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本記事は、建設工事で「詳細な仕様策定が難しい」「最新技術を積極的に活用したい」といった担当者に向けて、解決策として活用できる「性能発注方式」について、できるだけわかりやすく解説します。
性能発注方式とは、建設プロジェクトにおいて「従来の詳細な仕様書を作成する代わりに、達成すべき性能や機能を明確に定めて発注する方法」です。
例えば、工場建設において「耐震性能」や「省エネルギー性能」を求める基準として示し、建設会社に最適な方法を提案させることで、技術的自由度を高め、「コスト削減」や「品質の向上」を望めることがあります。
なお、「発注方式」の概要については、下記記事をご確認ください。
性能発注方式とは
具体的な手法や材料を指定するのではなく、達成すべき品質や性能を明確にして発注する方式です。
発注者と受注者の自由度を高めることで、より効率的で革新的なものづくりが可能になり、建設や製造業における従来の発注方法の課題を解決できます。
「性能発注方式」と従来の「仕様発注方式」の違いは、下記のとおりです。
仕様発注は「詳細な仕様書」に沿って工事を進めますが、性能発注方式は「求める性能を示した水準要求書」をもとに工事を進めます。
<図 性能発注方式と仕様発注方式の違い>
発注方法 | 性能発注方式 | 仕様発注方式 |
---|---|---|
特徴 | 発注者は「求める性能や品質の基準」を示す | 発注者が「使用する材料や工法、設計などの詳細な仕様」を指定する |
発注の 自由度 |
自由度が高い | 詳細な指示があるので、自由度が低い |
コストと 品質 |
コスト削減や品質向上につながりやすい | 技術革新の余地が少なく、コスト削減の余裕も限られる |
以下のような要望を持つ建設プロジェクトのタイプには、性能発注方式が適しています。
性能発注方式に適した建設プロジェクトのタイプ
実際に公共工事や病院、工場、データセンター等の建設プロジェクトで、積極的に活用されています。
なお、工場建設での「発注方式の事例」については、下記記事をご確認ください。
性能発注方式には、いくつかのメリットとデメリットが存在します。
それぞれについて解説します。
まずは性能発注方式のメリットを3つ紹介します。
建物の細かい仕様を決める必要がなく、必要な規模や性能の説明をするだけで済むため、発注業務の負担が軽減されます。
発注者が求める性能目標に基づいて発注を行うため、仕様に縛られずにコストを抑えることが可能です。
「価格」と「技術」の両面で評価を行うことで、より費用対効果の高い工法や材料を導入することができます。
自由度が高い発注方式のため、新しい技術や工法の導入が容易であり、建設会社は独自の工夫を加えやすくなります。
このため、革新的、効率的な技術を取り入れられる可能性があります。
一方で性能発注方式にはデメリットも存在します。
性能発注方式では、複数の建設会社から異なる提案や費用が提示されるため、どの提案が最良であるかを判断しなければなりません。
発注者側に「良し悪し」を判断できる専門知識がないと、誤った選択をしてしまい、性能発注の意味が損なわれる可能性があります。
受注者の技術や実績が成果に大きく影響するため、信頼できる企業を選ばなければ、期待した結果が得られない恐れがあります。
成果や性能の評価基準が曖昧な場合、発注者の求める施設が完成しない可能性があります。
また、発注者と受注者で評価の捉え方が異なるため、完成後に報酬や評価を巡ってトラブルになるリスクもあります。
例えば、コンストラクション・マネジメントの「プラスPM」をご利用いただくことで、性能発注方式における「提案採用の判断」「受注者の選定」「成果および性能の評価基準」といった課題をプラスPMが引き受け、発注者は性能発注方式のメリットだけをご享受いただけます。
性能発注方式をご検討の際は、ぜひプラスPMにご相談ください。
当社コンサルタントによる初期ヒアリングは無料です。まずはお客様のご要望をおうかがいいたします。