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医療経営

【対談】新型コロナウイルス感染症で変わる医療現場について 国際親善総合病院 経営企画室 室長にお話を伺いました

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横浜市泉区唯一の総合病院として地域医療に貢献している国際親善総合病院。コロナ禍にあってその現場は今どのような課題や悩みを抱えているのでしょうか。
同病院の経営企画室・田崎雅也室長と、病院再整備事業の際にCM業務を担当したプラスPM シニアコンサルタントの森本泰弘が、変化しつつある病院サービスについて意見を交わしました。

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動線を分けて発熱外来を設置、電話診療にも対応

森本:新型コロナウイルス感染症が日本でも拡大したことで、医療現場はさまざまな変化を強いられたと思います。具体的にどのような対策を取っていますか。

田崎:一番大きく変わったのは、外来患者さんへの対応です。患者さんをはじめスタッフを感染リスクから守るため、各所にビニールシートを設置し、非接触型の検温器を備え、検温のためのスタッフも配置するなどの対策を講じています。

さらに感染リスクのある患者さんを一般の患者さんと分離するために「発熱外来」を設置しました。コロナ感染の疑いがある人を抽出し、他の患者さんとは別の動線を確保して発熱外来へ導くようにしています。

森本:新型コロナによって患者さんの受診行動も変化しましたね。

田崎:ええ。病院に行くと感染リスクが高まるという懸念から、外来受診を控える患者さんが増えました。
集団感染を起こしたダイヤモンドプリンセス号が横浜港に入港した2月以降、外来患者さんの受診は急激に減っていき、最も減少したのが4月でした。これは4月7日に東京、神奈川など7都府県に緊急事態宣言が出されたことも大きいと思います。
患者さんが来院しなくても職員は配置しなければなりませんから、病院運営がきわめて困難な時期でした。

森本:現在の外来患者さんの状況はいかがですか?

田崎:9割近く戻ってきました。待合スペースが密にならないように配慮はしていますが、どうしても混み合う日もあります。
こちらで患者さんを制限するわけにもいきませんから、難しいところです。

森本:感染防止のため、オンラインや電話による遠隔診療に対応する病院も増えていますね。

田崎:当院でも電話診療・処方は増えています。初診には対応していませんが、再診で、状態にとくに変化がなければ引き続き同じ薬の処方箋を出すことができます。

森本:以前であればセキュリティや安全性の問題からなかなか難しかったことが、新型コロナ感染症の出現で一気に進んだ感がありますね。

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「安全第一」へ回帰する病院施設の建築計画

田崎:今後は感染症に対処できるエリアや設備がもっと必要になると考えています。例えばウイルスが部屋の外に拡散しないようエアバランスを陰圧に制御した病室がもっと必要です。
当院には結核の患者さんもいるので、陰圧の個室は備えていますが、新型コロナ対策で使用するには明確にエリアを分ける必要がある。各フロアに1部屋ずつなど分散していては管理できません。

これからの"withコロナ"時代を想定したときに、それぞれの医療機関で足りない部分、必要とするものが明確になってきていると思います。患者さんが病院に求めるものも変わっていくでしょう。
当院でもこれまで患者サービスを重視してアメニティなどにも力を入れてきましたが、新型コロナ以降では、まずは感染リスクを排除することが優先されます。
各病院で医療安全管理室や感染対策室を新設する動きも出てくるはずです。病院の建築計画におけるプライオリティが大きく変化してくると思います。

森本:患者さんは病院施設に対して第一に、これまで以上に感染からしっかりと守られる「安全・安心」を求めるようになったということですね。私たちコンサルタントも計画の際、何に重心を置くべきかの判断基準を再度見直して、的確な情報を提供していかなければ病院側にピントの外れたアドバイスしか出来なくなると感じています。
今、計画中のプロジェクトに対しても、間に合うのであれば、そうした視点からどのような対策を盛り込んでいくかが問われていると思います。

田崎:私たちとしては、建築の専門的な見地から「こういうことができますよ」といった有益な提案がほしい。また、医療現場からの「こんなことはできないか」という相談に応えていただけると助かります。
例えば、本来オペ室は陽圧に制御されていますが、新型コロナウイルスに感染した患者さんを手術する場合を想定して「陽圧・陰圧を切り替えられる部屋がほしい」とか、冬のインフルエンザの流行に備えて発熱外来を増設したいので「柔軟に医療行為の変更に対応できる部屋がほしい」というニーズもあるでしょう。

森本:感染防止は最低限確保した上で、多様なニーズに対応出来る外来・中央診療・病室が求められるということですね。
コロナ禍の中、社会福祉法人の使命として国際親善総合病院では今後どのようにして地域を支えていこうとお考えですか。

田崎:基本方針は変わりません。地域の中核病院として、急性期医療を必要とし、かつ新型コロナの感染リスクがあるかもしれない患者さんに対する受け入れ体制をしっかりと構築していくことが私たちの仕事です。それによって一般の患者さんが安心して来院できるようにすることが最も大切なことです。

森本:お話を伺って、これまでの主流と考えていたような病院側の優先順位を大きく変更しなければならないことがよく分かりました。今後はより感染対策に重心を置いた安全・安心な病院づくりをマネジメントしていけたらと思います。そのためには病院の方々と、これまで以上に対話を重ねて病院のニーズや課題に真剣に向き合わなければならないと感じました。

国際親善総合病院様の「お客様の声」

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