ブログ

生産工場・物流施設

工場建設検討時にまず知っておきたい5つのこと|「流れ」「費用」「補助金」「法律」「コツ」等

本記事は、はじめて「工場建設担当」になった方に向けて、工場建設を検討する際に「まず知っておきたい5つのこと」についてわかりやすく且つ、網羅的に解説しています。

1.工場建設の「流れ・工期」について

工場建設する「流れ」とおおよその「期間」は、以下のとおりです。

【工場建設の流れとかかる期間】
手順 内容 期間の目安
1 基本計画を立てる 3か月~
2 設計会社・建設会社に発注する 4か月~
3 基本設計でイメージを共有する 6か月~
4 実施設計で詳細を確定させる 6か月~
5 建設工事が行われる 12か月~
6 引き渡しを受ける

※上記期間の目安は「延床面積10,000㎡の工場」での最短を想定しています。
実際の工場建設では、規模、階数、施設内容、計画地条件等によって期間が変動しますので、具体的な期間についてはプロジェクトごとに当社へお問い合わせください。

それぞれについて解説します。

また、「工場建設の流れや工期」については下記記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

1-1.基本計画を立てる|3か月〜(※想定:延床面積10,000㎡)

工場建設を検討する際、まずは建設プロジェクトを進める上での基本的な方針や計画をまとめた「基本計画」を作成しましょう。

基本計画では以下の3つを明確にして、しっかりと内部で共有しておくことが重要です。

  • 工場建設の目的を明確にする
  • 事業戦略を明確にする
  • 投資金額、スケジュールを明確にする

例えば、工場建設の目的が「現在の工場が古くなったから建て替えたい」と「事業を拡大して生産量を増やしたい」では、策定される基本計画が異なってきます。

1-2.設計会社や建設会社に発注する|4か月〜(※想定:延床面積10,000㎡)

基本計画が完成したら、設計会社や建設会社を選定し、発注しましょう。

発注方式には、主に「設計施工分離発注方式」や「デザインビルド(DB)方式」、「ECI方式」の3種類がありますが、工場建設の発注方式は「デザインビルド(DB)方式」が一般的です。

  • 設計施工分離発注方式:設計会社と建設会社へ別々に発注する方式
  • デザインビルド(DB)方式:設計と建設工事を建設会社に一括で発注する方式
  • ECI方式:設計段階から建設会社が参画し、その技術力を設計に活かす発注方式

それぞれの発注方式の詳細については、下記記事をご覧ください。

なお、設計会社や建設会社を選定する際は

単純に最安値の企業を選ぶのではなく、見積や提案内容、実績、対応力を総合的に捉えてそのプロジェクトに最良の企業を選定することが大切です。

見積もり金額だけに注目するのではなく、「発注者のことを考えたプランなのか」や「過去の施工実績があるのか」、「完成後のメンテナンス体制はどうなっているか」等、どの会社が自社にとって最良なのかを検討するとよいでしょう。

1-3.基本設計でイメージを共有する|6か月〜(※想定:延床面積10,000㎡)

設計業務は「基本設計」と「実施設計」の2つに分かれており、まずは「基本設計」が行われます。

基本設計とは、

発注者の要望をもとに大まかな仕様を決定し、建設する工場のイメージを共有する作業のことです。

基本設計が完了すると、おおよその見積もりが算出することができます。
基本設計で選定した計画内容が予算内に収まっていることを確認したうえで、次の段階にあたる「実施設計」に進まなければなりません。

1-4.実施設計で詳細を確定させる|6か月〜(※想定:延床面積10,000㎡)

実施設計とは、

完成した基本設計をもとに、建設会社がスムーズに工事を開始できるよう、詳細部分まで設計を行う作業です。

実施設計が完了し、詳細な設計に基づいて最終的な見積もりと工事内容が確定すると、建設会社と工事請負契約を結んで、いよいよ建設工事を始めます。

1-5.建設工事が行われる|12か月〜(※想定:延床面積10,000㎡)

建設工事が始まっても、発注者がすべてを建設会社に任せきりにするわけにはいきません。

施工中は、建設会社や設計士、協力会社との定例会議が開催されるのが一般的であり、発注者も進捗状況をしっかりと把握しておくことが重要です。

1-6.引き渡しを受ける

工場が完成した後、正式な引き渡しのためにさまざまな準備が行われます。

代表的なのは下記の2つです。

  • 特定行政庁や指定確認検査機関の検査を受ける
  • 工場の試運転を行う

検査や試運転に問題がなく、仕様などに発注者が納得すれば、建物の所有権が正式に移転します。

なお近年では、設計会社や建設会社とは独立したコンサルティング会社が中立的な立場で発注者を支援し、建設プロジェクトを進めるケースが主流になりつつあります。

「コンストラクション・マネジメント(CM)方式」や「プロジェクト・マネジメント(PM)方式」と呼ばれ、

  • 進行状況や費用について透明性が高まる
  • コストの最適化
  • 工期短縮
  • 一定の品質が確保できる

といったことが期待できます。
新たに工場を建設する場合は、導入を検討するとよいでしょう。

また、コンサルティングを導入することで得られるメリットやサポートの流れについては下記で紹介しています。
プロジェクトを成功に導くための第一歩として、ぜひご確認ください。

生産工場・物流施設 建設、コンストラクションマネジメント
プラスPMの強み
導入の流れ・費用

2.工場建設の「費用相場」

あくまでも全体感を掴むための参考数値になりますが、国土交通省の資料によると、

作業場のような「複雑な設備を持たない小規模工場」から半導体工場のような「大規模ハイテク工場」までを含んだ数字になりますが、2023年の工場建設における全国平均の坪単価は「約108万円」となっています。

参照:国土交通省|建築着工統計調査2023年「【建築物】構造別 用途別」

2019年の国土交通省の調査では「全国平均坪単価は約65万円」となっており、5年間で工場建設費は約166%上昇していることがうかがえます。

実際には、「工場を建てる地域」や「規模」、「構造」、「機能」によって幅広い価格帯に分布しているのが実態です。

・構造別の坪単価と建設件数

国土交通省の「建築着工統計調査」から、構造別の「坪単価相場」と「建設件数」についてまとめてみました。

【全国平均 構造別の坪単価相場と建設件数】
構造 坪単価 建設件数
木造 約63万円 832件
鉄骨造 約107万円 4,992件
鉄筋コンクリート造 約117万円 17件
鉄骨鉄筋コンクリート造 約163万円 101件
コンクリートブロック造 約72万円 19件
その他 約89万円 98件

参照:国土交通省|建築着工統計調査2023年「【建築物】構造別 用途別」

上記表の通り、日本で建設される工場の約8割は「鉄骨造」で建設されており、その坪単価は107万円です。

但しこの坪単価も、「高度な管理体制や製造工程が要求されている」等すれば、大幅に上昇してきますし、そもそも坪単価の計算方法は企業によって異なるため、上記数値が実際の費用に完全に合致するとは言い難いです。
あくまで参考程度とし、正確な費用については、見積もりで確認しなければなりません。

「工場建設にかかる費用」については下記記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

3.工場建設や設備投資で利用できる「補助金・助成金」

工場を建設する際や設備投資をする際、国や地方自治体からの助成金や補助金を利用できる場合があります。

例えば2024年には下記のような「補助金・助成金」が公募されました。

【工場建設で利用できる「補助金・助成金」 一例】
中堅・中小企業 大規模成長投資補助金
(経済産業省)
支援対象 補助金額(上限) 使用可能用途
中堅・中小企業 最大50億円
  • 工場建設
  • 設備投資
  • システム構築
事業再構築補助金
(経済産業省)
支援対象 補助金額(上限) 使用可能用途
今なおコロナの影響を受ける事業者及びポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者 最大5億円
〈サプライチェーン強靱化枠の場合〉
  • 工場建設
  • 設備投資
  • システム構築
  • 広告宣伝
  • 研修 等
ものづくり補助金
(中小企業庁)
支援対象 補助金額(上限) 使用可能用途
中小企業者、小規模事業者等 最大8,000万円
  • 設備投資
  • システム構築 等
地方自治体・公共団体が提供する補助金・助成金

支援対象 補助金額(上限) 使用可能用途
中小企業、大企業等 3,000万〜100億円
  • 土地購入
  • 工場建設
  • 設備投資 等

工場建設のような多額の投資が必要な場合には、補助金や助成金の利用を検討しておきたいところです。

「工場建設や設備投資に利用できる補助金・助成金」については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

4.工場建設を進める際に押さえておくべき「法律」

工場を建設する際にはさまざま法律や規制があり、大きく関連するのは以下の3つの法律です。

【工場建設にかかわる法律】
法律 主な内容
建築基準法
  • 日本で建築されるすべての建物に適用される法律で、工場もその対象。
  • 工場建設では設計段階で「事前審査」、完成後には「完了検査」が実施される。
都市計画法
  • 都市の健全な発展と秩序ある整備を目的とした都市計画に関する法律。
  • 工場の建設ができる地域は制限されている。
工場立地法
  • 工場周辺の環境保全を目的とした法律。
  • 生産施設や緑地を含む環境施設の面積率が規定されている。

法律に違反した場合は是正勧告のほか、工事の停止や建築物の除去などの重い処分が下される可能性があるため、注意が必要です。

「工場建設を進める際に押さえておくべき法律」については下記記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

5.工場建設を成功させる「ポイント・コツ」

工場建設を検討している際、工場建設を成功するための「ポイント・コツ」を把握しておきましょう。
特に押さえておくべき「ポイント・コツ」は以下の6つです。

【工場建設を成功させるために「押さえておくべきポイント・コツ6つ」】
ポイント・コツ 内容
基本計画を明確に策定する 「工場建設の目的」や「事業戦略」、「投資金額やスケジュール」を明確にして社内で共有しておくと、判断軸ができ円滑な工場建設を進めることができる。
基本設計段階でコストマネジメントを行う 一般的には基本設計完了時で建設コストは80%程度が決まるため、基本設計の段階でしっかりとコストマネジメントを行う。
工場のランニングコストを試算しておく 工場の建設費ばかりに目が行きがちだが、建設後の工場運営におけるランニングコストも重要。
工場の建設費や設備費等の初期費用は抑えたが、その分ランニングコストがかかったというケースもあり、初期費用とランニングコストのバランスが大切。
計画段階で工場の「拡張性・可変性」を持たせておく 工場建設において「拡張性・可変性」を考慮しておくと、企業の成長や市場の変化に柔軟に対応できるうえ、工場の長期的な運用が可能になります。
近隣住民や周辺環境へ配慮する 工場は地域社会に大きな影響を与えるため、建設計画に対して近隣住民から理解を得ることが非常に重要。
工場から発生する騒音、振動、排気ガスなどはトラブルの原因になりやすいので、それらに配慮した配置・建築計画を実施することが大切。
積極的にコンサルタントを活用する 発注者の立場に立ったコンサルタントを参画させることで、設計会社や建設会社と対等にプロジェクトを推進でき、発注者主導で全体最適化を実現することができる。

なかでも、特に重要なのは工場建設に精通した「コンサルタントの活用」です。
工場建設のマネジメントを外部に依頼することで、工程や資金面をしっかりと管理でき、工場の建設が円滑に進むだけでなく、建設費の削減も期待できます

「工場建設のポイント・コツ」や「工場建設のマネジメント」については下記記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

6.工場の「建設事例」

工場の建設事例を下記種類ごとに紹介します。

  • 食品工場
  • 半導体・精密機器工場
  • 金属・鉄鋼工場
  • 機械工場
  • 化学工場
  • その他工場
【食品工場の建設事例】
株式会社ウイッシュボン幸浦工場
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
神奈川県
横浜市
約1,970㎡ 洋菓子の製造
株式会社アヤベ洋菓子
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
埼玉県
吉川市
約4,600㎡ 洋菓子の製造
五十嵐冷蔵株式会社
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
埼玉県
日高市
約2,500㎡ 飲食店や老人ホーム向けの食事加工工場
AJINOMOTO(MALAYSIA)BERHAD
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
マレーシア 
ヌグリ・スンビラン州
約53,200㎡ 調味料の製造

「食品工場」については下記記事で解説しています。あわせてご確認ください。

【半導体・精密機器工場の建設事例】
株式会社トリケミカル研究所
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
山梨県
南アルプス市
約5,500㎡ 半導体関連の生産
デンケン・ハイデンタル株式会社
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
京都府
京都市
約7,000㎡ 歯科材料・機器の製造
PENTAX MEDICAL (PENANG) SDN. BHD.
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
マレーシア 
ペナン州
約6,800㎡ 内視鏡関連の医療機器の製造
JLL Malaysia Sdn. Bhd.
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
マレーシア 
ペナン州
約9,000m 心臓循環器領域の医療機器の製造
【金属・鉄鋼工場の建設事例】
株式会社オーケーエム
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
滋賀県
東近江市
約6,200㎡ 船舶用排ガス用バルブ専用工場
Synergy Pipes & Parts (M) Sdn. Bhd.
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
マレーシア 
イポー市
約6,700㎡ 自動車用鋼管加工工場
【機械工場の建設事例】
株式会社ヒラノテクシード
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
京都府
木津川市
約8,600㎡ 塗工・化工・繊維関連機械の製造及び部品供給
【化学工場の建設事例】
Malaysia Packaging Industry Berhad
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
マレーシア 
セランゴール州
約23,920㎡ 包装フィルムの生産
【その他工場の建設事例】
株式会社ショーエイコーポレーション
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
大阪府
大阪市
約3,300㎡ 化粧品や医薬部外品の受託製造
日本ジッパーチュービング株式会社
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
兵庫県
神戸市
約6,260㎡ 配線結束保護チューブ等の製造
TOYO TIRE株式会社
詳細はこちら
建設場所 延床面積 用途
セルビア共和国
ヴォイヴォディナ州
約117,000㎡ タイヤの生産

ニュース・ブログMENU

プラスPMについてもっと詳しく知る

  • 工場・物流施設 支援実績

    工場・物流施設 支援実績

    プラスPMの支援した生産工場・物流施設プロジェクトについてご覧いただけます。

  • プラスPMの強み

    プラスPMの強み

    プラスPMのコントラクションマネジメント(CM)の特徴や、CMについてを解説しています。

  • 会社案内

    会社案内

    プラスPMの会社概要・アクセスや主要取引先、沿革やトップメッセージをご覧いただけます。

  • 主要取引先

    主要取引先

    プラスPMの主要取引先を国内外問わずご紹介しています。

プラスPMへのお問い合わせ

当社コンサルタントによる初期ヒアリングは無料です。まずはお客様のご要望をおうかがいいたします。

電話

受付時間 平日9:00~17:00
(夏期休業および年末年始を除く)

当社サービスに関するお問い合わせ専用の番号となります

ページトップに戻る