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工場建設時に大事な3つの法律と許認可|法規制の内容や申請・許認可の必要性、法令遵守のポイント等を解説

本記事は、はじめて「工場建設担当」になった方に向けて、工場建設時に「押さえておきたい法律」について解説しています。

法令に違反した工場を建設してしまった場合、

是正勧告のほか、工事の停止や建築物の除去などの重い処分が下される可能性があるため、十分な注意が必要です。

1.工場建設する際に最低限知っておきたい法律3つ

工場を建設する際は「立地」「建物」「環境」の観点から、まずは以下の3つの法律を把握しておきましょう。

  • 工場の立地:「都市計画法」
  • 工場の建物:「建築基準法」
  • 工場の環境:「工場立地法」

それぞれの法律について、解説します。

1-1.都市計画法|工場の立地

都市計画法は

都市の健全な発展と秩序ある整備を目的とした都市計画に関する法律です。

計画的な都市開発のため、工場の建設ができる地域が制限されています。

1-1-1.主な規定内容

都市計画法で定められている工場の建設が可能な区域は、「市街化区域」内のみになります。

さらに、市街化区域内には建物の用途を制限する13種類の「用途地域」が設定されており、大きな制約がなく工場を建設できるのは主に「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」の3つになります。

【工場建設できる主な用途地域】
用途地域 建てられる工場の種類 その他の特徴
準工業地域 主に軽工業の工場 住宅や店舗、学校、病院、ホテルなども建築可
工場地域 どの工場でも建てられる地域 住宅、店舗は建築可、学校、病院、ホテルなどは建築不可
工業専用地域 どの工場でも建てられる地域 住宅や店舗、学校・病院・ホテルなど建築不可

参考:
国土交通省|用途地域
東京都都市整備局|用途地域による建築物の用途制限の概要

なお、「第1種住居地域」や「商業地域」等でも小規模工場ならば建設することは可能ですが、「危険性や環境を悪化させるおそれが少ない工場であること」などの多くの制約があります。

1-1-2.申請や届け出(許認可の取得)の必要性について

工場を建てられる地域であっても、土地の盛り土・切り土、敷地形状の変更等の土地の区画形質の変更がある場合は、自治体の開発許可が必要となるため、事前に自治体へ申請を行わなければなりません。

地域によって「大規模」の定義は異なりますが、

市街化区域内で敷地面積が1,000平方メートル以上の工場を建設する場合で、盛り土・切り土・道路の付け替え・敷地分割などの開発行為がある場合は開発許可が必要とされます。(三大都市圏の規制市街地などは500平方メートル以上)

したがって、建設予定地の地域区分や規制を、事前に自治体で確認することが大切です。

参考:
国土交通省|開発許可制度の概要
横浜市|用途地域を知りたい。
小山市|開発許可制度について

1-2.建築基準法|工場の建物

建築基準法は

日本で建築されるすべての建物に適用される法律で、工場もその対象に含まれます。

1-2-1.主な規定内容

建築基準法では建築物に関する最低限の基準が定められており、建築物やその敷地、設備、構造、用途などについて、主に次のような内容が規定されています。

  • 建物の構造基準、建ぺい率、容積率
  • 建物の高さや傾斜、接道条件
  • 建物の耐火性や耐震性

なお、建築基準法の規定は、大きく「単体規定」と「集団規定」に分類されます。
単体規定は建築物そのものに関する規定、集団規定は建築物と周辺環境に関する規定です。

1-2-2.申請や届け出(許認可)の必要性

工場を新設する際には建築基準法に基づく検査が段階ごとに行われ、それぞれの段階で申請と許可が必要です。
申請先は、自治体の建築主事または民間の指定確認検査機関となります。

【建築基準法適合の検査】
検査する段階 内容
【建設前】
建築確認
まずは計画段階で検査が行われます。
建設を計画している工場が建築基準法に適合しているかを審査され、違反していない旨が確認され「建築確認済証」が交付されると、着工できます。
【建設中】
中間検査
建設中にも検査が行われる場合があります。
中間検査と呼ばれ、特定の工程が完了した段階で、基準に適合しているかどうかが検査されます。
(規模等によって不要なケースもあります)
【建設後】
完了検査
工場が完成した後に最終検査が行われ、申請どおりに施工されているかが確認されます。
問題がなければ検査済証が交付され、建物の使用が可能となります。

参考:
国土交通省|建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料
千葉県|建築基準法施行細則での申請様式について

1-3.工場立地法|工場の環境

工場立地法は

工場立地が環境を守りながら適切に進められるよう基準や指針を示し、必要に応じて行政が指導や命令を行うことで、経済の安定した発展と人々の暮らしの向上に寄与することを目的としています。

具体的には、工場の敷地内の「生産施設や緑地、環境施設の面積割合」が定められており、一定規模以上の工場を建設・変更する場合は事前に届け出が義務付けられています。

1-3-1.主な規定内容

工場立地法の「対象となる工場」の基準は、以下のとおりです。

【工場立地法の対象となる工場】
基準 詳細
業種 製造業、電気・ガス・熱供給業(水力、地熱及び太陽光発電所は除く)
規模 敷地面積9,000㎡以上、
または建築面積3,000㎡以上

上記対象となる工場を建設する際には敷地面積に応じて、生産施設や環境施設、緑地面積の割合が定められています。

<敷地面積に応じた各施設・緑地の割合>

  • 敷地面積に対する生産施設面積の割合が30%~65%以下
  • 敷地面積に対する緑地面積の割合が20%以上
  • 敷地面積に対する緑地を含む環境施設面積の割合が25%以上

上記の基準が原則ですが、地域などによっては基準が緩和されている場合もあります。

1-3-2.申請や届け出(許認可)の必要性

工場立地法の「対象となる工場」を建設する場合は、計画地の自治体に届け出と許可が必要です。
また、新設だけでなく、以下の場合にも届け出が求められます。

<新設以外にも届け出が必要なケース>

  • 工場を増設する場合
  • 用途を変更する場合
  • 生産品を変更する場合
  • 建築面積や緑地面積を変更する場合
  • 環境施設を新たに設置する場合

参考:経済産業省|工場立地法

2.その他にも知っておくべき法律

工場の建設に密接に関係する法律が、上でご紹介した3つの法律です。
ただし、業種や営業内容、立地などによっては、その他にも関係する法律があるので注意しましょう。

以下に、特定の工場を建設する際に関係する可能性がある、いくつかの法律をまとめてご紹介します。

【その他にも知っておくべき法律】
法律 内容
大気汚染防止法 大気中の有害物質の排出を規制し、健康や環境への影響を軽減することを目的した法律。
工場稼働後はもちろん、工場建設中や解体工事に排出される物質にも注意が必要。
水質汚濁防止法 工場排水や生活排水によって川や湖沼などの水域への有害物質の排出を防ぐための法律。
他に各自治体が定める条例にも注意が必要。
騒音規制法 騒音による健康被害を防ぐために、作業時間や日数を規制した法律。
特定の地域によっては、各自治体に届け出が必要。
振動規制法 振動による健康被害や建物への影響を防ぐために、振動レベルを規制した法律。工場では建設作業時や稼働後の振動が対象となる。
悪臭規制法 不快な臭いによる生活環境への影響を軽減することを目的とした法律。
工場の周辺住民からのクレームや不信感を防ぐためにも臭気対策は重要。
土壌汚染対策法 土壌中の有害物質による汚染を防止し、既存の汚染土壌の調査と浄化を促進する法律。
必要に応じて、工場建設の際には土壌調査を行わなければならない。
食品衛生法 公衆衛生の見地から必要な規制を行い、飲食による健康被害の発生を防ぐための法律。
2021年HACCPの導入が完全義務化され、食品工場を作る際は注意が必要。

参考:
環境省|法令・告示・通達
厚生労働省|HACCP(ハサップ)

3.工場建設に関する法令遵守のポイント

工場建設時には「都市計画法」、「建築基準法」、「工場立地法」など、複数の法律や条例を遵守する必要があります。
以下のポイントを押さえることで、複雑な法規制を適切に理解し、違反のない工場建設を進めることができます。

<法令遵守するためのポイント>

  • 自治体への確認する
  • 法令の基本的な理解する
  • 専門家に相談する

建築士や建設会社、コンサルタントなどの専門家に相談することで、最新の法規制や手続きについて正確な情報を得られます。
特に、工場建設に精通したコンサルタントは、各種申請や届出のサポートも行っているので、積極的に活用することをおすすめします。

プラスPMでは工場建設に関する豊富な経験とノウハウを活かし、設計や施工の各段階でのさまざまなサポートを行っています。
工場建設に関するお悩みや課題がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

また、コンサルティングを導入することで得られるメリットやサポートの流れについては下記で紹介しています。
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