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経済産業省2021年3月発表のデータから見る"近年の工場立地動向"について~省人化、サプライチェーン重視の傾向続く~

コロナショックにより経済の先行きが不透明な中ですが、積極的に設備投資を計画され、弊社へお問合せいただく製造業のお客様が増えています。
その際、個々に抱える様々な事情やご相談をお伺いしていますが、みなさま同じようなお悩みを抱えていらっしゃいます。

今回は、そのようなお問合せの背景も垣間見える最新の「工場立地動向」を解説しながら、直近の事例を紹介します。

コロナショックの影響が顕著!立地件数約20%、立地面積約10%減少

経済産業省が2021年3月末に発表した「2020年工場立地動向調査(速報)」によると、工場立地件数と立地面積は全体としてここ数年横ばいでしたが、2020年は大きく減少しました。立地件数ではこれまで1,000件前後で推移していたのが826件。面積でも過去5年で1,200haを下回ったことはありませんでしたが、2020年は1,148haという結果です。

1.jpg出典:経済産業省『2020年(1月~12月)工場立地動向調査(速報)について

工場立地件数とは・・
「製造業、電気業、ガス業、熱供給業の用に供する工場又は研究所を建設する目的をもって、1,000平方メートル以上の用地(埋立予定地を含む)を取得(借地を含む)した」件数
経済産業省『工場立地動向調査 調査の概要』より

2.jpg

出典:経済産業省『2020年(1月~12月)工場立地動向調査(速報)について

面積別では0.5ha未満の小規模立地が大幅に減少し、企業規模別では資本金1,000~5,000万円企業は▲67%となっています。コロナショックの影響を受け中小企業が投資を控えたことがデータでも表れています。

食料品製造はK字経済が進む?

主要業種別に見てみますと金属製品製造、輸送用機械製造が大幅に減少しています。これはコロナショックによる住宅業界や自動車業界の需要減少を反映しているものと考えられます。
一方、食料品製造は外食産業で受けている影響ほど大きな落込みではなく、一般消費者向けの工場投資が下支えしていると推測できます。内食・中食と外食でいわゆる"K字型"に二極化していると考えられます。
実際に弊社へのお問合せでも一般消費者向け食料品製造のお客様が増えています。消費者の食の安全への意識向上に対し、生産過程を自社サイトやSNSで積極的に情報発信する企業が増えたため、清潔なだけでなく"綺麗な生産空間"が必要と考えたり、コロナ禍でも見学コースを整備し、自社のファンを増やそうと考える経営者がいらっしゃいます。

3.jpg出典:経済産業省『2020年(1月~12月)工場立地動向調査(速報)について

ますます難しくなる土地選定条件を緩和するカギは機械化、省人化

次に立地地点の選定理由を見てみましょう。ここ数年と同様に「本社・自社施設との近接性」は引き続き最重要理由ですが、注目すべきは「人材・労働力の確保」と「周辺環境からの制約が少ない」が2018年調査に比べて大きく増えている点です。

4.jpg出典:経済産業省『2020年(1月~12月)工場立地動向調査(速報)について』より引用

これは以前の記事(経済産業省2019年3月発表のデータから見る"近年の工場立地動向"について~関東内陸の中でも茨城県が躍進~)でも触れましたが、「周辺で次第に住宅が増えて居づらくなってきたので、現在の雇用は維持しながら影響の小さい近くに引っ越したい」という背景の工場がより増えてきていることを示しています。

この条件は土地選定を非常に難しくします。なぜなら、郊外でありながら従業員の通勤負担が増えず、サプライチェーンやロジスティクス面も影響が少ない立地というのはかなり限定されるからです。
また、土地取得の競合は製造業だけではありません。昨今の巨大物流施設需要の高まりを受けて、インターチェンジ近く等のまとまった優良な土地は手を出せないほどの価格で取引きされています。このことも土地取得を難しくしている要因です。

ただし、動向調査によると工場立地に伴う雇用は各業種とも減少傾向にあります。超高齢化社会により労働人口減少傾向は避けられませんから、新工場建設に際して機械化、省人化は重要検討事項です。
うまく機械化、省人化を果たすことができれば職住近接という条件が緩和でき、立地選定の幅が広がります。その為には建設計画よりも生産計画等の経営戦略を先に練る必要があります。
弊社にご相談いただいたお客様には、一時期は縮小していた従業員宿舎を工場建替えに合わせて近隣の別敷地を取得し、新しく整備されるケースもありました。これにより若手や外国人の労働力確保の面で優位性を保つ戦略を持たれていたからです。

まとめ

今回は工場立地動向調査から読み取れる用地取得と工場建設の傾向、そして対策をご紹介しました。
コロナ禍により経済全体は引き続き不透明感を拭えませんが、その中でも成長の為に設備投資をされる場合、そこで重要なのがやはり経営戦略です。
プラスPMのコンストラクションマネジメントは建設事業の推進支援が主ですが、お客様の経営戦略を支える建設投資となることを常に意識しています。工場用地の検討、新築・増築・建替え・改修をお考えの方、プラスPMへ是非ご相談ください。


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