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本記事は、はじめて「建設プロジェクトの担当」になった方に向けて、建築設計する際の「設計事務所の選び方」を詳しく解説しています。
なお、「建設会社の選び方」の概要に関しては下記記事でご確認ください。
設計事務所の選定は、建設プロジェクトの成功に直結する重要なステップです。
自社の建設プロジェクトに適した設計事務所を選ぶためには、以下の5つのポイントを押さえることが重要です。
それぞれについて解説します。
過去の実績は、設計事務所が信頼できるかどうかを判断するための重要なポイントです。
特に、建設を予定している施設と同じ業界(施設の用途、種別、機能が近い)や規模の近いプロジェクト実績があるかどうかを確認することが大切です。
例えば、病院を建設する際に有名だからといって病院設計の実績がない設計者に依頼すると、「デザインに凝り過ぎたり」「人やモノの動線に無駄が生じたり」して、運営しにくい病院が完成してしまう危険性があります。
一方、豊富な実績を持つ設計事務所に依頼すれば、病院の「用途・種別・機能」に応じた特有の課題やニーズを深く理解しているので、満足のいく病院を完成させられる可能性が高まります。
設計事務所を選ぶ際には「自社の業種に対する専門知識があるかをしっかり確認すること」が重要です。
専門知識が不足している設計事務所に依頼すると、必要以上のスペックになったり、逆に不足していたり、使い勝手が悪い建築物になるリスクがあります。
また、設計事務所が各業界で必要とされる法令や管理基準について深く理解し、法令や基準に基づいた設計ができるかも重要なポイントです。
病院や宿泊施設など業界ごとに必要な知識は異なるため、自社の業種に精通した設計事務所を選ぶことが成功の鍵となります。
設計事務所を選定する際、「コスト意識の有無」は重要な要素です。
設計事務所の中には、デザインや機能性を最優先にして、コストを軽視した設計が進められることがあります。
また、材料費や工事費に詳しくない設計事務所もあり、設計段階で使用する素材や施工方法の検討が不十分となり、予算オーバーや追加コストが発生しやすくなります。
設計事務所のコスト意識は、建設プロジェクトを予算内で実現するために不可欠です。
建設プロジェクトにおいて、設計事務所の提案力はプロジェクトの成功に欠かせません。
設計事務所は発注者のニーズや要求を正確に把握し、機能性とデザインを調和させた提案を行うことが求められます。
特に、特殊な要件や複雑な課題がある場合には、予算やスケジュールを考慮した「実現可能で効果的な解決策」を提示できる能力が必要です。
そのため、設計事務所の提案力を重視する際には、詳細な提案内容を比較・検討して業者選定を行う「プロポーザル方式」を採用することで、最適な設計事務所を選定することができます。
設計事務所を選ぶ際には、技術や実績だけでなく「人」との相性も重要なポイントです。
建設プロジェクトが成功するかどうかは、担当者との信頼関係やコミュニケーションの円滑さにも大きく左右されます。
発注者の要望や課題をしっかり理解し、親身になって対応してくれる設計担当者がいる会社を選びましょう。
設計には多くの特殊な要件が伴うため、発注者の意図を的確に汲み取って反映した具体的な提案が求められます。
発注者の思いに共感し、共に建設プロジェクトに取り組んでくれる設計者がいると、建設プロジェクトも円滑に進行して満足のいく結果につながります。
建設プロジェクトでは、設計担当者との密なパートナーシップが長期間にわたり求められます。
設計担当者との円滑かつ良好なコミュニケーションは、「建設プロジェクトを成功へと導く重要な基盤」といっても過言ではありません。
したがって、設計事務所の担当者と密に状況を共有し、的確な意思疎通ができなければ、建設プロジェクトが円滑に進むことは難しいでしょう。
最終的には、設計担当者が「信頼できるかどうか」が最も重要です。
実績や能力が優れていても、不信感を抱くようでは安心して任せることはできません。
小さな疑問にも丁寧に対応し、問題が発生した際には誠実に向き合う姿勢があるかを見極めることが大切です。
信頼できる担当者がいる設計事務所を選ぶことで、安心してプロジェクトを任せられる頼れるパートナーとなるでしょう。
なお、病院建設において、最適な設計事務所を選ぶポイントは下記記事で解説しています。
設計事務所の選定に課題を感じている場合は、第三者のプロフェッショナルに相談することを検討しましょう。
コンストラクション・マネジメントのプラスPMでは、建設プロジェクトに関して豊富な経験とノウハウを有しており、設計事務所の選定はもちろん、基本計画の立案、建設会社の選定、設計や施工の各段階で多岐にわたるサポートを提供しています。
「失敗しない建設プロジェクト」にするための第一歩として、ぜひプラスPMにご相談ください。
実際に設計事務所を選定する際は、大きく以下の4つの選定方法が用いられます。
選定方式 | 内容 |
---|---|
面談で選定する | 設計事務所の営業担当だけでなく、設計の責任者や担当者との面談・ヒアリングを中心に審査・評価する。 |
プロポーザル方式で選定する | 具体的な計画提案ではなく、プロジェクトに対する発想・解決方法等の提案を審査し、設計者を選定する。 |
計画提案付プロポーザル方式で選定する | プロポーザル方式に具体的な実施計画の提案も求め、審査・評価する。 |
コンペ(設計競技)方式で選定する | 具体的な設計案を審査し、選定する。 |
参考:国土交通省|設計者の選定
それぞれについて解説します。
設計事務所の営業担当だけでなく、設計の責任者や担当者と直接面談し、相性やコミュニケーション能力、専門性を確認して選定する方式です。
例えば、病院建設を検討している場合、医療法と建築基準法で定められている医療施設の建築基準への理解度について質問することで、担当者の専門知識を見極めることができます。
専門性に加えて、人間性や信頼関係を重視する場合に適しています。
プロポーザル方式は、
複数の設計事務所から企画書や提案書を募集し、その内容に基づいて最適な設計事務所を選定する方法です。
提案内容の質や技術的な適合性、実現可能性、過去の実績、設計事務所の信頼性など総合的に評価して選定します。
特に技術的に高度な業務や専門的な技術が求められる場合に採用されることが多いです。
計画提案付プロポーザル方式は、
プロポーザル方式に加えて、発注者が求める特定の計画や条件も設ける選定方法です。
プロポーザル方式の評価に加えて、事前に定めた要件に基づく具体的な実施計画(予算、スケジュール、技術的な提案など)を評価します。
特に予算やスケジュール管理が重要な大規模プロジェクトや、特定の条件が厳しく求められる場合に採用されることが多いです。
コンペ(設計競技)方式は、
複数の設計事務所に同じ条件で設計案を競わせ、その中から最適な提案を選定する方式です。
プロポーザル方式ではテーマに対する提案書を「企画者」も含めて評価することに対して、コンペ方式は「図面を中心とした設計案」のみを評価することが特徴です。
コンペ方式は設計事務所の負担が大きいことや多大な時間を要することから、プロポーザル方式が採用される傾向があります。
プラスPMは建設プロジェクトの豊富な支援実績を誇り、「設計事務所選定方式の立案」から「評価方式の立案と評価」、「設計契約内容の確認」まで設計事務所の選定を総合的にサポートいたします。
また、選定後の「設計事務所への指示の確認」や「設計図の確認」など、完成するまでを並走して支援しているので、安心してご相談・ご依頼ください。
当社コンサルタントによる初期ヒアリングは無料です。まずはお客様のご要望をおうかがいいたします。