PM/CM、建設コラム

工場建設

GMP認定工場を建設する際のポイント|GMPの概要や申請手順、バリデーションの進め方まで解説

GMP認定工場を建設する際のポイント

本記事は、はじめて「GMP対応の工場建設」を担当する方に向けて、最低限押さえておきたい「GMPの概要」や「GMP工場を建設する際のポイント」をわかりやすく解説しています。

1.「GMP」とは

GMPとは、

医薬品工場や健康食品工場などが遵守すべき製造管理、品質管理の基準のことです。

GMPは1963年にアメリカ食品医薬品局(FDA:United States Food and Drug Administration)が定めた製造品質管理基準を、1969年に世界保健機関(WHO)が採用したことから広がった国際的な基準になります。

日本では1974年にGMP指導基準が通知・公示、1980年に厚生省令の規則として施行、2004年に現行の「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(GMP省令)」が改正・公布されました。
その後、2021年には国際基準との整合を図るとともに、品質システムの強化を目的とした改正が行われています。

参考:公益財団法人日本健康・栄養食品協会

1-1.GMPの三原則

GMPは、次の「3つの原則」を中心に構成されています。

GMPの三原則

  • 人為的ミスを最小限にすること
  • 汚染や品質の低下を防ぐこと
  • 高い品質を保証する客観的な仕組みをつくること

3原則を達成するために必要な方法や条件、基準を細かく定めたものがGMPのルールだと考えるとわかりやすいでしょう。

なお、GMPの要件は大きく「ハード面」と「ソフト面」に分けられます。

  • ハード面:工場の建屋や設備など、物理的な環境に関するもの
  • ソフト面:管理体制やリスクマネジメントなど、運営や仕組みに関するもの

製造工場を建設する際には、建屋や設備といったハード面の対応が中心となりますが、同時に管理体制や運営ルールといったソフト面への配慮も欠かせません。

1-2.GMPの種類

GMPは製造する製品の種類によって「省令・ガイドライン」「法的性質」「適合(認証)」が異なります
以下で代表的な5つを説明します。

【GMP製品区分別の違い】
対象 根拠 法的性質 適合(認証)
医薬品 GMP省令 義務 行政査察で確認
医薬部外品 GMP省令 一部の対象品目では義務 行政査察で確認
原薬 GMP省令・ICH Q7 義務(国際的整合性重視) 行政査察・海外当局対応も必要
健康食品 GMPガイドライン 任意(2026年から機能性表示食品のサプリは完全義務化) 取引・輸出で要求される場合あり
化粧品 ISO22716 国際規格 第三者認証で適合証明

※正式名称は「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針(ガイドライン)」及び「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」です。

1-2-1.医薬品GMP

医薬品は、厚生労働省の「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(GMP省令)」が適用されます。

固形剤・液剤・注射剤など、それぞれの剤形の特性に応じて、ゾーニング(作業エリアの区分け)、交差汚染防止、空調による差圧管理(空間、装置等)、製造工程のバリデーション(品質を安定させるための検証・記録)といったハード面とソフト面の両方の管理が必要です。

参考:厚生労働省|医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令

1-2-2.医薬部外品GMP

医薬部外品(消毒薬・育毛剤・薬用化粧品など)のうち、厚生労働大臣が指定した品目だけがGMP省令の対象です。
GMP省令第3章に専用の規定が設けられており、記録や手順書の整備、従業員教育といった運用ルールに加え、設備や構造の適合性も求められます。

さらに、品目によってはGMPへの準拠が承認要件となる場合もあるため、事前に確認することが重要です。

参考:厚生労働省|医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令

1-2-3.原薬GMP

原薬については、GMP省令第2章第2節「原薬たる医薬品」で追加のルールが定められています。
国際的にはICH Q7(原薬GMPガイドライン)に沿って、原薬出発物質を使い始めてから先の製造工程を一貫して管理することが求められます。

輸出入や国際共同治験を行う場合には、海外当局の査察への対応も必要です。

参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構|ICH-Q7 GMP(医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)

1-2-4.健康食品GMP

「健康食品」には個別の規格基準はなく、形状(錠剤・カプセル状など)や原材料の食経験(長年の摂取実績)に応じた安全性確保の措置が講じられています。

製造・品質管理は厚生労働省の「適正製造規範(GMP)ガイドライン」(2005年)に基づく自主的取り組みが基本ですが、錠剤やカプセルなどの健康食品(サプリメント形状の機能性表示食品)は、GMPが2026年9月に完全義務化されます
なお、すべての食品は改正食品衛生法によりHACCPに基づく衛生管理が必須です。

また、取引や輸出の場面では第三者GMP認証が求められる場合が多いため、工場計画段階から認証要件を考慮した準備が重要です。

※正式名称は「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針(ガイドライン)」及び「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」です。

参考:
厚生労働省|健康食品の安全性に関する情報等(関係法令等)
消費者庁|「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針(ガイドライン)」及び「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」について」の一部改正について

1-2-5.化粧品GMP

化粧品では国際規格「ISO22716(化粧品GMP)」が広く採用されています。
原材料の受け入れから製造・包装・保管・出荷まで、一連のプロセスを通じた管理が求められ、特に海外輸出を行う場合は規格適合が前提となります。

適合を証明するには、第三者認証機関の審査を受けることが一般的で、サプライチェーン全体でのトレーサビリティ(追跡可能性)やリコール体制も整備が必要です。

参考:一般社団法人日本能率協会審査登録センター|ISO22716(化粧品GMP)

「GMP・法規制」対応を踏まえた工場づくりを支援します!

2.GMPに適合する工場建設のポイント

GMPに適合した工場を建設するには、安全性と衛生を軸にした計画が不可欠です。
以下の観点を確認しましょう。

2-1.敷地・外周

敷地・外周は次の点に配慮して、外部からの害虫侵入を防止します。

敷地・外周計画のポイント

  • 水路・側溝・水たまり(池・井戸等)や樹木から可能な限り距離を取る。また、植栽を虫の寄り付かないものとする。
  • 周辺環境(緑地・排水・照明)を含め、虫の発生源を近づけない外構とする
  • 建物周囲は犬走りを設け、縦樋の根元は覆うなど、溜まり・巣化を防ぐ納まりとする

2-2.建物外皮・開口部

建物の外皮や開口部は以下のように気密性と防虫・防鼠性を高め、侵入経路を遮断します。

建物外皮・開口部のポイント

  • 窓・ドアは気密性を確保し、防虫・防鼠スクリーンや防虫フィルム等で虫や鼠の侵入を抑制する
  • 設備開口(給気・排気)は防虫フィルターを設置し、圧力損失を見込んだ風量・開口設計とする
  • 原料搬入口等において、シャッター三方枠にエアーカーテンを取り付ける

2-3.建物内部

製品内に異物が混入しないため、建物内部は清掃しやすい仕上げを採用します。

建物内部のポイント

  • 適切な空調・換気によるカビ発生を防止する
  • 壁・床・天井は平滑でひび割れがない材料とし、容易に洗浄・拭き取りが可能にする
  • 清掃が届きにくい高所(シャッターボックス上部など)や窓枠・ドア枠はテーパー処理で埃だまりを解消する
  • 壁と床の取り合いはアール巾木とし、分電盤・制御盤・照明器具は極力埋め込みで段差やホコリ溜まりをなくす
  • サニテーションを工夫し、衛生面と機能面を両立させたつくりとする

2-4.設備

照度・温度・湿度・換気を適切に管理し、製造・保管中の品質と装置性能を安定化させます。

設備のポイント

  • 製品・原材料・作業環境に適した温湿度・換気回数を考慮した空調換気方式を選定し、継続的にモニタリングできる仕組みを備える
  • 「差圧管理(陽圧/陰圧)」により内外の気圧差を抑制し、内部では清潔区域への空気の逆流を防ぐ
  • 照明器具は虫の寄り付きにくい波長及びUVカット仕様のものを設置する

3.工場がGMPの適合認定を受けるまでの流れ

GMP工場として適合認定されるまでには、申請から認定取得・継続まで一連の手順があります。

3-1.GMPの申請先と審査機関、認定期間

分野ごとの申請先や審査機関、認定期間は以下のとおりです。

【GMP分野別/申請先・審査機関・認定期間一覧】
分野 申請先 審査機関 認定期間
医薬品 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)/都道府県 PMDA/都道府県 5年ごと
医薬部外品 都道府県 都道府県 5年ごと
原薬 PMDA/都道府県 PMDA/都道府県 5年ごと
健康食品 営業許可:都道府県
GMP認証:民間
認証機関 3年ごと
化粧品 製造業許可:都道府県
GMP認証:第三者認証機関
都道府県/第三者認証 第三者認証で適合証明

それぞれ認定期間や申請先・審査機関が異なるため、対象分野と申請する製品種別に応じて手続き方法の確認が必要です。

参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構|GMP適合性調査業務

3-2.GMP工場認定の標準的な手順

ここでは医薬品工場がGMPの適合認定を受けるまでの流れをわかりやすくまとめます。

【GMP工場認定の標準的な手順(医薬品工場の場合)】
手順 実施項目 内容
1 事前相談・自己評価をする GMP基準を理解したうえで、認定機関・行政に相談し、自社の施設や運用等が基準を満たしているか自己点検します。
2 申請書類を提出する GMP認定申請書、マニュアル、バリデーション記録、運用記録などを提出します。
3 書類審査・実地調査が行われる 提出書類を審査後、査察官が工場を訪問し、設備・工程・衛生や品質管理等を点検します。
4 指摘事項の改善対応をする 不備があれば、是正計画書や報告書を提出し、改善内容を説明します。場合によっては再査察が行われることもあります。
5 GMP認定を取得する 調査結果報告書に基づき、適合性調査結果通知書(区分適合性調査の場合は基準確認証)が交付されます。
6 維持・更新する 認定は一定期間ごとに更新が必要であり、更新審査・中間査察・無通告査察などが行われます。
認定を維持するためには、日常的にGMP基準に適合した運用を続けることが不可欠です。

3-3.申請時に必須となる「バリデーション」

申請時点では製造工程が安定して品質を保てることを証明する「バリデーション」が完了している必要があります。

3-3-1.バリデーションとは

バリデーションとは、「あらかじめ決めた規格と品質を満たす製品を、常に安定して作れることを科学的に検証し、記録すること」です。

具体的には次のような確認を行います。

検証・記録する項目

  • 設備は、目的の製品を作るのに適しているか
  • 製造方法は、安定した品質を保てる条件になっているか
  • 製造に必要なユーティリティは、必要な品質を満たしているか
  • 製造環境は、異物や菌の混入を防げる状態か
  • 設備は適切に洗浄・滅菌できるか

3-3-2.バリデーションの進め方

バリデーションは、以下の手順で進めます。

【バリデーションの進め方】
手順 実施項目 内容
1 バリデーション・マスタープラン(VMP)を作成する 社内体制や対象範囲、記録の様式をまとめる
2 ユーザー要求仕様(URS)を確認する 設計開始に際して要求仕様が明確になっているか確認する
3 設計時適格性評価(DQ)を実施する 設計段階で、GMP基準を満たしているか確認する
4 据付時適格性評価(IQ)を実施する 機器や設備を正しく設置できているか確認する
5 運転時適格性評価(OQ)を実施する 設備が想定どおりの条件で動くか確認する
6 性能適格性評価(PQ)を実施する 実際に製造を行い、製品が安定して規格を満たすか確認する

医薬品GMPは設備や工程だけでなく、品質保証体制やバリデーション、教育訓練までを対象とする包括的な評価です。
認定はゴールではなくスタートであり、定期査察や更新を前提に、日常業務そのものをGMPに適合させ続ける仕組みづくりが重要です。

したがって、医薬品工場では取得よりも維持に重心を置き、組織横断の管理体制を恒常的に運用することが求められます。


そのためには、工場計画の初期段階から認証要件を取り入れ、設計・調達・施工・立ち上げまでを一貫してマネジメントする「コンストラクション・マネジメント(CM)」の活用が効果的です。

プラスPMでは、URS(ユーザー要求仕様)の整理やゾーニング・清浄度設計の妥当性確認、事業者選定やVEのサポートに加え、工程・コスト・品質の統括管理まで、GMP適合を軸にプロジェクト全体を推進します。

単に認定を取得するだけでなく、日常業務で「運用しやすいGMP」を実現するための現実的な解決策をご提案できるのが強みです。
GMP対応の新設や改修をご検討中の方は、ぜひ構想段階からプラスPMへご相談ください。

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