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病院建設

設計、施工の発注方法について

プロジェクトの目的、重点項目により最適な発注方法は変化します

医療施設の建設事業においては、設計事務所、総合建設会社(ゼネコン)に設計や工事を依頼する方法として様々な方法があります。

  1. 設計事務所が基本設計から実施設計、監理まで行い、総合建設会社が工事を行う方式。
    以下「設計・施工分離発注方式」とします
  2. 総合建設会社が基本設計、実施設計、工事まで一括で行う方式。
    以下「設計・施工一括発注方式」とします。

の2つがよく使われる一般的な発注方式かと思います。

「設計・施工分離発注方式」のメリットは、設計事務所が実施設計、工事監理まで行うため、デザインやディテール等の設計意図が詳細まで反映していくので、建築としての品質は高くなります。

逆に、デメリットとしては建設コストが決定するのが、実施設計図書が完成し総合建設会社に見積を取った時ですので、コスト管理が不得意な設計事務所の場合、品質を上げすぎてしまい、事業費オーバーをしてしまう可能性がある等、コスト面での不安要素があることです。

次に、「設計・施工一括発注方式」のメリットは、スケジュール面です。
総合建設会社には設計段階での組織力活用や、先行で解体や仮設工事等が可能なため、事業スピードが速くなることです。

また、総合建設会社の省エネ技術や免震工法等の技術力を設計段階から活用できるというメリットも大きなところです。

デメリットとしては、コスト優先で設計を進めた場合、品質を損なう可能性や、コストの上限設定をしやすい反面、設計段階の打合せが不十分で、工事着工後の設計変更による追加コストが発生しやすいことです。
また、補助金事業での採用例は少ないこともあげられます。

また、3番目として、別の発注方式をご紹介します。建設コストは基本設計段階で70%が決定すると言われています。
この「基本設計」までを設計事務所が行い、その基本設計をもとに総合建設会社を選定し(選定方法は次回以降にご紹介します)、実施設計以降を総合建設会社が一括で行う方式です。

具体的には、医療施設の設計実績、ノウハウがある設計事務所が、配置図、平面図、断面図や、外観パース、各室の必要設備等、設備仕様書まで作成し、あとは実施設計で詳細を詰めていく直前まで、基本設計図書としてまとめます。

この基本設計以降の、実施設計・施工までを総合建設会社が一貫して行うことで期間短縮が可能であったり、技術力を早期に活用できる等のメリットがあります。

また、基本設計段階という、事業早期の段階で建設コストを把握し、実施設計でコストを抑えることも可能になります。

技術的な管理が事業主に求められるのは共通ですが、「設計・施工分離方式」が品質重視、「設計・施工一括方式」がスピード重視とするのであれば、この方式はバランス重視と言えると思います。

一品生産である医療施設の最適な発注手法は与条件によって様々ですどの方式も良い面、悪い面がありますが、事業主の組織体制、建設事業の優先順位や事業の難易度を十分認識し、事業主にとってベストな発注方式を取ることが重要です。




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