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本記事は、はじめて「建設プロジェクトの担当」になった方へ向けて、建設する際の「発注方式(契約方式)」について、簡単に理解できるように図表を使いながら解説しています。
建築業界における「発注方式」とは、
建設プロジェクトにおいて、必要な工程(「設計業務」や「工事施工」等)をどのように切り分けて、どのような発注先へ依頼するかというパターン
の事です。
建設プロジェクトにおける発注方式は「契約方式」や「競争参加者の選定方法」、「落札者の決定方法」を組み合わせて、発注する設計会社や建設会社を選定して依頼します。
発注方式は時代とともに多様化しており、発注者のニーズやプロジェクトの特性に合わせて柔軟に選択、工夫することが求められます。
なお、一般的に「契約方式」を「発注方式」と同義で使われることが多いため、本記事では「設計・施工分離発注方式」などの契約方式を「発注方式」として解説します。
発注方式は、大きく4パターン存在します。
設計・施工分離 | |
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発注方式:設計・施工分離発注方式 | |
メリット | デメリット |
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基本設計・施工一括 | |
発注方式:基本設計からの設計・施工一括発注方式(デザインビルド〈DB〉方式) | |
メリット | デメリット |
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発注方式:実施設計からの設計・施工一括発注方式 | |
メリット | デメリット |
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発注方式:ECI方式 | |
メリット | デメリット |
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各発注方式について詳しく解説します。
設計・施工分離発注方式は、設計業務と施工業務を分離して発注する方式で、設計会社と建設会社それぞれと個別に契約を結びます。
選定方式 | 内容 |
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メリット |
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デメリット |
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向いている 建設プロジェクト |
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メリットは設計の自由度が高く、発注者の意図や要求する品質が確実に反映されやすい点です。
また、設計と施工を独立して進めることで、どの段階でどのようにコストが発生しているかを把握しやすくなり、プロジェクト全体の透明性(費用や意思決定プロセスなど)が高まる点も魅力です。
一方で、設計者と施工者をそれぞれ別に選定するため、2回の発注が必要になり、時間がかかります。
また、入札がうまくいかない(不調・不落)場合は、スケジュールが遅れるリスクもあります。
設計・施工分離発注方式を採用する際は、発注者側には専門的な知識を必要とし、積極的にプロジェクト管理に関与する必要があります。
基本設計からの設計・施工一括発注方式は、設計と施工を一体化して1つの施工者に委託する方式で、デザインビルド(DB)方式とも呼ばれます。
選定方式 | 内容 |
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メリット |
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デメリット |
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向いている 建設プロジェクト |
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メリットとして、設計と施工を同一の企業に発注することで効率的にプロジェクトを進行でき、工期短縮が期待できる点が挙げられます。
また、契約が先行するため、配置技術者や協力会社を早期に確保できるほか、分離型と比べて入札不調のリスクを低減できるという利点もあります。
一方でデメリットとして、設計と施工が一体で進行するため、施工性やコストを優先した設計になる場合があります。
また、すべてを1社に委託する特性上、施工者の選定が適切でない場合には、プロジェクト全体の費用や品質、進行に悪影響を及ぼすリスクもあります。
基本設計からの設計・施工一括発注方式を採用する際は、建設会社の提案に過度に依存しないよう、発注者側でも内容を詳細に検討することが求められます。
実施設計からの設計・施工一括発注方式は、基本設計が完了した後に建設会社が参画し、実施設計と施工を一括して進める方式です。
選定方式 | 内容 |
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メリット |
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デメリット |
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向いている 建設プロジェクト |
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メリットとしては、建設会社が専門知識を活かして実施設計を進めるため、施工段階で起きやすい技術的な問題や課題を軽減できることが挙げられます。
また、設計と施工の一体化により、調整作業が簡略化され、コストや工期の精度が高まる点が利点です。
一方でデメリットとしては、建設会社が実施設計と施工を一体的に行うため、工事価格の透明性や客観性をどのように担保するかが課題となります。
また、実施設計を建設会社が主導するため、基本設計に盛り込まれた発注側や設計者の希望や意図が正確に反映されないリスクもあります。
実施設計からの設計・施工一括発注方式は、基本設計段階で発注側の要望を十分に詰めた上で、効率的かつ現実的なプロジェクト進行を重視する場合に適しています。
ECI(Early Contractor Involvement)方式は、建設会社が設計段階から関与し、技術的なアドバイスを行う方式です。
選定方式 | 内容 |
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メリット |
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デメリット |
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向いている 建設プロジェクト |
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メリットとしては、建設会社の専門知識を設計に反映させることで実現可能性が向上し、施工中の不具合やトラブルを未然に防ぐ点が挙げられます。
また、平行して着工後に向けた準備の検討を行うことができるため工期が短縮され、コストの透明性を確保しやすいことも利点です。
一方で、建設会社の意見が優先されることで設計の自由度が低下する可能性があるほか、関与する建設会社の選定が適切でない場合には、プロジェクト全体の品質や進行に悪影響を及ぼすリスクもあります。
さらに、設計会社と建設会社の調整に手間がかかることや、初期段階でのコスト把握が難しいといった課題も存在します。
ECI方式を活用する際には、関与する建設会社の選定や契約内容の明確化を慎重に行い、設計会社・建設会社双方の意見をバランス良く調整することが重要です。
発注方式の選定に迷ったり、課題を感じたりされている方は、ぜひ「建設プロジェクトの専門家」にご相談ください。
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最適な発注方式を決めるためには、プロジェクトの特性や発注者側の意図、プロジェクトの規模、スケジュールなどを総合的に考慮することが重要です。
建設プロジェクトで重視したいポイントを明確にすることで、適した発注方式を絞り込むことができます。
例えば、設計の独自性や品質を重視するのか、工期短縮やコスト削減を優先するのかを判断します。
●設計の独自性や品質を重視する → 「設計・施工分離発注方式」・「ECI方式」
●工期短縮やコスト削減を優先する → 「基本(実施)設計からの設計・施工一括発注方式」
プロジェクトの特性に応じて発注方式を選ぶこともコツの1つです。
例えば、「標準化された建築物を建てる場合」、「複雑で特殊な施設を建設する場合」、「大規模なプロジェクトの場合」など、その内容によって最適な発注方式は異なります。
●標準化された建築物 →「基本(実施)設計からの設計・施工一括発注方式」
●複雑かつ特殊な建築物 → 「設計・施工分離発注方式」・「ECI方式」
●インフラや大規模プロジェクト →「ECI方式」・「実施設計からの設計・施工一括発注方式」
発注方式を選ぶ際には、発注者がプロジェクト管理の経験や専門知識を持っているかどうかが重要です。
専門知識があれば、設計・施工分離発注方式のように発注者側が主体的に関与する方式を選べます。
しかし、知識や経験が不足している場合でも選択肢を狭める必要はなく、専門家の力を借りることで対応可能です。
例えば、コンストラクション・マネジメントを行うプラスPMは、発注方式の選定だけでなく、発注者の立場に立って建設プロジェクト全体を計画・管理します。
したがって、発注側に経験や知見を持っていなくても、建設プロジェクトに適した最良の発注方式を選ぶことができます。
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