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病院建設

病院における空調設備更新のポイント

※2021.3.15 改定(2014.10.31公開)

例年、病院建物で、春先から夏にかけてご相談が増えるのが空調設備の更新です。
病院は、病棟など24時間365日連続して空調をかけている部分が多く、暖房運転から冷房運転に切り替えがなされる時期に、不具合や故障が発生しやすくなります。
そして、連続して運転する必要があるからこそ、更新工事は一朝一夕にはいきません。

今回は、病院の空調設備更新のポイントは何か、重要な部分に絞って解説いたします。

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更新する範囲と予算の決め方

目に見える故障の修繕だけでいいですか?

医療施設にとって、空調設備は1年を通してなくてはならない設備です。
一度故障や不具合が起きれば患者さんの療養環境に大きな影響を及ぼします。

故障が発生した時、多くの医療施設では、先ずいつも修繕などを依頼している設備業者に故障範囲を見てもらい、見積依頼をかけるのが一般的でしょう。
しかし、目に見えて不具合を訴えているのは一定の範囲、一部の設備機器だけですが、同時期に設置し運転している他の空調機械があれば、それらも同様に劣化しています。(空調の一般的な更新時期は15年と言われています)

設備機器の修繕は『とりあえず』の場当たり的な対応になりがちですが、年間の修繕費用はどのくらいかかっているでしょうか。
年間数百万円の出費があるような場合は、より広い範囲の修繕工事を見込んだ計画を立てることも必要
です。

長期的な修繕計画の実施がトータルコストを下げる

ここで必要な視点は「今回の修繕工事はあと何年運転可能な工事とするか」です。
空調設備の機械設備というのは、天井に見えている機械(室内機)だけではありません。屋上に設置されている大きな機械(室外機)と、その2点を結ぶ数種類の配管が含まれます。
これら全てが、だんだん劣化していっています。

室内機・室外機・配管を含むどの範囲を、いつ修繕していつまで持たせるか、長期的な計画を立案すると、結果としてトータルの修繕費用は安くなる傾向にあります。
また、工事費以外にも利点があります。それは、修繕工事の病院経営に与える影響です。

突然の空調機器の故障は、医療現場のベッドコントロールに大きな影響を与え、場合によっては入院患者さんの受け入れにも支障が出るかもしれません。
予め、修繕工事時期や範囲が計画されていれば、それに合わせた病院運営が可能になるでしょう。

設備更新はランニングコスト削減のチャンス

既存設備は機能低下している

設置した当初は、100%の能力を発揮していた設備機器も、実は運転をしている内に機能が低下しています。

長年使用している設備機械は、機能低下・効率低下を起こしていることがほとんどです。一般的な空調機では、10年間の使用で約15%の使用電気量の増加があると言われています。

機器更新に必要なイニシャルコストは「機器が壊れるまで」と先延ばしにできますが、ランニングコストは確実に増加しています。

最新の設備機器は効率が上がっている

家に設置している空調機器が、毎年省エネ性能をアップさせているように、病院に設置している空調設備も、新しくなるごとに省エネ性能を向上させています。

単に既存設備機器の修繕だけではなく、設備機器の更新を行うだけで、10~15%のランニングコスト削減効果が発生することはよくある事です。
故障個所一カ所だけでは大きな効果はありませんが、古くなった設備機器を一斉に見直せば、大きな効果が得られます。

利用状況に合わせた設備の能力見直しがコスト削減につながる

建物を設計する際には、その部屋を使用する人数や用途から計算し、適した能力の空調機器を設定します。
しかし、それが必ずしも実際の利用状況や必要性と合致しているとは限りません。

場合によっては、そこに設置する空調設備の能力や空調システム(空調系統等)自体を実際の利用状況と合致するように見直すことによって、コスト削減できる事例もあります。

工事費削減は競争環境の構築から

大規模な修繕工事での工事費削減

設備機器に故障が起こった際、その建物を設計した"設計者や、工事した専門工事会社に任せきり"にしていないでしょうか。

単なる故障の修繕であれば、建物のことをよく理解している設計者・施工者に依頼することも仕方ないかと思います。しかし、空調システムごと更新を行ったり、システム自体を見直すなど、大規模な修繕工事を行う際は少し状況が異なります。

元の設計図面や、過去の修繕・更新状況が記録として残っており、十分な現場確認を行えば、実は他の設計者・施工者でも検討・設計・施工は行うことができます。

複数のメーカー、施工会社から提案を貰う

とある病院では、故障が起こるたびに設計者や施工者に相談を行い、任せきりの状況が続いていました。
しかし、大規模な修繕工事を計画し、実施される際に、計画内容と工事価格に疑問を持たれ当社に相談がありました。

当社にて調査を行ったところ、新たな空調システムとすることで大きなメリットがある事がわかりました。
単純な機器更新だけで済ませず、使用頻度の低い部屋の空調の系統(室内の空調機と屋外の室外機の接続の仕方)を単独化し、熱源機器の能力を適正値に見直すなど、現状の使い勝手に合わせた空調機器を設計することを提案しました。

大規模な修繕計画となり、ある程度まとまった工事費となったことで、複数の施工会社から見積を徴収することができ、競争環境を確立することで結果的に 15%の工事費削減が可能となりました。

トータルコストを削減できる空調設備更新計画

空調設備更新は、一般的に以下のようなステップで進められます。

  1. 現状ヒヤリングと調査
  2. 更新計画の立案と、エネルギーコスト削減によるランニングコストのシミュレーション
  3. 投資金額の算定
  4. 見積収集と価格交渉、工事価格の決定
  5. 工事の管理

建物の経年劣化が進んでいる場合は、特に2.や3.のステップを正しく踏むことで、トータルコストが削減できる計画とすることができます。

新築時の計画が重要

今回は、空調設備の更新に焦点を当て、トータルコストの面からポイントをご紹介しました。

しかし、実は一番重要なのは、建物を新築する時点です。
建物を新築した時に、「長期修繕計画」を同時に作成することが、結果的に建物の寿命を延長させ、トータルコスト削減につながります。

「長期修繕計画」には、数年後あるいは数十年後まで、建築設備や建物そのものの劣化状況を想定し、何年にいくらの修繕費がかかるかが記載されています。
病院経営上も、その費用を予め見越したうえで戦略が立案でき、先の見通せる経営計画となる
ことでしょう。

設備の更新、システムの入れ替え、長期修繕計画の立て方など、不安やお悩みをお持ちでしたら、プラスPMに是非一度ご相談ください。


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