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バリューエンジニアリングで病院再整備事業を無理なく成功~機能とコストを両立するポイント~

病院の建設計画を進める上で、「コスト」に関する課題は、自治体病院・民間病院の隔てなく誰もがぶつかる障壁の一つではないでしょうか。
基本設計段階での概算見積が予算を超過、それを何とか乗り越えて実施設計を行い、仕様を詰めていざ再見積...という段階で今度は予算を大幅にオーバー。こうなってしまっては、計画自体がとん挫しかねない事態となってしまいます。

そうならないためのコストマネジメント、コスト削減には様々な方法がありますが、今回はその中から「バリューエンジニアリング(VE)」を用いたコストの削減法を解説いたします。

VE(Value Engineering=バリューエンジニアリング)とは何か?

病院様にとって、VEと言えば、まず嚥下内視鏡検査が思い浮かぶことと思いますが、今回解説するVEValue Engineering、品質や仕様、機能を損なうことなくコストを削減する方法の事です。

VEは日本語で「価値工学」と訳され、

社団法人日本バリューエンジニアリング協会によれば、

"製品やサービスの「価値」を、それが果たすべき「機能」とそのためにかける「コスト」との関係で把握し、システム化された手順によって「価値」の向上をはかる手法である"

と定義づけられています。

もう少し深堀りしてみましょう。

産能大学総合研究所VMセンター著「VEの基本」では、上述の価値向上の考え方を、価値(Value)=機能(Function)/費用(Cost)という指標で示したうえで、価値を向上するための手法として、次の4つを示しています。

VE.jpg

VEは、コスト削減と同義に捉えられることが多いため、「4.多少コストは上がっても、優れた機能を手に入れる」について疑問を持たれた方もいらっしゃるかもわかりませんが、VEには、多少コストをかけてでもより優れた機能を手に入れる取り組みも含まれています。

後述に、実際の事例と合わせてご紹介します。

CD(Cost Down=コストダウン)はVEと同義語?

コスト削減の取り組みとしてVEとセットで扱われる言葉に、CDがあります。

建設の現場では、コスト削減の取り組みを総称して「VECD」と呼ぶため、VEとCDは同義に思われがちですが、この2つには基本的に大きな違いがあります。
前述の通り、VEは機能を下げることなくコスト削減を図る取り組みであるのに対し、CDは、機能や仕様を下げてでもコスト削減を図る取り組みです。

事例から見る病院建設事業でのVE

先ほどご紹介した価値向上の4つの手法について、病院建設事業での実際のVE事例を見てみましょう。

同じ機能のものをより安く手に入れる

どうやって!?

と、お思いになるかもわかりませんが、最もインパクトのある方法に、『発注の工夫』があります。
単純な話ですが、例えば工事の発注を行う際、1社特命状態であれば、その発注には競争原理が働きません。数社が競うことの出来る競争環境をつくることで、同じ機能の病院建物をより安く手に入れることができます。

当社がご支援した病院様では、競争環境の構築により平均入札価格の85%の価格で提案のあった事例もあります。

発注先の建設会社のランク・規模・状況により、同じ工事材料でも購買力の違いにより工事原価に差が出ることや、建設会社の経費率に差が出ることがあります。
このような事情を考慮しながら発注戦略を構築することで、コスト削減が可能になり、建設投資に対する価値を向上することができます。

より優れた機能のものを同じコストで手に入れる

病院のエネルギー消費量は他の建物用途と比較し圧倒的に高く、多くのCO2を排出するため、環境配慮、ランニングコスト削減の観点から、コージェネレーションシステムの導入を検討する病院様が増えています。

ある病院様の病院新築プロジェクトでは、100kWのコジェネ容量の設備の配備が計画されていました。
設計図を見ると、25kWの機器を4台設置すると記載されています。そこで、少し視点を変えて、35kWの機器を3台設置することを提案しました。

さて、コストはどうだったでしょうか?

検討の結果、100kWから105kWに総容量は増えたにも関わらず、コストは機器台数が減ることにより微減しました。設備計画は総容量に対する適正化のみで設定されがちですが、機器の組み方次第ではその価値を更に向上することが出来ます。

より優れた機能のものをより安く手に入れる

設計事務所の提案の中に、透析部門の外壁がカーテンウォール(ガラスの一枚壁)になっている個所がありました。外観上、病院の顔になる場所でしたので、設計者が気を遣いデザインを重視しての提案でした。

しかし、カーテンウォールは非常に見栄えが良い一方で、大変に高価な材料です。加えて、夏場の太陽光による室温の上昇はランニングコストの増加になります。

そこで、ランニングコストの削減を図るため、当社から、カーテンウォールを取り止め、腰壁を設置した上で、既製品のサッシを採用することを提案しました。
結果それにより、大きく機能面が向上し、大幅なコスト削減が可能になりました。

多少コストは上がっても、それ以上に優れた機能を手に入れる

昨今、地震や水害等の災害対策に力を入れる病院様が増えています。

例えば、ある病院では当初、災害発生後3日の平常稼働を望んでいましたが、設計が進むにつれ、より強力な災害対策を講じることで地域に貢献すべく、災害発生後7日の平常稼働を望まれるようになりました。そうなると非常用発電機の燃料タンク容量も当然上がりますので、それに伴いコストも上昇します。

様々な検討の結果、病院様が選択されたのは後者でした。
そのコストをかけてでも、新病院建設の一つの理念である災害対策の強化を実現することの価値のほうが、病院様にとって高かったことを示しています。コストをかけてでも優れた機能を獲得すること。

これもVEのひとつです。

建設に特化したコンサルタントが提案する病院建設事業でのCD

CDの基本定義は、機能や性能を多少落としてもコストを下げることです。
この定義に基づけば、床面積の削減や、設備の取り止めは、本来CDにあたります。ここでは、当社で実際に行なったコストインパクトの大きなCDの手法について、事例を交えて2つご紹介します。

床面積の削減によるCD ~動線計画の適正化~

基本設計段階で、設計事務所の描くプランになかなか納得できずに当社にご相談をいただいた病院様がいらっしゃいました。

医師をはじめとする病院スタッフからの様々な要望をプランニングしてくれてはいますが、動線計画がうまくいっていないことで、床面積が過剰に増大した状況でした。

床面積が増えれば、当然、施工面積も増えますので、建設コストが上がります。コストを最も大きく左右する要因は床面積であると言っても過言ではありません。
そこで、当社で図面を見せていただき、長く複雑に交錯した動線を効率よく整理しました。その結果、床面積は大幅に削減されました。この時点で既に大きなコスト削減を実現しましたが、併せて、当初、地上の面積が増大していたことにより地下に配置せざるを得なくなっていた厨房を、地上で削減した面積の中で計画することを提案しました。

コスト高となる地下部分を完全になくすことで、コストを削減し、厨房の搬出入の課題も解決することが出来ました。

面積の削減は、基本的にはCDに当たりますが、今回行った提案では、機能を落とすことなくコスト削減を図ることにつながりました。

過剰な設備の取り止めによるCD ~病院機能に本当に必要なものの見極め~

閑静な山間部で建替えをされた病院様の事例です。

設計図を見ると、屋上の設備機器の四方向に、立派な目隠しフェンスが設置されていました。
屋上には、厨房の給排気設備や空調換気設備の室外機、非常用発電設備や電気キュービクル等、沢山の設備機器が設置され、あまり見栄えの良いものではありません。騒音規制のかかる地域では、近隣への防音のために、防音と目隠しを兼ねたフェンスを設置することを避けられない場合もあります。
しかし、この病院様の場合、山間部で騒音規制も最低限のレベルでしか規制されていませんでした。

見栄えを気にしたとしても、背面と片側面は山ですので四方でなく二方向にあれば足りる状況でした。

屋上のフェンスの半分を取りやめることを提案し、見栄えは確保した上でコストを削減しました。本当に必要な機能以外のものを見つけ、削っていくこともまた、コスト削減の上では重要な取り組みです。

適正なVECDで品質・コスト・機能の満足を実現

このように、VECDには様々な手法があります。

病院施設は、他の建物用途に比べ機能が複雑であるため、コスト増加の要素が多くなる実情があります。その中で、特にVEでは、上述した4つの手法の構造を理解することで、コスト削減項目に優先順位がつけやすくなり、全体のコストバランスが保ちやすくなります。

病院様が建設投資の価値を最大にするため、VEとCDを様々な角度と切り口から考え、費用対効果を検証し、最適な手法を選択していくことが非常に重要です。

限られた投資の中で、「仕様とコストを両立し、病院再整備事業を実現したい」けれどもなかなかうまくいかないとお考えの病院様、是非プラスPMにご相談ください。
プラスPMは、病院に精通した建設技術者の技術力と知恵により、品質・機能を落とすことなく、確実に病院様にとって『価値向上』につながるコストマネジメントをご提供いたします。


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