PM/CM、建設コラム

工場建設

医薬品工場の建設を成功させるポイント・コツ|よくある課題に対して具体的な施策を解説

本記事は、自社の医薬品の既存工場が「老朽化」「生産効率」「BCP」「生産拠点不足」といった課題を抱えている方に向けて、医薬品工場の建設を成功させるために「押さえておくべきポイント・コツ6つ」を解説しています。

1.【老朽化対策】効率良くGMPに適合した工場にするコツ

工場が老朽化すると、微生物汚染や異物混入のリスクが高まり、品質管理に大きな支障をきたします。
老朽化した医薬品工場の建て替えや改修を行って、効率良くGMPに適合した工場にするコツは、以下の3つです。

老朽化対策のコツ

それぞれについて解説します。

1-1.「建て替え」か「改修」を判断する

老朽化した工場に対応する際は、「全面的に建て替える」のか、それとも「部分的に改修を重ねる」のかを見極める必要があります。

この判断を合理的、かつ効率的に行うための基準となるのが「品質リスクマネジメント(QRM)」です。
QRMとは、工場の設備や環境が製品品質にどのような影響を与えるかを整理・評価し、優先順位をつけて最適な対応策を決める方法のことです。

品質リスクを基準にすることで、将来のトラブルを未然に防ぎながら、「どこに、いつ、いくら投資すべきか」という無駄のない計画が立てられるようになります。

1-2.電子バリデーション対応インフラを整備する

建設段階からデータ・品質記録を担保するためのIT基盤を整備することが重要です。

従来の紙ベースの管理では記録の正確性や検索性に課題が残りますが、電子システムを導入することで次のメリットが得られます。

電子システムを導入するメリット

  • バリデーション記録や生産データを一元管理できる
  • 改ざんや記録漏れを防止し、監査対応を迅速化できる
  • 過去データとの比較・分析が容易になり、継続的改善に活用可能

医薬品工場の老朽化対策を建設から始める場合、電子化対応は必須のインフラ投資といえるでしょう。

参考:厚生労働省|医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドラインについて

1-3.第三者視点の品質監査を前提とした設計にする

新工場を建設する際には、外部監査や関係者確認を想定した設計が求められます。

外部監査や関係者確認を想定した設計のコツ

  • 検査動線を明確化し、監査員が工場内を効率的に巡回できるようにする
  • サンプル採取や記録確認エリアを監査対応しやすい位置に設ける
  • 見学ルートや観察窓の設置により、生産エリアへ直接入室せずとも確認できるようにする

上記のような設計を行うことで、査察時の負担を軽減し、企業の信頼性を高めることができます。

2.【生産効率対策】目標の生産量を実現できる工場にするコツ

工場計画においては、目標とする生産量を安定的に実現するために、生産効率をいかに高めるかが重要な視点となります。

特に医薬品工場の場合、将来的な需要変動や製造変更が予測されるため、柔軟性を備えた設計と最適な動線計画を設計段階から織り込むことが、生産量の最適化につながります。

生産効率対策のコツ

それぞれについて解説します。

2-1.製造変更に対応できる柔軟な設計とする

医薬品市場では、需要の変動や製造品目の変更が生じることも少なくありません。
そのため工場設計においては、製造内容の変更に対応できる柔軟性を確保しておくことが重要です。

設備更新や工程変更を見据え、「将来的なレイアウト変更が行いやすい構成とすること」「ユーティリティ容量に一定の余裕を持たせておくこと」が有効です。

あらかじめ変更対応を想定した設計としておくことで、製造品目の切り替えや機能追加にもスムーズに対応できます。

2-2.人・物の動線を最適化する

生産効率を高め、品質リスクを低減するためには、工場内の動線設計が重要です。

原料の搬入から製造・検査・出荷までの流れを整理し、人と物の動線を分離することで、作業効率を高めつつ交差汚染リスクが低減します。

特に医薬品工場ではGMPに基づき、清浄度区分や入退室管理を明確にする必要があるため、設計段階から衛生管理の視点をレイアウトに織り込むことが大切です。

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3.【BCP対策】災害時に安定供給を維持できる工場にするコツ

医薬品は人々の健康や生命に直結するため、災害時に供給を止めることは社会的に大きな影響を及ぼします。
そのため、建設段階からBCP(事業継続計画)を織り込み、災害時も安定供給を維持できる工場にするためのコツは、以下の2つです。

BCP対策のコツ

それぞれについて解説します。

参考:
厚生労働省|医療機器・体外診断用医薬品の安定供給確保に係る製造販売業者のリスク管理に関するハンドブック
内閣府防災情報|事業継続ガイドライン

3-1.バックアップ機能を備える

災害時に最もリスクとなるのは電力や水の供給停止です。
例えば以下のようにインフラを冗長化することで、稼働停止のリスクを最小化できます。

【バックアップ機能を備えるための施策 例】
施策 内容
自家発電設備を導入する 長時間稼働が可能な非常用発電機を備え、停電時でも製造ラインや品質管理設備を稼働可能にする。
給水・排水を多重化する 上水・工業用水を複数系統から確保し、一部が途絶しても製造を継続できる体制を構築する。
ライフライン設備を高所・免震で配置する 電源・配電設備や重要ポンプを高台や免震床に設置し、浸水・地震による機能喪失を防止する。

3-2.代替生産を想定して工程を設計する

一拠点が停止しても供給が途切れないよう、平時から「代替生産」を想定した設計を行うことが重要です。

【代替生産を想定して工程を設計するための施策 例】
施策 内容
製造プロセスを標準化する 複数工場で同一の工程・品質基準を適用し、緊急時に他拠点で即時生産できるようにする。
設備・部材を共通化する 異なる工場間で設備仕様や消耗品を統一することで、代替稼働の切り替えをスムーズにする。
マルチサイト生産を計画する 複数工場の分担稼働(分散型生産)を前提に建設計画を立案し、需要や災害に応じて生産を切り替える。

4.【生産拠点不足対策】新たな生産拠点を展開するコツ

需要の拡大や既存工場の限界により、生産能力が不足する場合、新しい工場の建設は企業の競争力を左右します。

特に医薬品は社会的に欠かせない製品であるため、「途切れない供給」を実現するための新たな生産拠点を展開するコツは、以下の3つです。

生産拠点不足対策のコツ

それぞれについて解説します。

4-1.長く安定稼働できる立地を定量評価する

新工場で最初に重要なのは立地の選定です。
下記の観点を定量的に評価して、長期にわたり安定操業できる場所を選びます。

【立地を見極めるための施策 例】
施策 内容
物流条件を評価する 原料の調達と製品の出荷がしやすい立地か(港湾・高速・空港との距離、輸送リードタイム、コスト)を確認する
人材確保性を見極める 必要な専門人材を確保しやすい地域か(通勤圏、賃金水準、教育機関など)を評価する
災害リスクを把握する 地震・洪水・土砂災害などのハザードを把握し、代替ルートやライフラインの冗長性を確認する
規制適合性を見通す 工場建設に必要な許認可が得やすいか、将来の増設・用途変更に柔軟に対応できるかを見通す

上記要素を総合的に評価することで、「安定して長く稼働できる工場」づくりが可能になります。

4-2.複数拠点でも同じ品質を守る仕組みを作る

新しい拠点を建設する際は、既存工場との「共通ルール」をあらかじめ整えておくと、運営がスムーズになります。

【複数拠点でも同じ品質を守るための施策 例】
施策 内容
品質システムを統一する 手順書や記録の方法、人材教育や内部監査の流れをすべての拠点で共通化し、どこでも同じ基準で管理できるようにする
製法・規格・試験法を同等化する 製法や原材料の規格、試験方法を統一し、どの拠点でも同じ合否判定が出せるようにする
設計基準を標準化する 作業エリアの区分けや空調設備の考え方をテンプレート化し、工場ごとにレイアウトが違っても品質リスクを同じレベルに保つ。

標準化を意識することで、工場が複数になっても運営管理がしやすくなります。

4-3.段階的に立ち上げる

新工場は建ててすぐに商用製造ができるわけではありません。
設備・工程が設計どおり機能するかを段階的に検証し、リスクを最小化して立ち上げます。

【段階的に立ち上げるための施策 例】
施策 内容
段階的に確認する 設計どおりに建てられているか → 機械が正常に動くか → 実際の製造に問題がないか、と段階を追って検証する。
リスクを洗い出して低減する 製造上のトラブルや不具合が発生しやすい部分を事前に洗い出し、早い段階で対策を講じる。
技術を移管する 既存工場で作られている製品の「基準となる製造データ」を新工場に引き継ぎ、比較検証することで、短期間で安定生産に移行できる。

立ち上げ段階を丁寧に進めることが、新工場を早く・安定的に稼働させるためのカギとなります。

プラスPMはGMP省令やバリデーションに知見があり、医薬品工場の建設計画についてアドバイスが可能です。
医薬品工場の建て替え、改修工事をお考えの法人様は是非一度ご相談ください。

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