PM/CM、建設コラム

PM/CM

図解で分かる!コンストラクション・マネジメント(&CM方式)とは何か

コンストラクション・マネジメント(CM方式)とは

本記事では、公共施設や工場などの建設プロジェクトで専門家の支援を検討している発注者の方に向けて、「コンストラクション・マネジメント」と「コンストラクション・マネジメントを実行するための発注・契約方式(以下、CM方式)」についてわかりやすく且つ、網羅的に解説しています。

1.コンストラクション・マネジメントとは

コンストラクション・マネジメント(CM:Construction Management)とは、

建設プロジェクトにおいて「発注者の立場」に立った専門家(コンストラクション・マネージャー)が、プロジェクト全体または一部をマネジメントする考え方・手法を指します。

専門家は自ら設計や施工を請け負うのではなく、企画・設計・工事の各段階において、コストや品質、スケジュール等を横断的に管理し、発注者が最適な利益を得られるよう支援することが目的です。

1-1.コンストラクション・マネジメント(CM)方式とは

CM方式とは「コンストラクション・マネジメント」の考え方を、実際の建設プロジェクトで実行するための発注・契約方式です。


<図:CM方式のイメージ図>

CM方式のイメージ図

発注者は設計者・施工会社とは別に、コンストラクション・マネジメント会社(CM会社)と直接契約を結びます。
契約したCM会社のコンストラクション・マネージャー(CMr)は発注者の「代理人・補佐」として機能し、技術的な中立性を保ちながらプロジェクトの進行・管理を支援します。

参考:一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会|CM(コンストラクション・マネジメント)とは

1-1-1.CM方式の活用例

例えば「工事費10億円」という見積もりが適正か、建設の専門家ではない発注者だけで判断するのは困難です。
そこでCM方式を採用することで、CMrが発注者の立場に立って、以下のような検証や提案、交渉を行います。

  • 市場価格との比較:同規模・同性能の他事例と比較し、〇億円は妥当と評価
  • 仕様の見直し:「同品質で安価な代替品」を提案
  • 設計内容の精査:「設計図書が要求事項を満たしているか」を確認、修正を設計者へ依頼
  • 交渉の代行:根拠ある減額交渉を実行
  • 工程・進捗管理:工期の妥当性と遅延リスクを確認し、必要に応じて工程の見直し・是正策を提案
  • リスク管理:プロジェクト上の想定される「リスクを見える化し、対応案」を提案

上記のように建設のプロが「価格・品質・工期(QCD)」を多面的に精査・管理することで、リスクを抑えてプロジェクトを推進することが可能になります。

1-2.コンストラクション・マネジメント(CM)の歴史

建設事業におけるプロジェクトマネジメント(PM:Project Management)であるコンストラクション・マネジメント(CM)の発祥は、1960年代のアメリカとされています。

建設プロジェクトの規模拡大と複雑化に伴い、効率的なプロジェクトの進行や適切なコストコントロールを目的とする管理手法として開発されました。

日本では、1990年代から徐々にCMを活用したプロジェクト事例が表れ始めました。
現在は、国土交通省発行の「CM方式活用ガイドライン」に基づき、CM方式が一般的な手法として多くの建設プロジェクトに導入されています

参考:国土交通省|CM方式活用ガイドラインについて

2.コンストラクション・マネージャー(CMr)の役割

CM方式では、プロジェクトごとに建設の全工程に造詣が深いコンストラクション・マネージャー(CMr)が発注者側としてプロジェクトへ参加し、支援します。


<図:CMrのイメージ図>

CMrの役割イメージ

CMrは特定の建設会社や設計事務所の利益に縛られず、あくまで「中立的な立場」で発注者の利益を最大化します。

各工程でのCMrによる支援内容は以下の通りです。

2-1.計画段階(基本構想・基本計画段階)

建設プロジェクトの成功は、初期段階である計画段階でいかに適切に準備を進めるかにかかっています。
そのため、早い段階からCMrを起用することで、プロジェクトの方向性が明確になり、大きなトラブルを未然に防ぐことが可能になります。

「計画段階」でのCMrの支援内容例は、以下のとおりです。

支援内容 例

  • フィージビリティスタディおよび投資意思決定
  • 事業目標達成のためのマネジメントシステム構築
  • 拠点戦略・事業運営戦略立案
  • 建設計画の検討・提案
  • 事業予算および全体工程の策定
  • 発注方式の検討
  • 基本構想書作成

【支援例】全体工程の策定

計画段階の具体的な支援例を1つ紹介します。


<図:全体工程の策定>

全体工程の策定イメージ

建設プロジェクトには設計や工事だけでなく、行政協議、近隣説明、テナント調整、移転準備など多岐にわたるタスクが存在します。

CMrは全ての工程を網羅したマスタースケジュールを作成し、「いつ、誰が、何をすべきか」を可視化し、プロジェクト全体がスムーズに進行するロードマップを構築します。

2-2.設計・施工者の選定段階

設計者や施工会社を選定する際、専門知識がないと「金額」だけで判断してしまいがちです。
CMrの支援を受けることで、技術力や実績、提案内容を含めた総合的な評価が可能となり、プロジェクトに最も合致したパートナーを選定できます。

「設計・施工者の選定段階」でのCMrの支援内容例は、以下のとおりです。


支援内容 例

  • 選定方法・基準の作成
  • 見積要項書の作成
  • 提案書の技術的評価
  • 工事価格の妥当性評価

【支援例】評価基準の設定とプロポーザル開催支援

設計・施工者の選定段階の具体的な支援例を1つ紹介します。


<図:評価基準の設定>

評価基準の設定イメージ

最適なパートナーを選ぶためには、公平かつ明確な「評価基準」が必要です。

CMrは価格点と技術点の配分や、重視すべき評価項目(実績、担当者の能力、VE提案力など)を策定し、発注者が納得感のある決定を下せるよう助言も行います。

2-3.設計段階

CMrは専門的な図面や仕様書の内容を読み解き、コストと品質のバランスを調整しながら、設計内容を最適化します。

「設計段階」でのCMrの支援内容例は、以下のとおりです。

支援内容 例

  • コストシミュレーション
  • 設計図書の確認
  • コストダウン提案
  • 事業主発注の別途工事
  • 設計反映確認

【支援例】設計図書の確認

設計段階の具体的な支援例を1つ紹介します。


<図:設計図書の確認>

設計図書の確認イメージ

CMrは「過剰なスペックになっていないか」「要求した機能が盛り込まれているか」「メンテナンス性は考慮されているか」といった視点で設計図書の確認を行います。

確認を通して、VE(バリューエンジニアリング)提案や、施工時のトラブルを防ぐ指摘を行い、コスト超過や品質不足のリスクを防ぎます。

2-4.施工段階

追加費用の発生や工期の遅れといった施工段階でのトラブルを防ぐため、CMrが品質・コスト・スケジュールを厳しく確認し、必要な調整を行います。

「施工段階」でのCMrの支援内容例は、以下のとおりです。

支援内容 例

  • 工事進捗状況報告
  • 設計変更事項の確認
  • 追加工事見積査定
  • 竣工検査の是正確認

【支援例】工事の進捗状況を確認

施工段階の具体的な支援例を1つ紹介します。


<図:工事の進捗状況を確認>

工事の進捗状況を確認するイメージ

CMrは定期的に現場を確認します。
万が一、遅れや問題が発生しそうな場合は、原因を特定し、施工会社に対して改善策の立案を指示します。
また、設計変更が必要になった際には「その変更理由が正当か」「見積額が適正か」を厳しく査定し、不当なコスト増額を防ぎます。


建設プロジェクトは専門性が高く、発注者様だけで判断するには多くのリスクが伴います。

「計画が適正かどうかわからない」
「コスト削減の余地があるか知りたい」

など、プロジェクトに関する疑問や不安をお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。
貴社の利益を最大化するパートナーとして、最適な進め方をご提案いたします。

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3.コンストラクション・マネジメント(CM)方式を導入するメリット

CM方式を導入するメリットは、主に以下の6つです。

【CM方式を導入するメリット6つ】
メリット 内容
専門家が発注者目線で建設プロジェクトを管理する 発注者の伴走者としてCMr(コンストラクション・マネージャー)が全体を管理し、専門知識を活かして最適な意思決定をサポート
建設コストの最適化が図れる 設計段階からコスト意識を持った提案や市場価格に基づくチェックを行い、無駄なコストを抑える
工事の遅延リスクを抑える 施工性を考慮した計画提案や、進捗管理の徹底により、スムーズな工事進行と工期短縮を図る
品質の確保・向上が期待できる 発注者の求める品質基準を初期段階から明確にし、設計・施工を通じて一貫した品質管理を行う
多様な発注方式の活用が可能になる 建設プロジェクトに最適な発注方式(分離発注、一括発注、ECI方式など)を戦略的に選択・活用できる
社内外への説明責任が果たせる 進捗・コスト・意思決定理由をレポートで可視化し、発注者自身が関係者に納得感ある説明ができる体制を整えられる

なお、プロジェクトの特性によっては「大幅なコスト削減」と「工期短縮」の両立が難しい場合もあります。
「どのような効果が期待できるか」は、事前にCM会社へ確認することをおすすめします。

4.コンストラクション・マネジメント(CM)方式導入の流れ

CM方式を導入する際は、プロジェクトの特性に合わせて「適用の可否」を判断することから始まります。
一般的な検討から導入までの流れは、以下の5ステップです。

CM方式導入の流れ

  1. CM方式の適用可否を検討
  2. 業務範囲・関与段階の整理
  3. CM会社の選定
  4. CM会社との契約
  5. マネジメント業務の実施

導入の流れの中で特にポイントとなるのが、「CM会社の選定」と「CM会社との契約」です。
発注者の代理人として適切なパートナーを選び、業務範囲(どこまで任せるか)を契約段階で明確にしておくことが、その後のスムーズな進行に繋がります。

5.コンストラクション・マネジメント(CM方式)を導入した事例

CM方式は、複雑な利害関係の調整が必要なプロジェクトや、コスト・スケジュールの制約が厳しい事業において、その真価を発揮します。

コンストラクション・マネジメント会社である「プラスPM」が実際に支援したプロジェクトの中から、課題解決の具体的アプローチと成果がわかる3つの事例を紹介します。

【事例①】財政負担を10%に抑えた病院再生

経営難に陥っていた公立病院と、老朽化した民間病院の統合・再編プロジェクトです。

【課題とCM導入の効果、成果】
項目 内容
課題 経営難の公立病院と老朽化した民間病院の統合。
巨額の建設費と、組織間の合意形成が大きな壁となっていた。
CM方式の導入効果 経営視点で事業スキーム自体を見直し。
補助金や民間資金を最大限活用する計画を立案し、複雑な利害関係を中立的に調整した。
成果 市の実質財政負担を総事業費の約10%まで圧縮。
また、医師不足も解消し、黒字経営可能な新病院を実現。

【事例②】着工直前の「大変更」を乗り越えた工場建設

半導体需要の急増に伴う新工場建設のプロジェクトです。

【課題とCM導入の効果、成果】
項目 内容
課題 プロジェクト進行中に製造品目の変更が決定。
「2階建て→平屋」という根本的な設計変更が発生し、工期遅延の可能性が高まった。
CM方式の導入効果 CMrが設計者・施工会社・生産コンサルタントの間に入り、変更に伴う影響範囲を即座に特定。施工会社と連携して遅延を回避する実行予算と工程表を再構築した。
成果 大幅な手戻りがありながら当初の稼働予定日を遵守。
加えて、将来の増改築にも柔軟な仕様を盛り込み、「変化に強い工場」が完成した。

【事例③】80件の工事発注を一元管理した競技場の建設

国民スポーツ大会のメイン会場となる陸上競技場の整備プロジェクトです。

【課題とCM導入の効果、成果】
項目 内容
課題 県と市がそれぞれ発注したため、80件もの工事発注が乱立。現場での作業干渉やトラブルが予測不能な状態になっていた。
CM方式の導入効果 CMrが「全体調整会議」を主催し、80件の工事進捗と動線を一元管理。
また、入札不調を防ぐために精度の高い市場価格調査も実施した。
成果 複雑な工事をトラブル・遅延なく、世界陸連公認の高品質なスタジアムが完成した。

なお、ご紹介している事例はあくまで一例であり、建物の用途や規模、抱える課題によって最適なマネジメント手法は異なります。

「自社の計画ではどのようなコストメリットが出せるか」
「類似の課題を解決した実績はあるか」

など、まずは貴社のプロジェクトについて詳しくお聞かせください。
プラスPMが状況に合わせて最適な進め方をご提案します。

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