客室総数が小規模の場合効果がでません。)
収益向上するために押えなければならないポイントとして二つ目は、1日に宿泊する宿泊者を増やすことです。ここでは宿泊者を増やす客室仕様やベッドレイアウトについて紹介します。
あるホテルのワンフロアすべてをシングルルームとしたときに26室設置できるとすると、宿泊者数は最大で26人になります。
しかし、シングルルームは一つひとつに水廻りなどの設備を用意する必要があるため、有効面積宿泊者数という観点からは効率がよくありません。同じ面積であれば、ツインルームの方が効率的に宿泊者数を増やせます。
そこで、先程のプランを変更し、シングルルーム8室とツインルーム12室の配分にすると、許容宿泊者数は32人となり、全室シングルルームにするより6人も宿泊可能な人数を増やせました。
インバウンドの旅行客は、単身での宿泊は稀でほとんどが2名以上の家族が中心です。このツインルームにエキストラベット(簡易ベッドやソファーベッド等)対応したトリプルユースとしての運営をされているケースもあります。
このようにインバウンドをターゲットとしたホテルは、ツインルームを多くとり宿泊者を増やし、収益向上につなげています。
客室のベッドサイズを変更することによっても許容宿泊者数を増やせます。
ベッドサイズには、一般的に以下の5種類があります。
シングルサイズ、セミダブルサイズは1人が使用するサイズで、それ以上のサイズは2人でも使用できるサイズとなります。
最近のインバウンド対応ホテルでは、シングルルームのベッドサイズ幅に140cmを採用し、宿泊者の構成によってはシングルルームをダブルルームとして、2名利用として収益を上げているケースが多いです。
これまで説明しました、収益向上を図る上での設計ポイント事例はごく一部です。しかし、これ以外の施策であっても、レンタブル比の向上や許容宿泊者数を増やすために機能を追求することが収益改善につながることに変わりはありません。
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