PM/CM、建設コラム

本記事では公共施設や工場などの建設プロジェクトにおいて、コンストラクション・マネジメント(以下、CM)方式の導入を検討している発注者の方に向けて、「CM会社と契約する際のポイント」について、できるだけわかりやすく解説します。
なお、「CM(コンストラクション・マネジメント)方式の概要」については、下記記事をご確認ください。
CM会社との契約は、建物の完成責任を負わない「準委任契約(業務委託契約)」という形で結ばれます。
この契約では発注者がCM会社に対して、建設プロジェクトにおけるコスト・スケジュール・品質管理などのマネジメント業務(CM業務)を委ね、その対価として報酬を支払います。
建設工事そのものを請け負う「工事請負契約」とは異なり、CM会社は工事の完成責任を負わない点が大きな特徴です。
あくまで、発注者の立場に立ってプロジェクトを支援する「マネジメントの専門家」として関与するのがCM会社です。
CM方式は「準委任契約」として進められるため、導入を検討する際には、その特徴を正しく理解しておくことが大切です。
特に発注者の立場で注意しておきたいポイントは、以下の3つです。
| 注意点 | 詳細 |
|---|---|
| 「完成」ではなく「プロセス」に責任を持たせる契約であることを理解する | 発注者はCM会社に「建物をつくってもらう」のではなく、「プロジェクトを適切に導く支援をしてもらう」という意識を持つことが大切です。 |
| 発注者とCM会社が「協働」して進める関係であることを意識する | 準委任契約では意思決定権は発注者にあり、CM会社はその判断を支援する助言・調整のパートナーとして機能します。 発注者自身が主体的に判断する姿勢が求められます。 |
| 業務範囲を明確にしておく | 準委任契約では、CM会社の業務範囲を明確にすることが重要です。 支援内容や報酬、責任の範囲を発注者が理解し、契約書に明記しておく必要があります。 |
上記の注意点を踏まえ、次章では具体的にCM会社と契約する際の確認・合意のポイントについて解説します。
CM方式を導入する際は、後のトラブルを避けるためにも、契約書で下記の内容を明確に記載しておくことが重要です。
CM会社と契約する際のポイント4つ
それぞれについて解説します。
CM会社が「どこまでの業務を担当するのか」を契約書に具体的に記載しておくことが大切です。
例えば、以下のような業務について「実施する」「実施しない」を契約書で明確に区分し、あいまいな部分をなくしておくとよいでしょう。
CM会社の業務範囲 例
CM会社はあくまで「管理業務の受託者」であり、施工そのものの瑕疵や遅延については責任を負わないのが一般的です。
そのため、「CM会社が負う責任の範囲」および「負わない責任(例:工事の瑕疵・遅延)」を契約書に明確に記載しておくとよいでしょう。
なお、CM会社は工事の完成責任を負いませんが、管理業務に関しては「善良な管理者の注意義務(善管注意義務)」を負うため、専門家としての高度な注意が求められています。
CM会社の報酬は建物の完成に対するものではなく、「マネジメント業務」に対する対価です。
したがって、契約書では業務委託料の金額だけでなく、報酬の支払い条件を明確に記載しておく必要があります。
例えば、以下の点は契約書に盛り込みましょう。
報酬について契約書に明記すべき項目
上記条件を契約書に明文化することで、誤解やトラブルを防ぐことができます。
建設プロジェクトの進行中に予期せぬトラブルが発生することがあります。
万が一の事態に備えて、「契約書にはトラブル時またはコスト上昇による業務期間の延長時の対応方法や契約解除の条件をあらかじめ定めておく」ことが重要です。
例えば、以下の点は契約書に盛り込みましょう。
トラブルを防ぐために契約書に明記すべき項目
こうした条件を明確にしておくことで、紛争のリスクを最小限に抑えることができます。
CM会社と契約を結ぶ際には、信頼性のあるひな形やガイドラインを参考にすることで、内容の漏れや不備を防ぐことができます。
例えば、国土交通省は
「地方公共団体におけるCM方式ガイドライン」を公表し、その中で「CM業務委託契約約款(案)」を示しています。
業務範囲や契約解除の条件など、CM契約に必要なポイントがひととおり整理されており、実務に役立つ内容です。
自治体向けに作成されたものですが、民間プロジェクトにおいても契約内容の参考資料として活用するとよいでしょう。
参考:国土交通省|地方公共団体におけるピュア型CM方式活用ガイドライン
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