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医療経営

地域医療構想を実行するためには何が必要なのか

2025年には団塊の世代が75歳を超えるため、さらに医療・介護の必要性が高まると予測されます。そのため、平成27年4月に都道府県において地域医療構想が策定されました。

これから起こる超高齢化社会に向けて、医療機関ではどのような取組が必要となるのでしょうか?

今回は、地域医療構想について具体的に考えていきましょう。

関連記事:公立・公的病院の統合再編は今後どう進むのか、地域医療構想を受け民間病院はどう変化を求められるのか

団塊の世代に起こる2025年問題とは

近年、65歳以上の高齢者は年々増加し、さらに少子化が加速しているため医療制度においてさらに問題が増えると考えられています。

厚生労働省の「都道府県別高齢者人口(65歳以上)の増加数」によると、現在一人の高齢者を2.6人で支える社会構造となっていますが、2025年には一人の高齢者を1.8人で支えていかなければならないと想定されています。これは、2025年に団塊の世代といわれる1947年~1949年の世代(平成31年現在72歳~74歳)が後期高齢者といわれる人が増えるからなのです。

また、生産年齢人口といわれる15~64歳の人口は、年々減少していくと考えられており2060年には全体の人口の50.9%になると推計されています。
その一方で、高齢化率は39.9%と増加していくと推計されているため、高齢者を支える医療・介護に携わる人の減少がさらに大きな問題となることが予測されます。そのため、地域医療構想は、2025年に急激に増える高齢者の問題を解決するために策定されました。

地域医療構想を実現するための取り組み

地域医療構想を実現するために、さまざまな取組をおこなっています。

病床機能報告制度

地域医療構想では、「高度急性期機能」「急性期機能」「回復期機能」「慢性期機能」の医療機能ごとに現状と今後の体制について、都道府県に報告する制度が実施されます。これは、毎年おこなわれ10月に報告することとなっています。
(厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html

地域医療構想調整会議

地域医療構想を実現するために、診療に関する学識経験者や医療関係者を含め協議の場を設けることとなっています。これは以下のような内容について協議されます。

また、
・医療機関が担うべき病床機能に関する協議
・病床機能報告制度による情報の共有
・都道府県計画に盛り込む事業に関する協議
・地域医療構想の達成の推進

地域医療介護総合確保基金の活用

2025年問題を解決するためには、「効率的かつ質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」が課題となっています。これらを実現するために、「地域医療介護総合確保基金」といった財政支援制度が創設され、各都道府県に設置されています。

  1. 医療機関の施設、設備の整備に関する事業
  2. 居宅等における医療の提供に関する事業
  3. 介護施設等の整備に関する事業
  4. 医療従事者の確保に関する事業
  5. 介護従事者の確保に関する事業

が対象となっています。

(厚生労働省:
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000196935.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000194389.pdf

地域医療構想を実行するには何が必要なのか

地域医療構想を実現するためには、以下の3つが必要と考えられています。

  1. 全国的に不足している「回復期機能」をもつ医療機関
    回復期は、急性期を離れた患者の受け入れ先として確保しておかなければいけません。もし回復期機能をもつ医療機関が不足していけば、急性期を離れた患者はすぐに在宅に戻らなければいけなりません。リハビリや在宅復帰にむけた医療が必要な方が安心して過ごせる医療機関を確保することが一番の課題となっているのです。
  2. 慢性期機能をもつ医療機関の充実
    療養型病院などの慢性期機能をもった医療機関は、在宅復帰を目的とした人だけでなく、ターミナル期を迎えた方など、その人にあった適切な治療を受けられる場所が必要です。
  3. 医療従事者の確保
    地域医療構想を実現するための課題として、これまでも度々問題になっています。特に、地方の医療機関では医師や看護師の数が不足しており、十分な設備が整えられていたとしても、これらを機能させるために必要な医師や看護師が足りません。この問題を解決するためには、医療機関だけでなく国や都道府県がもっと関わっていくべき問題だと考えられています。

また、地域医療構想を実現するために必要な「地域医療構想調整会議」は、都道府県知事が民間の医療機関に命令・指示・勧告することができます。もし、過剰な医療機能が発覚した場合、従わなかった旨を公表されたり、地域医療支援病院・特定機能病院の承認を取り消されたりすることもあるため、さらに医療機関の再編が進められていくと考えられます。

これから2025年に向けて求められる地域医療構想は、地域に合わせた独自の医療構想が求められています。例えば、大阪府の地域医療構想によると、回復期が大きく不足しているため、早急な病床機能の回復が望まれています。都道府県別による地域医療構想は、インターネットで検索すれば見ることができます。


参考サイト

厚生労働省:

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000094397.pdf p2.4)

http://www.pref.osaka.lg.jp/iryo/keikaku/kousou.html

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000196935.pdf

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000194389.pdf

e-LINKED:

http://www.project-linked.jp/?p=35973


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