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病院建設プロジェクトにおけるCM方式採用の課題と得られるメリット

CM方式(コンストラクション・マネジメント方式)とは、欧米で生まれた建設プロジェクト推進のスキームです。
日本では1990年代後半に主として外資系企業が発注者となるケースで採用がはじまり、2002年に初めて国土交通省によりCM方式活用ガイドラインが策定公表されました。その後、外資系ファンドが所有するオフィスビルなどのアセットのバリューアップ建設計画でCM方式の採用が進み、徐々に民間建設プロジェクトでの採用が増え始めました。

そして大きな転機となったのは、2008年のリーマンショックです。
世界的なリーマンショックによる不況のもと、日本の建設プロジェクトにおいても、企業はこれまでのような不透明なプロセスでのゼネコンや設計事務所への発注方法を改め、絶対的なコンプライアンスの下、株主への説明責任を果たすことを目的として透明性の高い第3者たるCM方式の採用が民間大手企業で進み始めました。さらには、近年、国交省が各地方自治体へ向けた発注者支援を目的としたCM方式採用の取組により、現在では公的病院や庁舎新築などの公共事業においてもCM方式の採用が拡大してきています。

「CM方式(コンストラクション・マネジメント方式)とは、発注者の補助者・代行者であるコンストラクションマネジャー(CMR)が、技術的な中立性を保ちつつ、発注 者の側に立って、設計・発注・施工の各段階において設 計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、法令遵守などの各種マネジメント業務の全部又は一部を行う方式です。CM方式を活用することで、発注者の体制・能力の質的・量的補完を図ることができます。発注者の実情により補完すべき事項は異なりますので、CM方式の導入は小規模事業であっても可能です。」
国土交通省:「CM方式の導入について」より引用

CM方式は、特に発注者が高品質な建物や建設費抑制を求める案件での採用に適した手法です。

関連記事:【動画】病院建設におけるCM方式活用のメリット(4:06)

関連記事:【動画】コンストラクションマネジメントとは(CMとは)(3:39)

近年の病院建設を取り巻く建設市況

建設業界は人手不足が続いています。また、高止まりする資材価格や労務費に加え、2025年開催の大阪万博、リニアに関連した工事への期待もあり、需要も引続き活況な状態です。
そのため市場動向が読みづらく、計画立案から竣工まで数年間かかる建設プロジェクトのコストコントロール、スケジュール管理が困難なものとなっています。
こうした背景を受け、現在、計画初期から建築に特化したコンサルタントを採用するCM方式の問合せが増えています。

2019.8_jukyuutyousa.jpg国土交通省 2019年9月25日公表 「建設労働需給調査結果(令和元年8月調査)」より引用

8職種:型枠工(土木)、型枠工(建築)、左官、鳶工、鉄筋工(土木)、鉄筋工(建築)、電工、配管工

CM方式で解決できる課題

建設プロジェクの円滑な推進

「建設プロジェクトの主担当になったが、具体的にどう進めていいのかわからない、不安だ」
このようなご相談を頂くことは珍しい事ではありません。CM方式の採用は建設計画の初期から竣工・引渡まで、どのタイミングでの相談にも対応することが可能です。

過去、診療報酬制度が右肩上がりの時代は、旧知の設計事務所やゼネコンに何でもまとめてお任せをすることが一般的な時もありました。
しかし、病院経営も厳しい時代となり、建設コストは最小限に抑えたうえで、機能的な病院を建設することが病院運営の鍵となった今日、病院の医療計画や償還計画とあわせて、コスト管理、品質確保、スケジュール管理等、最適な建設投資が実現できているかの検証を病院様と一緒に行うパートナーとしてCM会社が求められています。

一方でプロジェクトを円滑に推進するためには、院内の合意形成が大変重要なポイントになります。
そのためには、幹部の意識改革やモチベーション向上を図るため最近の病院のトレンドや求められる機能について他事例の紹介を行ったり、設計事務所選定時に先進事例の見学会を実施する事で他病院を知っていただくような施策も重要です。そしてこのような施策はその後の計画・推進にも大変役立ちます。

多様な発注方式の選択が可能

建設プロジェクトを成功する上で、最も重要なことの一つは、発注方式の決定です。発注方式とは、大きく2つあります。

また上記から派生した、「基本設計、実施設計・施工発注方式」「ECI方式(Early Contractor Involvement 方式)」なども近年では活用されています。

CM会社がプロジェクト初期段階に参画していることで、病院様はどの発注方式を選択することも可能になります。そしてCM会社は、これまでの実績と経験そして建設市場の動向を睨み、病院建設プロジェクトの特性をしっかりと理解したうえでQCD(品質・コスト・納期)の視点から、本プロジェクトではどの発注方式を採用することが、お客様にとってベストの選択になるか定量的資料を作成しご提案します。

発注方式が決定したら、如何にして競争環境を創造するかなどの施策を講じ、最終的に高品質低コストでの発注を実現します。

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CM方式を採用することによって得られるメリット

基本構想・基本計画の策定

病院建築は設備や機能が複雑な建物です。更に必要諸室や部門の構成、動線の優劣など、運用が病院毎に異なります。CM会社は、病院の経営方針を理解した上で、最適な建設計画の策定を実現します。

基本構想を策定するために、医療経営コンサルタントを採用するケースは決して少なくありません。彼らは現状における病院経営状況を分析し課題抽出など実施し、新病院建設と開院後の病院経営における事業収支などを策定するわけですが、基本構想段階では建設コストや建設工期の設定精度を高めることは決して容易な事ではありません。

そして結果として設計事務所やゼネコンに協力を仰ぐことになり、しがらみが生まれてしまいます。しかし病院建設に精通したCM会社は医療経営コンサルと協業し、全てのプロセスを可視化した上で最適なプラン、精緻な建設概算コスト、適正な建設工期を作成し、基本構想書にまとめることができます。

予算超過の防止

前述で触れた基本構想・計画段階で一旦建設予算、建設規模は設定されます。そして事業化が決定しいよいよ実施段階に移行します。

設計段階は、これまでよりさらに計画の深度化を進めます。基本構想段階では見送られていた病院様の要望事項が新しく生まれたり、行政協議を進めたことで想定外の対応事項が必要になることは極一般的な話です。
そのような時、設計者は設計図書を作成することが仕事ですから、どの程度コストに影響するかについて立ち止まって検証することはありません。ゼネコンも設計図書に基づく積算はしますが、工事費削減に関する検討については積極的には動いてくれません。また、設計が進む途中で「何かおかしい」と感じた時や、余分なものがないか、使いにくい建物になっていないかと疑念を持った時、どの時期にそれを議論したらよいのかわからず、結果、規模や機能が過剰になり予算超過してしまう事例があります。

CM会社は円滑な事業推進のため、予算超過防止を常に意識し、コスト推移表を用いてタイムリーなコストの可視化を実現し、コストマネジメントを病院様の目線で実施します。予算を超過してしまう前にコスト縮減の方策を抗ずる、この管理を、プロジェクト全体を通して実施することで予算内の建設プロジェクトの完遂を実現できるのです。

補助金の活用

大きな改修工事計画や新築建替計画では、補助金活用がその計画に含まれることが多くあります。しかしながら補助金取得のためには、決められたルールに基づく業者の選定や行政スケジュールに沿った設計期間の設定、そしてそれら必須事項をまとめた各種申請書類の作成などプロジェクト計画初期段階に抑えておかなければならない項目が多数あります。
これを病院様単独で対応することは大変困難です。

この様な場合も、豊富な経験と実績を有するCM会社がいることで、予めどの補助金の活用が可能で、それを取得するためには何がいつまでに必要で、またそれを実現するには発注方式はこの方式になり、全体工期はこうなります、と明確に分かり易く提案しますので、病院様は適正なご判断をすることができます。

そして確実な補助金取得が可能になります。 関連記事:病院再整備時の目的ごとの補助金活用事例

CM方式採用の効果が薄いケース

CM方式は、プロジェクトのどの段階からでもその活用が可能ですと前述で申し上げましたが、CM活用による効果が薄い場合もあります。

そもそもCMビジネスの元来の考え方は、「CM効果により削減できたコストの一部をCMフィーとしてCM会社がいただく」というビジネススキームから生まれています。
したがって、CMフィーが削減額を上回ってしまっては、お客様にとっては費用対効果が悪いということになります。このような場合が、CM効果が薄いケースになります。

小規模プロジェクトの場合

既存建物の部分改修や工事総額5億程度の小規模建設プロジェクトでは、CMの活用範囲を限定的にすることをお勧めします。

一般的にCMフィーは、CMrがその業務に費やす時間で算出されますので、基本構想段階から業者選定までなど広範囲で活用するとCMフィーも業務に費やす時間相応のものとなります。一方で、業務内容自体はプロジェクトの規模に大きく左右されるものではないため、規模の大小でフィーが格段に変わるものではありません。

したがって小規模プロジェクトの場合はお客様にとっては費用対効果が薄いことになります。

競争原理のない環境下での減額交渉

CM会社の採用以前にゼネコンが決まっており、更に契約金額が決まっている場合もCM効果が薄くなります。

理由としては、全く競争原理が働かない環境だからです。少額案件ならば尚更です。
つまりCMrが実勢価格情報と独自のコストデーターベースをもとに見積の査定を実施しても、競争が働かない環境下ではゼネコン側にコスト削減意識はなく(ゼネコン優位の状態)、また契約時の単価設定の方が有効になるので、CMrの査定額に対する回答は限定的になり、このような場合もCM効果は薄いケースになります。

しかしお客様によっては、例えこのようなケースでも、今後のためにも実際の適正価格は知っておきたいのでという理由から当社に査定業務をご依頼される場合もあります。

まとめ

プラスPMは、様々な病院建設プロジェクトのCM実績があり、さらに独自の簡易病院経営診断の実施も可能です。
また、病院経営改善についてはどの医療経営コンサルでも協業することができ、病院様を多角的にご支援することが可能です。
病院建設は、病院の経営計画を考え実行する上で、大変に重要で影響の大きなプロジェクトです。当社は、経営と建設の両者をしっかりと理解し、両輪で回すことで、病院様のより良い経営環境の構築を支援します。

また、当社は設計事務所やゼネコンなどと資本関係のない完全独立系CM会社として、第三者性を確保しているため、公平な立場でお客様に最適な会社をご紹介できます。発注段階における公平性の確保は、より参加業者の競争意識を高め、より良い品質、低コストの建設を実現できます。

病院特有の問題点をおさえたスケジュール管理や、補助金を取得しての多様な発注方式の提案など建設計画の初期から設計、調達、施工、竣工・引渡まで一貫したご支援が可能です。病院建設プロジェクトにおいて、今後の進め方に不安があるようでしたら、是非一度ご相談ください。


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