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生産工場・物流施設

はじめての医薬品工場建設!標準フローを理解し予算内で理想の施設整備を実現しよう!

全世界がコロナ禍に翻弄されはじめてから既に半年以上になります。
そのような背景の下、医療医薬の分野は大きな注目を集めています。当社へのお問い合わせも医薬品製造に携わる方々からの工場建設に関するご相談が多数寄せられています。

今回は医薬品工場の建設に必要なフローをGMPとバリデーションのポイントとともに解説します。

基本計画を立てる → 基本構想:課題の抽出とゴールの設定

課題の抽出

医薬品製造業だけに限定される話ではありませんが、私共に寄せられる工場建設のお問い合わせの大半は、すでに既存の工場があり、今回『ある理由で』新工場建設を計画している、という内容のご相談です。ここで重要なことは、『ある理由』、、、です。

医薬品工場を建設する主たる理由は下記のようなことが考えられます。

  • 既存工場の老朽化
  • 既存工場の狭隘化
  • BCP対策
  • 生産拠点不足

その他にも様々な理由がございますが、このような理由というのは『現状の問題』なのです。

そして建設計画をスタートする上で、まず初めにやらなくてはいけないことが現状の問題把握です。まず問題の現状把握から課題を抽出し、さらに将来を見据えた明確なゴールを設定することが最も重要になります。

例えば、問題から課題を抽出するということは、次のような展開をしていくことです。

問題課題
既存工場の老朽化 GMP規定を満たす「安全で衛生的な品質管理」の実現
既存工場の狭隘化 目標とする生産量を生み出す
BCP対策 既存工場が被災した際のバックアップ拠点確立
生産拠点不足 新たな生産拠点を展開

この様に、現状を分析して問題を把握することで課題が明確化されます。

ゴールの設定

課題の抽出、明確化が出来たら今回の建設プロジェクトのゴールを設定します。

「何を」「いくらで」「いつまでに」をお客様の事業計画に合わせ設定するのですが、その中でも重要なものが課題から導き出された「何を」になります。

例えば、前記した「既存工場の老朽化、狭隘化」が問題の医薬品製造業のお客様の場合ならば、

「確実にGMP規定に準拠し安全で衛生的で、生産能力○○を達成する新工場を」

「総事業予算○○で」

「○年〇月までに完成させ」

○○からの生産稼働を目指す、ということになるのです。

この様に、現状の問題をしっかりと把握し、ゴールとなる完成像(ビジョン)を明確にすることが重要なのです。

基本計画の策定

「何を」「いくらで」「いつまでに」そして...

当社がプロジェクト初期の基本構想、基本計画段階からお客様のご支援をさせて頂く場合、前述しました「何を」「いくらで」「いつまでに」を実現するには、「プロジェクトの進め方」を考える必要があります。

まず、第一にお客様とともに、建築計画の基礎となるプラン構成の策定に着手します。
お客様の工場における原材料の入荷から製造、最終製品の出荷に至る全生産プロセス・生産フローを理解し、関連する法令や条例を把握し、その上でGMPやバリデーション規定に適合するための要求水準を策定することです。

次に「建設予算書」の策定ですが、当社のこれまでの経験と実績に基づき算出していきます。
並行してマスタースケジュールを組んで「いつまでに」を明確にします。そして、この様に設定したゴールにたどり着くための、「プロジェクトの進め方」を考えます。

多様な発注方式 経験豊富な設計者の確保

発注方式には、

  • 設計、施工分離発注方式
  • 設計施工一括発注方式(デザインビルド方式ーDB方式)
  • ECI発注方式(Early contractor involvement 方式)

などがあり、それぞれに特徴(メリット・デメリット)があります。

発注方式についての詳しい記事
設計施工一括発注方式(DB方式)で契約後のトラブルを防止するためのポイント

発注方式を決定していくためには、QCD(品質、コスト、納期)のうち、どれを優先するべきかで方向性が見えてきます。
医薬品製造工場を建設する場合ならば、GMP規定に準拠する品質の確保が最優先要求事項になりますので、それを踏まえた設計者の確保が可能な発注方式選定になります。もちろん、建設市況を睨んだ上で発注時期を考慮することも大事です。

設計段階

医薬品工場設計の留意点

医薬品、医薬部外品の製造工場はGMP規定の三原則

  • 汚染、品質低下の防止
  • 人為的ミス防止
  • 品質システムの構築

を満たすことが求められます。

設計上の留意点をいくつか挙げますと、建築的には、

  • 外部からの虫の侵入を最大限防止するために、虫の発生する水路、側溝、水たまり(池や井戸等)や樹木からできる限り建物を離した配置計画
  • 窓やドアには、虫の侵入を防止する防虫フィルムを貼り、気密性能を高くする。設備開口(給気口や排気口)についても、防虫フィルターを設置
  • 製品内に異物が混入しないため、建物内部の表面(壁、床、天井)は平滑でひび割れがなく、効果的な清掃が行えるものを採用する

などがあります。
また設備計画はさらに重要になります。

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医薬品工場のGMPとバリデーション対応のポイント!建設に特化したコンサルタントが解説

このように、医薬品工場として、まずGMP規定に準拠する設計品質を確保が設計段階での重要なポイントです。
そして、基本設計が固まった段階で工事費概算を算出し、工事費が予算内に納まった設計であるかをタイムリーに確認していくことが肝要です。

コスト管理のポイント

設計段階でのコスト管理は、プロジェクトの成否に大きく影響します。発注方式の如何にかかわらず、実施設計が完了した時点で詳細な工事費見積が提示されます。
もしもこの時点で、見積価格が工事予算を超過していた場合、発注者は

  • 予算を上積みする
  • 設計内容を見直す
  • プロジェクト自体を見直す

このようなことを検討することになります。

つまり予算超過の上にスケジュール遅延も発生してしまいます。

それを未然に防止するために、設計変更などのコスト変動につながる事象が発生した場合はその時点ですぐに概算コストを確認し、予算超過が想定されるときには、コスト削減のための方策を早めに打つようにします。適宜にコスト管理を実施することで、工事発注時の予算超過を防止します。

失敗しない医薬品製造工場建設

繰り返しになりますが、医薬品工場建設には、必ずGMP規定に準拠する対策を取らなければなりません。
そして完成した新工場は、現状の問題点・課題の検証をもとに設定した完成像を満たし、お客様のビジネス成功のための生産施設であるべきです。

計画初期段階にお客様主導で設定するGMP規定に基づく管理運用コンセプトが必要であり、その上で設計段階においてはGMP規定の適合性の確認、防虫、防鼠、防塵について経験と実績に裏付けされた技術的な知見が必要となります。

プラスPMは、医薬品工場建設の実績を有し、その経験からGMP規定やバリデーションノウハウを熟知しています。医薬品工場の建て替え、改修工事をお考えの法人様は是非一度ご相談ください。


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