シナジーグループCEO
桑原康宏 様Synergy Pipes & Parts (M) Sdn. Bhd.は中国に自動車用パーツ工場を持っている会社です。
そして今回、マレーシアのイポーに新たに工場を設立することになり、Plus PMがプロジェクト・マネジメントを行いました。シナジーグループCEOの桑原康宏様に、マレーシアのイポーに工場を設立された理由や、Plus PMにプロジェクト・マネジメント依頼された経緯とその効果についてうかがいました。
桑原:設計から工事完了までのプロジェクト・マネジメントをお願いしました。特にお願いしたかったのはコストダウンです。プロジェクトの内容は以下の通りです。
事業主 | Synergy Pipes & Parts (M) Sdn. Bhd. |
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所在地 | マレーシア イポー市 |
建物用途 | 自動車部品工場 |
延床面積 | 約6,700㎡ |
構 造 | S造、一部(事務所部分)RC 造 |
階 数 | 工場棟1階/事務所棟2階 |
桑原:チャイナプラスワン対策でした。弊社の中国から見て、設立するに当たって大きく「1.関税障壁」「2. 安価なインフラ」「3. 安定性の確保」の3つの理由がありました。
私たちは、中国に工場を所有する会社にとって、当時チャイナリスクの軽減は避けては通れない問題でした。加えてタイを中心とする東南アジアの自動車製造業用の輸出でAFTAを利用し、関税障壁を軽減する必要がありました。
マレーシアは我々製造ラインに必要なオイル、ガスが安価なこと、地理的にアセアンの中心位置にあること、また先進国並みに整った高速道路を利用した物流費が安い等メリットがあり、中国と比較して政治的、物理的災害リスクの少ない安定した国としても魅力的でした。
桑原:トータル・コストバランスです。
マレーシアの中でもイポーは中国人比率が高く、弊社の中国工場の教育システムがそのまま利用できるメリットがありました。製造機械も殆どが中国からの輸入の為、工場のラインの設計変更、メンテナンスについて中国語でメインランド企業とのやりとりを想定していました。その為、安価で優秀な中国人社員の確保が必須でした。またタイまで陸路で1日足らずで輸送できる地理的メリットもあります。人件費、輸送費、ランニングコストをトータルで考えるとイポーがベストという結論になりました。
桑原:期待以上のコスト効果がありました。
インベストメント・ペラ(マレーシア州政府投資窓口)からローカルゼネコンを紹介されたのですが、提示された金額が想定して金額を超えていました。本来であれば入札で建築会社を選択するのですが、初期の段階からこの建設会社でプロジェクトを進めてしまったため、途中から建設会社そのものを変えることが難しい状況でした。また我々の会社には建築の専門技術者が不在の為、対策がとれず困っていました。
Plus PMさんに依頼したのはこの段階です。
建設会社を変えずにコストダウンを行うという難しい状況でPlus PMさんから2つの対策を行っていただきました。そのひとつがNSC(Nominated Sub-Contractor)契約でした。
NSC(Nominated Sub-Contractor)契約とは?
Turn-key Contractと呼ばれる一括発注方式は、設計から施工まで一括窓口で責任の所在が明確であるというメリットがある一方、コスト高となり、発注した後のコストコントロールが難しく、ゼネコンの提示された価格で価格交渉せざるを得ないというデメリットがあります。
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それに対して、British standardを採用しているマレーシアのような国では、NSC(Nominated Sub-Contractor)契約と呼ばれる分離発注型契約が一般的です。電気・機械設備、給排水、ガス、杭、そのた機械設備の施工会社を入札で選び、価格、品質の優れた会社を選ぶことができます。
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またNSC契約は単なる分離発注と異なり、元請である建築会社と契約を結ばせることにより、一括方式同様の責任を建築会社に負わせることができるため、責任の所在が明確になるというメリットがあります。この方法を採用する為には各関連会社を調整するプロジェクトマネージャーの働きが非常に重要になります。
桑原:もうひとつの対策が、QS(Quantity surveyor)による支払管理でした。
NSC契約を採用することで品質を維持しつつ、建築以外の電気・機械設備、給排水、ガス、杭のコストを下げることが可能になりました。入札による競争原理の導入は効果が大きかったと思います。
また、QS担当者が、現場の工程はコストの推移をチェックして頂いたおかげで、工事中の過払いが無くなり、追加金額に対するチェックを細かく行い、価格交渉をスムーズに進めることができました。
QS(Quantity surveyor)による出来高支払管理とは?
ローカルの建築会社は様々な理由をつけて工事期間中に追加金額を要求します。また工事遅延についても遅延理由をあれこれ述べて逃げようとします。これを回避する為には、工事の進捗状況と出来高と、遅延事項をチェックするQS(Quantity surveyor)の役割が重要になります。
QS(Quantity surveyor)とはBritish standard下の建築積算の資格者です。彼らは単に積算を行うだけでなく、契約事項、建築現場の出来高、支払項目を把握し、建築会社から毎月提出される請求書に対して、虚偽の出来高の報告や、過払いの請求が行われた場合、これに対して支払をNoと言える権限があります。通常、建築会社は資金繰りのため、出来高より多めの請求や、施工状況の報告を怠るケースがあります。
我々は社内のQS資格者を使い、過払いを防ぐことは勿論、仕様と現場が一致されているかどうか品質管理をします。また設計変更による追加金額についてもQSが適正であるかどうかチェックしコストダウンを実現します。
桑原:例えば、建築工事中に鋼材の値段が上昇し、建設会社が追加金額を請求してきました。これに対し、PlusPMさんは契約事項と積算根拠を示し追加金額を取り下げさせました。
また建設工事終盤で軟弱地盤が発覚し、耐圧工事の追加金額が発生しました。これに対し、PlusPMさんは標準工期と比較し、遅れていた事を指摘、遅延金額と相殺条件に価格交渉を行いました。これらはほんの一例で、工事中にローカルゼネコンは何かと理由をつけて追加金額を要求してきます。また設計変更が多かったため、追加金額も多かったのですがPlusPMさんと一緒に粘り強く価格交渉を行い、無事完成に至りました。このようなローカルとの交渉の対応は我々だけでは難しかったと思います。
桑原:今回初めてプロジェクト・マネジメント会社を採用しましたが、我々が直接プロジェクトに携わるより、現地で経験のある建設専門のコンサルタントを採用した方が、本業に専念できるため、結果としてコストダウンになるという事がわかりました。
同じ敷地内に二期工場を予定していますが、このプロジェクトもPlus PMさんにお願いしようと考えています。
当社コンサルタントによる初期ヒアリングは無料です。まずはお客様のご要望をおうかがいいたします。