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【簡単解説】「工場 建て替え」の基礎知識|「検討のタイミング」「修繕(補修・更新)とのメリット・デメリット比較」「確認すべき点」も解説

本記事は、工場の建て替えを検討している方に向けて、工場の建て替えについて網羅的且つできるだけ簡潔に解説しています。
記事を読めば、検討を本格化するかどうかの判断を下すことができるようになり、一層具体的な検討に向けてステップを進めることができます。

1.工場の建て替えを「検討する5つのタイミング」

下記の5つのいずれかのタイミングに該当する場合、工場の建て替えを検討した方がよいでしょう。

工場の建て替えを「検討する5つのタイミング」

  • 工場が老朽化してきた
  • 「業務効率・生産性の向上」が迫られている
  • 「従業員を増員する」など事業拡大を検討している
  • メンテナンス費用が高額になってきた
  • 法律や条例の改正などで対応を必要になった

建て替えを検討した方がよい理由をそれぞれ説明します。

1-1.工場が老朽化してきた

まず、最も明確なタイミングは「建物の老朽化」です。

工場が築年数を重ねるにつれて、基礎や外壁、屋根などが劣化し、安全性が低下します。
特に旧耐震基準で建てられた工場は、大地震などの自然災害に対して脆弱であり、倒壊のリスクが高いです。

また、古い建物や設備はエネルギー効率が低く、省エネ化が困難であることも課題の一つです。

そのため、老朽化が進んだ段階での建て替えは、安全性の向上と省エネ化の実現において大きなメリットがあります。

1-1-1.工場の法定耐用年数について

工場の法定耐用年数は「国税庁が定めた減価償却資産の耐用年数」のことで、構造によって次のように定められています。

【工場の法定耐用年数】
構造 耐用年数
木造
  • 15年
金属造
(鉄骨造)
  • 骨格材の肉厚3mm以下:17年
  • 骨格材の肉厚3mm超4mm以下:24年
  • 骨格材の肉厚4mm超:31年
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
  • 38年

参考:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表

ただし、上記は税法上の目安であり、実際の工場の寿命はその構造や使用状況、さらにはメンテナンス・修繕の有無などにより大きく影響されます。
適切なメンテナンスを行えば、法定耐用年数を超えて長く使い続けることが可能です。

例えば、金属造(鉄骨造)や鉄筋コンクリート造の工場では、メンテナンス次第で50~60年、場合によっては100年近く使用できることもあります。

1-2.「業務効率・生産性の向上」が迫られている

「業務効率や生産性の向上」が求められるケースは、工場の建て替えを検討する絶好のタイミングといえます。

業務内容や製造プロセスが変化し、既存の施設がそれに対応できなくなった場合、新しい設備や業務フローに合わせた設計が必要です。

工場を建て替えることで、設備やレイアウト・動線を大幅に見直すことが可能となり、生産性や業務効率の向上が期待できます。

1-2-1.工場の集約化

小規模工場が点在している場合、集約化することで「業務効率や生産性の向上」が期待できます

集約化により、重複する設備や人員を削減してコストを抑え、生産ラインの効率化や品質向上を実現できます。

また、「過剰在庫や欠品リスクの低減」・「人やモノの移動にかかる時間やコストの削減」ができるほか、新技術の導入もしやすくなります。

1-3.「従業員を増員する」など事業拡大を検討している

「従業員を増員する」など事業拡大のタイミングも、工場の建て替えを検討する重要な機会です。

企業が新たな市場へ進出したり、生産能力を増強したりする場合、既存の工場では対応しきれなくなることがあります。
また、従業員数が増加すると工場が手狭になり、作業環境が悪化する可能性もあります。

新しい工場に建て替えることで、生産ラインや設備を最適化し、効率的な事業運営を実現できます。
さらに、快適な作業環境を提供することで、従業員の満足度やモチベーションの向上にもつながります。

1-4.メンテナンス費用が高額になってきた

「メンテナンスコストの増加」も建て替えを考える指標となります。

減価償却が終了し、メンテナンスにかかる費用が増大してきた場合、新しい工場への投資を検討する時期といえるでしょう。

古い設備や施設では維持管理コストが高くつくため、新しい施設に移行した方が長期的な目線でみると経済的な場合があります。

1-5.法律や条例の改正などで対応が必要になった

2020年の「建築基準法改正」や2021年の「食品工場に関するHACCP義務化」など「法律や条例の改正」に対応する必要が生じた場合も、工場の建て替えを検討するタイミングといえます。

例えば、食品工場では新しい規制や安全基準に適合させるために工場の改修が必要となるケースが多く、改修を機に建て替えを選択する例も少なくありません。

法令改正に伴う工場の建て替えには専門知識や知見が必要となるため、専門家と十分な相談のうえ検討するとよいでしょう。

工場の建て替えを検討する際に判断が難しい場合は、専門家に相談することをおすすめします。
コンストラクション・マネジメントのプラスPMでは、以下のような課題やお悩みについてのご相談を積極的に受け付けています。

「コンストラクション・マネジメント(CM)方式」や「プロジェクト・マネジメント(PM)方式」と呼ばれ、

プラスPMに寄せられるご相談(一例)

  • 老朽化した施設を改修すべきか、建て替えるべきか迷っている
  • 複数の古い工場を建て替えたいが、再整備計画の立て方が分からない
  • 工場の自動化を進めたいが、どこから手をつければよいか分からない
  • 「見せる工場」にしたいが、最適な仕様が分からない

プラスPMでは、事業立ち上げ段階である基本構想・計画策定から、調達段階・施工段階に至るまで、専門知識を持つコンストラクション・マネージャーが支援します。

工場の建て替えを検討している方は、ぜひご相談ください。

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2.工場を「建て替える場合」と「修繕(補修・更新)する場合」のメリット・デメリット比較

まずは工場を「建て替える場合」と「修繕(補修・更新)する場合」の特徴を比較します。

【比較表 工場を「建て替える場合」と「修繕する場合」】
建て替える場合 修繕する場合
費用 △(高コスト) ◯(低コスト)
時間 △(長期間) ◯(短期間)
生産効率
省エネ
性能
安全性
操業
(敷地内での建て替え・移転建て替えでも操業可能)

(基本、難しい。休日や夜間とした場合、工期が長くなってしまう)
目的 長期的な運用を見据えての建設 短期的な対応

工場の建て替えは、「長期的な視点で工場の操業を考えている企業」にとって有効な選択肢です。
新しい工場は、生産効率や省エネ性能を向上させ、投資効果を高めることが期待できます。

一方で、「工場の使用期間が短期間である場合」や「修繕で必要な性能を維持できる場合」は、高額な建て替え費用を負担する必要がない修繕の方が経済的です。

以下にそれぞれのメリットとデメリットを解説します。

2-1.工場を建て替えするメリット・デメリット

工場を建て替えする「メリット」と「デメリット」は、以下のとおりです。

【工場を建て替えする場合のメリット・デメリット】
メリット・
デメリット
内容
メリット
  • 生産効率が高まる
  • 省エネ性能が高まる
  • 安全性が高まる
  • 従業員の満足度が高まる
デメリット
  • コストや時間が大きくかかる
  • 操業しながら建て替えを行うために複雑なオペレーションが必要になる。

工場を建て替える際、最新の建築技術や素材を採用することで、建物の耐久性や省エネ性能を高めることが可能になるでしょう。
また、ゼロから設計が可能なため効率的なレイアウトを実現し、業務効率や生産性の向上が期待できます。

一方で、既存の工場を解体して新たな工場を建設するため、相当なコストと労力が必要となる点がデメリットになります。

2-2.工場を修繕するメリット・デメリット

工場を建て替せずに修繕する場合の「メリット」と「デメリット」は、以下のとおりです。

【工場を修繕する場合のメリット・デメリット】
メリット・
デメリット
内容
メリット
  • 建て替えに比べて低コスト
  • 短期間で完了し、業務への影響が少ない
  • 部分的な作業のため、通常業務を継続できる
デメリット
  • 操業しながらの修繕は基本、難しい。休日や夜間に修繕対応すると、工期が長くなってしまう。
  • 大幅な生産効率の改善や省エネ化、安全性の向上は難しい
  • 修繕の効果が短期的にとどまる

工場を建て替えずに修繕で対応できれば、建て替えよりも費用を抑え、短期間で問題を解決できます。
ただし、修繕は応急処置の側面が強く、大幅な生産効率や省エネ化、安全性の向上は難しい場合があります。

「建て替え」か「修繕」かの判断に迷った場合は、専門家に相談するとよいでしょう。

3.工場の建て替え時「3つの確認すべき点」

最後に、工場建て替え時の「確認すべき点」について解説します。

3-1.「既存工場の現状や問題点」を確認

工場の建て替え時には、現状を正確に確認しなければなりません

既存施設の動線やレイアウトの問題点を整理し、新工場ではどのように改善すべきかを明確にします。
例えば、作業効率が悪い動線や、製品・材料の流れが停滞しやすいポイントなどを分析することで、建て替え後の工場をより合理的に設計することができます。

また、既存設備の使用可能な範囲を調査し、再利用の可否も検討するとよいでしょう。

3-2.「工場の解体費用」と「使える補助金」を確認

建て替えの場合は、古い工場の解体費用と新しい工場の建築費用の両方がかかります。

工場の解体費用は構造や大きさ等によって異なりますが、一般的な相場は以下のとおりです。

解体費用の相場(構造別・坪単価)〈2025年1月現在〉

  • 木造:1坪あたり3~5万円
  • 鉄骨造:1坪あたり4~6万円
  • 鉄筋コンクリート造(RC造):1坪あたり5~8万円
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造):1坪あたり5~9万円

なお、解体する工場の建設資材にアスベストが含まれていたり、敷地が土壌汚染されていたりすると、除去費用が追加されるため、解体費用がさらに高くなる点に注意が必要です。

また、工場の「建設・建て替え」や「解体」に使える補助金が、地方自治体を中心に提供されている事が多いので、確認してみてください。

3-3.工場を「稼働させたままか」「停止させるか」を確認

工場の建て替えを行う際、操業を継続するか一時的に停止するかの選択は、工事計画に大きな影響を与えます。

操業を継続しながら段階的に建て替える場合:

工事中も生産能力を確保し、売上の損失を最小限に抑えることが可能です。
ただし、建て替え工事の手順・工程が、より複雑になります。

工場を一時的に停止して建て替える場合:

工事は比較的スムーズに進められますが、停止期間中の売上減少や従業員への対応が課題となります。

「稼働させたままか」もしくは「停止させるか」は、自社の状況に応じて最適な方法を選択するとよいでしょう。

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