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※2020.12.24 改定(2016.10.1公開)
例年今時期はインフルエンザが流行し、皆様予防接種やマスクに余念がない事と思います。
加えて今年は新型コロナウイルスとの同時流行も懸念され、例年以上に発生状況に注目が集まっています。
病院建築は、対外的にはいつ起こるか分からない大規模災害時の「安全・安心」を備えたハードの計画はもちろんですが、院内での日々の運営内に潜む院内感染リスクなどのソフト面への配慮も必要です。
日本での院内感染による死亡者数は、推測で年間約1万6500人と言われています。院内感染は患者やその家族に多大な苦痛を与えるばかりでなく、病院の信頼性という最も重要な社会的価値を損ない、さらにDPC病院ではその疾病治療費は病院負担となります。
(例えば、MRSAに感染することで、一症例当たり入院日数が約70日間増加し、余分な診療費は約400万円を超えると言われています。)
コロナ禍においては、院内から感染者が発生しただけで風評により外来患者数が減り、入院患者の移転などで経営の持続的な安定性を大きく揺るがす問題となりました。
院内感染は、自然災害による被害と同等かそれ以上の経営リスクと考え、対策を講じなければならない事項と言えるでしょう。
院内感染は、業務・運営の中において起こる問題であり、建築的な対応では防止できないのでは?という印象があるかもしれませんが、実は様々な建築的対策手法があり、その中には施設完成後には対応することが難しいものもあります。
計画初期からの院内全体での検討と調整、合意形成が重要なのです。
感染には感染源・感染経路・感受性体(患者)の3つの要素があるといわれています。
そこで院内感染対策において考慮しなければならないことは
となります。
これら3つの要素に対する建築的なチェック項目・昨今の対応例をご紹介します。
感染源とは、主に感染症患者から発生する汚染物や患者自身です。それらを隔離し封じ込めることで、危険因子の拡大防止を図ります。
汚染物の集まる汚物処理室や不潔リネンなどの計画においては、利用者の出入り時などに感染源に触れないよう、置き場をきちんと隔離できるつくりにすることが重要です。
オープンカウンターが主流になりつつあるスタッフステーション内は、ごみ箱や物品保管場所が誰でも触れることができる設えになっていると、隔離ができているとはいえません。
計画の段階からごみ箱やペーパータオルをどう設置するのか、もしくは設置しないのかまで確認をしましょう。
最新の事例として、現在計画中の病院では、
などの対策が見られます。
接触感染・飛沫感染・空気感染それぞれの伝播を防止するため、各部門の配置を検討します。重要なことは感染の拡大を防ぎ、封じ込めるためのゾーニング、動線となっていることです。
平面計画だけではなく、感染防止の基本である手洗い設備の配置、空調・換気設備のゾーニング、床・壁・手すりの設えなど伝播防止についても重要な検討項目です。
最新の事例として、計画中の病院では
などの対応をしている病院があります。
隔離診察室・隔離病室やクリーンルームの設置、前室設置などの処置により清浄度を管理し、感染患者を安全に隔離します。
それらの諸室は、換気回数・空気清浄度・陰圧や陽圧の室内圧制御・気密性などの個別性能の設定をどうするかが重要です。
必要性能と設備コストを検討する必要もあります。
細かなところでは、清掃性・防汚性の高い仕上げ材の選定はもちろんのこと、埃だまりにならないカーテンレールや家具頂部の処理、床面の清潔を保つための配管の処理、電気関係コードが床を這い回らないコンセントの位置の検討など、運用に配慮した計画が必要となります。
また、飛沫感染への対策には距離が重要です。
コロナ禍ではソーシャルディスタンスが話題になりましたが、病室だけでなく、透析ベッドや点滴なども、適切な距離(2m以上)の確保が必要です。
さらには、パンデミックに迅速に対応できるよう、通常とは別の出入口や通路・設備の確保や、トリアージ対応ができるスペースを院内外に確保するなど、緊急時に可変性のある対応ができる計画となっていることも重要です。
コロナ禍で注目を集めた検温のための医療用テントや仮設発熱外来などの非常時施設の設置についても、計画時に予め場所を想定しておくことで水・電気・排水の処理を屋外に見込んでおくことができます。
これらは後々に設置するとなると大掛かりな改修工事が必要になりますが、建築当初に見込んでおけば安価に済みます。
こうした対策は多少の建築費のアップにつながりますが、前述したように院内感染で発生するコストを考えると、経営の持続性を阻害する問題の長期的なリスク管理としては、必要な対策であるといえるでしょう。
【写真の提供】医療法人 沖縄徳洲会 湘南鎌倉総合病院:仮設発熱外来 外観
【写真の提供】太陽工業株式会社:「医療用陰圧テント」より、2015年MERS流行時の韓国での使用事例
新型コロナウイルスにより、全体機能へ大きな影響があり、結果、患者減により経営が悪化した病院が数多くあります。またその対策のため、院内改修や新病院計画の見直しをされている病院もあります。
そこで課題となるのが、どこまで備えるべきなのかという基準がないことです。
感染症の受け入れを積極的に行っていない病院であっても、院内で発生した場合は隔離、搬送を計画しなければならず、実際、どう隔離するか・他の患者はどうするのか苦慮した病院があります。
また、待合はどう密を避けるのか、そもそも外来へ患者を入れる前に検査が必要なのではという考えから、基準を厳しく設け実践することで、通常診療へも影響が出てしまったという事例もあります。
常に発熱外来を設置することや、病院の入口になっている箇所すべてに検温場所を確保し、職員や機械を配置する対応を中小規模の病院で行うことは人員の確保・コスト面からも難しいように思います。
そこで重要なのは、平常時・拡大期・蔓延期を分けた、段階的な対応ができるように計画を行うことです。
平常時には特別な設備はなくても、以下のように拡大期以降にオプションとして、外来の絞り込みや、最低限の職員配置で来院対応ができるように計画をしておくことが、スタッフ負担を少なく且つ安全に感染対策をする方法となります。
このように平常時の運用には影響せず、そのための大幅なコスト増も必要としない工夫は数多くあります。
また、最新のコロナ禍での最新検討事例としては、「換気」が注目されました。
今までは窓が閉まっていた電車やショッピングモールでさえ、窓が定期的に解放され自然風での換気が行われています。(自然換気)
従来の病院建築は機械換気により院内の温度や湿度・気流のバランスを一定に保つ造りが基本でした。そのため窓を開け放つことが難しい造りです。しかし、他建物用途では議論が起こり始めている自然換気の導入もwithコロナの時代には要求されてくるかもしれません。
個室的多床室などの入院ベッドごとに個別に換気が行える仕組みや、外来待合に自然換気を積極的に取り入れ可能な窓配置も検討対象になるでしょう。
病院建設事業において、院内感染防止対策は非常に重要な検討テーマです。
どのような感染患者まで受け入れるのか対象を明確化し、それに対して実績のある確実な建築的手法を、適切な箇所に過不足なく採用することが大切です。
中には慣例や思い込みにとらわれた科学的根拠のない感染対策で、過剰なコストがかかっている事例も見受けられます。また、病院の機能や立場によっても対応策が異なります。
感染指定病院などであれば免疫低下患者の感染防止も重要な要素となり、感染源の隔離と感受性体の保護をどのレベルで行うかなども検討する必要が出てきます。
院内感染防止の建築的な対応について、何をどこまでやればいいのかお悩みでしたら、コンストラクションマネジメント(CM)会社として数々の病院プロジェクトを経験し、基本構想から開業までをしっかりとアドバイスできるプラスPMに、是非一度ご相談ください。
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