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病院建設

災害時の対応、どこまでするべき?BCP対応には各病院に合わせた最適な形があります

平成23年3月11日午後2時46分に発生したマグニチュード9.0の東日本大震災以降、病院建築ではBCP(災害時での事業の継続性)についての関心が非常に高まっています。
東日本大震災の混乱のなかでも、被災地の病院の多くがその極限の状況においても、病院機能を最大限継続し、医療サービスを提供し続けたことは、尊い行為として記憶から薄れることがありません。

災害時において、病院建築が他の建物と大きく違う点は、被災中には日常提供している業務とは違う医療を、限られた人的・物質的資源の中で提供することです。
災害時に病院機能が停止することは許されません。

そのため、病院建築には、BCPの考えに基づいた備えが必要であり、過去の災害が残した教訓の中から様々な対応策を検討し、実践していくことが求められます。

病院建築におけるBCP対応として求められる3つのテーマ


病院建築においてのBCP対応として、求められるテーマを3つあげるとすれば、

  1. 災害からのダメージを最小限に抑える建物自体の強さ
  2. 災害時に医療活動を継続するためのインフラ(設備・電気等)の整備
  3. 災害時の緊急医療行為に対応できるスペースの確保

が、考えられます。

それぞれの具体的な内容としては、

  1. 免震構造の採用や、地震時に設備機器の落下や家具の転倒等を予防する建築的対応
  2. 長時間対応の自家発電機システム。電気や給水の複数供給方式への対応
  3. 緊急診療活動スペースとしてのロビーや会議室の設置。緊急ベッドスペースの確保

などが、あげられるでしょう。

ただ、こういった対策は、建築コストが大きくかかるために、導入にあたってはその費用対効果について悩むところだと思います。

部分免震という考え方

例えば、免震構造です。

免震の最大のメリットは、地震時の揺れを1/3〜1/5程度に抑えることができるため、手術などの診療行為が災害の最中でも継続して行いやすいという点です。ただし、耐震構造に比べ、イニシャルコストは約1~1.5割アップします。 免震構造を採用するかどうかの検討には、まず病院が余震も含めた地震の揺れの最中に継続しなくてはならない医療行為になにがあるかということを見極める事が重要です。

手術室などだけなら、部分的な免震も技術的には可能です。
建物の強さだけなら、耐震構造でも安全係数を上げることで、病院の機能自体は維持でき、免震比べると廉価に対応できます。

一方で免震構造は、結果として上部構造は柱間隔が大きい計画が可能なため、将来の改修計画の自由度が高い(計画によっては改修コストも抑えられる)など、隠れたメリットがあります。

事業継続性を高める設備計画


また、災害時の医療継続に必要なインフラの整備にしても、非常用電源の整備、エネルギーの複線化など様々なメニューが考えられますが、災害拠点病院のように72時間の自立運営を求められるわけでないのでしたら、地域の病院との連携などを考慮し、どの程度備蓄などの対応で可能かを調査した上で検討するべきだと考えます。 
新築(移転建替)の場合であれば、そもそも災害に強い敷地を選ぶというのも重要な選択肢であり、ハザードマップによる災害地歴の把握、液状化の調査など、建築技術的な知見を専門家から得ながら、総合的に検証するべきでしょう。

さらに太陽光や地熱、井水利用などの自然エネルギーを平時には省エネ効果のために導入し、災害時のエネルギー途絶時には代替エネルギーとして利用する計画とすれば、建物のライフサイクルコストも見据えたBCP対応といえます。

まとめ

 

BCPは病院毎に、その身の丈に合った最適な対応があります。


BCPの導入にあたっては、まず自身の病院を見つめ直し、災害時にどうあるべきなのか、なにができるかをじっくりと見極め、実行項目の優先順位をたてることで、イニシャルコストを最小限に抑えながら、被災地の中で最大限に貢献できる、病院としての機能を果たすことが可能となります。


もし、災害時のBCPをどうしたらよいのかお悩みでしたら、コンストラクション・マネジメント(CM)会社として、数々の病院プロジェクトを経験し、開業までをしっかりとアドバイスできるプラスPMに、是非一度ご相談ください。






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