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病床編成に苦しむマネジメント!在宅復帰率をあげるための方法とは

2025年問題について議論されるようになり具体的な政策が動きはじめたのは、2014年度(平成26年)の診療報酬改定からになります。
この時、最も医療費に大きな影響をもつ入院料に厳しい規制が入ったのです。
そのなかの1つが在宅復帰率になります。

ところが、これ以前から病院には入院日数の短縮、診療報酬の包括化、カルテの電子化などの政策が実施されてきました。
つまり政府の本音は、2025年問題より膨張を続ける国民医療費の抑制であり、さらに具体化されてきた2040年の90兆円規模の医療費と介護費用問題です。

だから政府は2000年から介護保険をスタートさせ、それまで医療費負担となってきた高齢者の長期療養を自宅や介護施設へ移動させました。その結果、地域包括ケアが大きくなり、在宅医療と介護サービスの受け入れができるようになりました。しかし、家族の理解や介護の負担、回復の遅れなどの問題は残り入院日数の短縮ができても課題があります。

そこで、いま在宅復帰率の改善に取り組んでいる医療機関のマネジメントを知り、今後につながる具体的な方法がないか、ここで紹介します。

7対1、地域包括ケア、回復期リハビリ、老健などで実施されているマネジメント

実際に在宅復帰率を達成あるいは改善されつつある医療機関が具体的に実施しているマネジメントとは、入院時から患者さんとその家族に対して退院後の具体的な医療と介護の話し合っているところが共通しています。

もともと患者さんやその家族には医療や介護についての知識がなく、さらに以前からはじまっている入院日数短縮より医療施設から追い出されたというイメージが多く、このイメージを減らし医療や介護を理解させた施設が成功しているのです。

この成功は、医師、看護師、理学療法士、在宅復帰に関わる職員などのモチベーションを上げることになり、さらに具体的なケアの目的ができることで好循環につながっていると言われています。
しかし、院内の人間関係・職域による関係性・改善の諦めなど医療機関内の課題、またステイクホルダーなどの影響から、取り残されている施設が多いことも現実であります。

2014年度診療報酬改定からスタートした在宅復帰率どのような状況なのか

2014年度診療報酬改定からスタートした在宅復帰率ですが、2018年度改定時点において7対1病床で80%以上、地域包括ケア病床で70%以上、回復期リハビリ病棟70%以上、療養病床50%になっています。

実際にこれまであった改定によって在宅復帰率がどのような状況になっているか具体的には、2016年度の厚生労働省の速報によると7対1病床では平均92.5%、地域包括ケア病床で87.2%、回復期リハビリ病棟は82.2%、療養病床では3割が50%未達でありました。
しかし、これらは届出があった在宅復帰率の達成が予想できた施設で、10対1病床や地域包括ケア病床の届出がないところでは、在宅復帰率の改善が課題になっているのです。

在宅復帰率を上げるための方法とは

2014年度診療報酬改定から登場した在宅復帰率は、7対1病床、地域包括ケア病床、回復期1・2病床に課せられて使命になっています。今後、これを上げる、維持させる方法について悩むことが多くなると考えます。
そこで病床別で施設機能が違うことから、それぞれの対策を紹介します。

7対1病病床あるいは10対1病床の場合

7対1病床が2018年度診療報酬改定によって大きな影響を受けたのは、重症度の患者割合が25%から30%にアップしたことです。
つまり以前の入院料1561点を守るためには、重症度を5%アップさせ在宅復帰率80%を維持させなくてはいけないのです。そうしないと30点も減点され1531点になってしまいます。

この場合、重症度アップで医師と看護師の負担が増大することから、これまでと医師と看護師に頼ってきた患者さんとご家族への退院後のケア説明を、入院前か入院直後から支援員やケースワーカーが参加してカバーすることが望ましいようです。
重症度が高い患者さんが増え、おまけにそれ以外の患者さんが70%いることから、少しでも退院後ケアに不服を持たれてしまうと、患者さんの回復が遅れたり退院後の行き先が決まらず入院延長が出てきます。

こうなると在宅復帰率80%を下回る可能性があるため、患者さんのすべてのケアをチーム力でカバーし、地域包括ケア病床への移動や新たに創設された介護医療院への転院をするようにしましょう。

地域抱括ケア病床の場合

2018年度診療報酬改定では在宅復帰率70%に変化はないが、救急対応が増え重症度がアップすることから、医師と看護師の負担が増えます。
さらに、これまで在宅復帰率を上げるための施設であった長期間にわたる医学的な管理が必要となる慢性的な疾患患者が入院する療養病棟と原則3ヶ月の利用が可能で介護保険を利用した医療的な管理にリハビリが受けられる介護老人保健施設(老健)がカウントされなくなったために、入院前や入院直後からの退院後ケアの説明が重要になります。

つまり医師や看護師だけでなく理学療法士や支援員のカバーが重要な点になります。

また地域包括の協力をえるために、ケアマネジャーとの協力体制も強化することが望ましいのです。

回復期リハビリ1・2病床の場合

2018年度診療報酬改定では、在宅復帰率が回復期1で変化がなく70%であるが、回復期2が60%から70%に変化しました。
こちからも地域包括ケア病床と同じく、施設から療養病棟と介護老人施設がカウントされなくなったため、入院前や入院直後からの退院後ケアの説明が重要になります。
さらに在宅への移行に重点を置き、維持リハビリとの連携が重要になります。
つまり回復期リハビリテは地域包括ケア病床と違い、入院前あるいは入院直後から患者さんとその家族へのケア説明には支援員だけではなく地域包括としてケアマネジャーを積極的に参加させることが望ましいようです。

まとめ

2018年度診療報酬改定は、2014年からはじまった2025年の病床編成への強化策が含まれています。
政府は、基本的に病院から介護施設、病院から在宅医療へ少しでも早く回転させ、これによって病院の効率的な利用へと結びつけています。
今後も、重症度や在宅復帰率の割合が増える可能性が高いです。
だから効率的な転移を進めるために、医師や看護師だけでなく病院全体で退院後のケア説明をすることが、とても重要になってきます。


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