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医療経営病院建設

【病院の統合と再編】今後、日本の医療機関はどう変化していくのかを考える

病院の統廃合・合併はこれまでもありましたが、今後はそれが民間病院だけではなく、公立・公的病院でも加速していくものと考えられます。
これを受け、今回は「今後、公立・公的病院の統合再編はどのように進んでいくのか」、翻って「民間の病院はどうなっていくのか」の2つの観点で解説していきます。

公立・公的病院の統合・再編計画が発表されました

なぜ統合・再編を行うことになったのか

2014年に成立した「医療介護総合確保推進法」によって「地域医療構想」が制度化されました。その目的は限りある医療資源の効率的な運用と、年々増え続ける医療費の抑制です。
同制度は、2025年をマイルストーンとして、病床の地域偏在状況や、その地域に余剰または不足する機能を明らかにすることで、適切な医療提供体制構築を目指しています。

結果、多くの地域で病床数や医療規模の縮小が必要となることが明らかになり、2020年現在においても、目標に対し削減の進捗は順調とは言えない状況となっています。
そうした中で、公立・公的病院440弱の病院に対して「再編統合について特に議論が必要」とする分析が、病院名入りで厚生労働省より発表されました。

行政からの強制力を発揮しやすい公立・公的病院に対し、統合や再編、規模縮小等をある程度強硬に行っていく姿勢を民間病院も含めた医療業界全体に周知した形になりました。

下記統計によると、日本は他国と比べ人口に対する病床数、病院数が多いといえます。また、年間1兆円ずつ増え続けてきた医療費は、今年度では42.6兆円。人口減少で多少緩やかになったとしても、今後もしばらくこの水準が続くものと試算されています。

医療費削減の解決策として病院の数を減らし、医療費に占める割合が高い入院費を縮小するため病床数を削減しようとする厚労省の姿勢は、今後も変わることはないでしょう。

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▲クリックで拡大表示できます

日本の病院の特徴は、「全国一律な医療サービス」を提供する傾向があるために、個々の病院が多くの診療部門を備えていることです。特に公的病院では、「地域医療の受け皿であるのだから、不採算部門になりがちな診療科でも続けていかなければならない」という姿勢をとり続けています。

結果、公的病院のほとんどは自治体からの赤字補填で支えられており、その総額は年間8,000億円にのぼります。
予防医療の拡大や、医療から介護への転換等、医療費を削減すべく多くの施策が行われてきましたが、ここにきて「全国一律な医療サービス」が限界にきているのではないでしょうか。

再編は本当に可能なのか

丁寧な説明による不安の解消が必要

病院の縮小、もしくは統廃合による移転は、長くその地域で安心・安全な医療を享受してきた地域住民へ不安を与えます。
結果、病院移転は丁寧な住民説明が必要となり計画が遅延、もしくは中止となるケースが見られます。

また、移転先となる地域の既存病院は自院から患者がとられるのではないかとの危機感もあります。
地域医療構想の目的である医療連携を強化して、中核病院、地域の病院、患者の3者が利益を享受できる計画とすることが円滑な計画の進捗には重要となり、計画初期から情報を発信し地域への理解を得ることが肝心です。

通院困難地域の医療改革へ

距離のある病院の統合により、通院距離が遠くなり、患者が通えなくなるという懸念があります。
公共交通機関が少ない山間部やへき地はもともと病院への距離も遠く、合併により通院距離がより長くなる場合もあります。

その対策として、各地域の診療所とのネットワークを強化できる新病院整備をすることで、地域連携の強化を計ったり、WEB診療や在宅医療の拠点となるような仕組み作りを行ったりすることが重要です。

高速インターネットの導入によって、患者と医療スタッフ間、地域の医師間の連携強化を図ることや、キャッシュレス決済・薬の郵送などによって在宅医療を強化することも必要となるでしょう。
病院が減るということは医療圏としてのバランスを崩すことにもつながります。周囲地域のニーズだけでなく、より広い医療圏でのニーズを考慮した上で、病院統合を検証する必要があります。

病院再編でプラスの効果を

これまでの病院再編は規模縮小を伴う統合となったり、通い慣れた病院がなくなったりすることから、患者サービスの低下や緊急時の対応能力の低下への不安感がぬぐい切れず、医療関係者だけでなく、一般の人々からの反対もありました。

ただ、病院機能の集約がもたらすのは、医療費の削減だけではありません。医療・介護一体の改革を行うこと、効率的に地域のリソースを使えるようになることは、長い目で見れば地域の医療環境にとってプラスに働きます。
病院再編の結果、

  • 不足していた診療機能が充足された
  • 災害時でも対応可能な強固な病院ができた
  • 地域の拠点病院となり、医療だけでなく地域の介護施設との連携が強化された

といったプラスの効果を実現することもできます。
地域包括ケアシステムの重要な機能を、地域の病院は担っています。地域の課題を解決できる病院として適切に再編されることは、結果的に住民が住み慣れた地域において継続して生活できることにつながります。

再編が進んだ場合、公立・公的病院はどのような形になってゆくのか

地域医療構想を受け病床数を削減、地域連携による診療科の縮小

今後も医療施設全体の病床数削減は、官民問わず進んでいきます。その中で、公費や補助が必要な赤字状態の公立・公的病院が存在していると、収益性の高い病院、もしくは代替えの利かない医療機関のみ残し、民間病院と競合する公立・公的病院の病床数が、削減の対象と軽量化なってしまう可能性があります。

しかし一方で、公立・公的病院は地域医療の受け皿として不採算部門の診療科でもある程度続けていかなければなりません。
こうした中、公立・公的病院は今後どのようになっていくのでしょうか。

一つは、今後の再編は個別の病院機能のみで計画されるのではなく、その地域全体での役割を考慮した上で計画されていくことになっていくのではないかと思われます。 「病院がやりたいこと」から、「必要とされていること」を具体化するハコとしての公立・公的病院となっていくのです。

極端な例かもしれませんが、公的病院は施術後の入院初期、もしくは地域の病院では対応困難な末期の患者を受け入れるためだけの病院となるかもしれません。
2020年の診療報酬改定において、400床以上の大規模病院では地域包括ケア病棟は新設できなくなっていることからも予測されるように、今後更にポストアキュートの病床は削減され、地域の中・小規模病院へ患者さんを受け渡す機能が求められるようになるでしょう。

外来機能も地域でよりニーズの高い診療科に特化したもののみが残り、診療科も、今のようにすべての患者を受け入れるというものから、必要度の高い診療科だけが残り、軽量化されていくと考えます。包括医療費支払い制度方式(DPC)が入院期間中の治療のみならず、外来診察にも適応されていく可能性もあります。

高額医療機器も地域開放されることで、地域で必要とされるものだけに集約されていくかもしれません。

関連記事 将来に亘り地域医療・福祉を支える病院になるために、必要な機能分化と地域連携を考える

公設民営化が進み、ダウンサイジングしながら病―病連携の拠点になっていく

病院の運営面でも変化が必要になるでしょう。病院規模が小さくなる中で統合をする場合、民間医療機関による運営をおこなうケースも多くなるかもしれません。
昨今の統合・再編をみると公設民営の病院の割合が増えてきています。

法人にて地域に複数のグループ病院を持っている場合、地域のニーズも把握しやすく、病院と病院の連携もスムーズに行えます。また、各病院で診療科に特色をもたせることも可能です。

1990年代以降、50床未満の病院はその数を3割程度減らしており、今後大きく数を減らすことは難しいと思われます。そのため、2025年までに13万床の削減が必要とする政府目標を達成するためには、官民を問わず大規模病院の病床数の削減が急務となっており、再編が今後も続いていくでしょう。

補助金についても、稼働病床数ベースで1割以上の削減を行った病院に対し「将来、当該病床を稼働させていれば得られたであろう利益」の補助を全額国費で行うという制度に変更され、2020年度予算に計上されました。従来の制度と異なり、病床削減に特化した財政支援となり、国の本気度がうかがえます。

結果、経営主体の変更と合わせ、病床数を減らした再編が加速していくと考えられます。

関連記事 補助金の仕組みと動向をおさえ「病院再整備の目的に合った補助金取得手法」をお伝えします!

公立・公的病院の統合・合併 事例

北播磨総合医療センター(小野市民病院と三木市民病院が統合)

<再編による主な効果>

  • 医師数が増加(60名→80名)し、診療科が充実(21診療科→33診療科)
  • 休止・縮小していた分娩や小児救急を開始・拡充するなど、必要とされる地域医療を確保

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(仮称)川西市立総合医療センターキセラ川西センター

地域の中核病院として役割を担ってきた市立川西病院(235床)と医療法人協和会の協立病院(313床)を統合、新たに(仮称)川西市立総合医療センターキセラ川西センター(400床)を公設民営病院として建設する事業計画です。現在プラスPMが支援を行い、計画進行中です。

大規模な民間病院は今後どのように変化していくのか

大規模な民間病院、中小規模の民間病院に関する章は2020年6月中旬ごろ追記更新予定となります。


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