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本記事は、はじめて「工場建設担当」になった方に向けて、工場建設の「全体の流れ」や「工期・スケジュール」について、できる限り簡単に全体感を把握できるように工夫して解説しています。
工場建設の「流れ」とおおよその「工期・スケジュール」は、以下のとおりです。
手順 | 内容 | 期間の目安 |
---|---|---|
1 | 基本構想・計画を立てる | 3か月~ |
2 | 設計会社・建設会社に発注する | 4か月~ |
3 | 基本設計でイメージを共有する | 6か月~ |
4 | 実施設計で詳細を確定させる | 6か月~ |
5 | 建設工事が行われる | 12か月~ |
6 | 引き渡しを受ける |
※上記の目安は「延床面積10,000㎡の工場」での標準的な期間を想定しています。
実際の工場建設では、規模、階数、施設内容、計画地条件等によって期間が変動しますので、具体的な期間についてはプロジェクトごとに当社へお問い合わせください。
以降、それぞれについて解説します。
なお、「工場建設」全体の概要に関しては下記記事でご確認ください。
建設事業の成否は発注者側の「取り組み方」、とりわけ建設事業初期段階である「基本構想や基本計画」をしっかり策定できるかどうかで、大きく変わります。
設計会社に図面作成を依頼したり、建設会社に建設工事費を聞いたりする前に、まずは社内でしっかりと以下4つのステップを踏まえて、具体的に検討・共有していきましょう。
「初期段階」でやるべきこと4つ
工場を新しく建設する際は、まずその目的を明確にすることが重要です。
目的が明確になっていないと、何のために工場を建てるのか曖昧になり、施設運営に望ましい設計や施工ができない可能性があります。
例えば
なぜ工場を建設したいのかをはっきりさせましょう。
工場の建設は、多額の資金と労力を要する一大プロジェクトです。
そのため、まずは事業戦略を明確にし、事業戦略に基づいた「適切な建設プロジェクトの基本構想」を立てなければなりません。
事業戦略に合わない建物では、多額の投資をしても効果が十分に発揮されない可能性があります。
事業戦略を実現した工場を建設するためには、工場に「必要な機能」や「投資額」、「スケジュール」、そして「考えられるリスク」を明確にすることが大切です。
基本構想をしっかり立てることで、どのような設計会社や建設会社を選ぶべきか、最適なパートナー像がはっきりしてきます。
建設事業を成功させるには、「事業戦略や施設の基本構想を社内でしっかり共有する」ことが大切です。
経営者だけでなく、幹部や現場の担当者が同じ方向を向き、一体となって取り組む必要があります。
建設プロジェクトの過程では、さまざまな問題や選択を迫られる場面がありますが、全員の方向性が一致していれば正しい判断ができ、スムーズに進めることができます。
基本構想・計画が完成したら、設計会社や建設会社を選定し、発注しましょう。
発注方式は主に3種類があり、どの発注方式を選ぶかによって、設計会社や建設会社に発注するタイミングや参画してもらう時期が異なります。
発注方式の主な種類
<設計会社・建設会社の参画時期>
発注方式 | 設計会社へ依頼する時期 | 建設会社へ依頼する時期 |
---|---|---|
設計施工分離発注方式 | 基本構想・計画の策定後 | 実施設計の完了後 |
実施設計・施工一括発注 (実施設計デザインビルド)方式 |
基本構想・計画の策定後 | 基本設計の完了後 |
設計・施工一括発注 (基本設計デザインビルド)方式 |
発注しない | 基本構想・計画の策定後 |
発注方式毎に適したタイミングで、設計会社・建設会社に依頼しましょう。
なお、工場建設においては「設計・施工一括発注(デザインビルド)方式」で建設されるケースが多いです。
下記記事では発注方式について解説しています。あわせてご覧ください。
設計会社や建設会社を選定する際に共通する重要なポイントは、
単純に見積書が最安値の企業を選ぶのではなく、見積や提案内容、実績、対応力を総合的に捉えてそのプロジェクトに最良の企業を選定することです。
見積もり金額だけに注目するのではなく、「発注者のことを考えたプランなのか」や「過去の実績があるのか」、「完成後のメンテナンス体制はどうなっているか」等、自社にとって最良なのかを検討するとよいでしょう。
設計会社は、工場建設に限らず以下の方法で選定します。
選定方式 | 内容 |
---|---|
面談等で選定する | 設計会社の営業担当だけでなく、設計の責任者や主担当者との面談・ヒアリングを中心に審査・評価する。 |
プロポーザル方式で選定する | 具体的な計画提案ではなく、当該プロジェクトに対する発想・解決方法等の提案を審査し、設計者を選定する。 |
計画提案付プロポーザル方式で選定する | プロポーザル方式に概略平面計画などの簡易な具体的提案も求め、審査・評価する。 |
コンペ(設計競技)方式で選定する | 具体的な設計案を審査し、選定する。 |
プロポーザル方式とコンペ方式は混同されやすいですが、評価の対象が異なる点で大きな違いがあります。
コンペ方式は「企画内容」のみを評価するのに対し、プロポーザル方式では「企画者」も含めて評価することが特徴です。
設計案を作成する際には、発注者側と共同作業を進める「パートナー」として、最も適した設計者を選ぶ必要があります。そのため、専門性が高い建築物や特別な技術が求められるプロジェクトほど、プロポーザル方式が採用される傾向があります。
参考:国土交通省|設計者の選定
工場建設では「指名競争方式」が一般的に用いられ、「価格競争方式」または「総合評価方式」で建設会社を選定します。
選定方式 | 内容 |
---|---|
価格競争方式 |
|
総合評価方式 |
|
設計業務は「基本設計」と「実施設計」の2つに分かれており、まずは「基本設計」が行われます。
基本設計とは、
発注者の要望をもとに大まかな仕様を決定し、建設する工場のイメージを共有する作業のことです。
工場の全体的な構想やコンセプトを確立するための初期段階で、工場の目的や設計方針を明確にし、建物の配置やレイアウト、設備の仕様などを検討します。
具体的には、平面図や立面図、断面図などの基本的な図面が作成され、建物の全体像が示されます。
基本設計は、工場建設プロジェクトの成否を左右する重要なフェーズです。
基本設計の後の実施設計や施工に支障をきたさないように、以下の点に注意する必要があります。
注意点 | 内容 |
---|---|
要望を明確に伝える |
|
コスト管理を徹底する |
|
法規制と地域条件を確認する |
|
動線計画の実効性をチェックする |
|
なお、工場の建設費は「基本設計の完了時点で8割が確定する」といわれています。
そのため、基本設計の各段階でコスト管理を並行して行わないと、予算超過などの問題が発生しやすくなります。
基本設計で策定した仕様が予算内に収まっていることを確認したうえで、次の段階にあたる「実施設計」に進みます。
実施設計は、「基本設計を基にして具体的な詳細を決定する」プロセスです。
基本設計は「イメージの共有」が目的であるのに対し、
実施設計は、工事を実施するために必要な詳細な設計図を作成する「施工指示」が目的です。
工場の機能性、安全性、効率性を最大限に引き出すための設計が行われます。
建物の構造や設備、配管、電気配線などの具体的な仕様が含まれた詳細な図面(平面詳細図や断面詳細図など)が作成され、施工に必要なすべての情報が盛り込まれます。
実施設計の段階で発注者側がやるべきことは、「設計内容の整合性を確認し、施工可能で問題のない状態を確立すること」です。
また、予算や法規制等を管理し、次の施工段階に向けて万全な準備を整えることが求められます。
注意点 | 内容 |
---|---|
基本設計との整合性を確認する |
|
図面と仕様書をチェックする |
|
予算の確定とコスト管理を行う |
|
法規制に適合しているかを確認する |
|
注者側に工場建設のノウハウがある場合は問題ありませんが、第三者による確認やレビューを実施することで、設計の品質や整合性を客観的に評価でき、リスクを軽減できます。
リスク軽減の観点からも、コンサルティング会社など第三者の活用を積極的に検討することをおすすめします。
実施設計が完了し、詳細な設計に基づいて最終的な見積もりと工事内容が確定すると、いよいよ建設工事が始まります。
「設計施工分離発注方式」の場合
実施設計が完了したのちに建設会社を選定し、契約に進みます。
なお、建設工事が始まったら、すべてを建設会社に任せきりにするわけではありません。
建設時においても、発注者は以下のような役割を担います。
建設プロジェクトでは基本計画で明確にしたスケジュールに基づき、設計段階から建設工事中に至るまで、プロジェクト全体を通じた管理が必要です。
したがって、建設工事中は施工管理者だけでなく、発注者側も進捗状況を正確に把握し、問題が発生した際には迅速に対応することが求められます。
特に工場建設のような大規模なプロジェクトでは、わずかな遅れが大きな損失につながる可能性があるため、発注者側による工程管理が欠かせません。
建設工事中は定期的に会議を開き、施工管理者や建設会社の現場代理人や設計士、協力業者と進捗状況を確認します。
定例会議ではスケジュールの進捗報告や修正点を情報共有し、意思疎通のズレを防ぎ、プロジェクト全体の透明性を確保します。
施工中は設計図どおりに工事が進められているかを確認しなければなりません。
これは「工事監理」と呼ばれるもので、設計図と現場の状況を照合し、工事の品質や安全性を確保するとともに、法令違反や追加工事によるコスト増加、工期の遅延を防ぐ役割を果たします。
なお、工事監理は建築士や専門の技術者によって行われるのが一般的です。
参考:国土交通省|工事監理
工場建設の施工中におけるコスト管理は、予算内で工事を進めるために欠かせません。
施工中は設計変更や予期せぬ問題が発生しやすく、追加工事などによるコストの増加を防ぐため、常に費用を意識し、適切に管理する必要があります。
また、施工途中で変更の要望があった場合には、その変更が使い勝手や将来性、費用面で本当に必要かを、迅速かつ慎重に判断することも求められるでしょう。
施工中の追加費用については、下記記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。
工場が完成した後、一般的に以下の流れで正式な引き渡しが行われます。
「引き渡し」までの流れ
なお、引き渡しまでの発注者や建設会社、官庁による検査のタイミングは、建設プロジェクトの特性や工場の種類、修正作業の有無等に応じて前後する場合があります。
まずは工場の設備や機器が正常に動作するかを確認するために、試運転が行われます。
試運転では不具合や問題点を確認し、必要に応じて調整を行います。
引き渡し前にすべての機器が適切に機能することを保証するために欠かせない工程です。
試運転が完了した後、発注者が工場全体を確認します。
契約内容に沿って工場建設されたか、機能や仕上がりに問題がないかを発注者自身が直接確認します。
不備が見つかった場合には、修正を依頼することが可能です。
建設会社による最終検査も行われます。
この検査では、建物が設計図や契約内容に基づいて正しく施工されているか確認します。
発注者検査同様、問題が発見された場合は、修正作業が行われます。
行政機関による検査が行われ、工場が法律や規制を遵守していることが確認されます。
この検査をクリアすると「検査済証」が交付され、この証明書がないと工場を使用することはできません。
最終的にすべての検査が完了すると、建設会社から発注者へ工場が引き渡されます。
引き渡し時には工場の鍵や関連書類(検査済証など)が発注者に渡され、この時点で工場は発注者の所有物となり、生産機器の設置、試運転を経て、実稼働になります。
工場建設プロジェクトは多額の投資を伴う一大プロジェクトであり、失敗は許されません。
基本計画の策定から設計会社や建設会社の選定、設計の確認、法規制への対応など、複雑な業務が多く、自社だけで成功させるには豊富なノウハウと経験が必要です。
そのため、近年では設計会社や建設会社とは独立したコンサルティング会社が中立的な立場で発注者を支援し、建設プロジェクトを進めるケースが主流になりつつあります。
「コンストラクション・マネジメント(CM)方式」や「プロジェクト・マネジメント(PM)方式」と呼ばれ、
といった課題や悩みに対して、発注者側の立場に立って解決します。
コンサルティングを導入することで得られるメリットや具体的なサポートの流れについては下記で紹介していますので、ぜひご確認ください。
生産工場・物流施設 建設、コンストラクションマネジメント
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