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建設コストの高止まりが続く中、予算内で発注したい、しかし使い勝手が悪い施設や、汎用性の低い施設になってしまっては施設を整備する意味がない。と頭を悩ませる事業主の方も多いと思います。では、どうすれば「安かろう悪かろう」の施設にならず、機能や品質を確保した上で予定どおり事業を進めることができるのでしょうか。
「建築コストを下げる」そう考える時、大抵の場合は「施工者に値下げを要求してみる」、「仕様を下げる」、「品質を落とす」、「面積を縮減する」ということを考えるのではないでしょうか。しかしそれは単なるコストダウン(CD)であり、予算内で建設することが目的になってしまい、本来の建設目的を果たせない施設となる可能性があります。
そうならないための手法として、今回ご紹介するバリューエンジニアリング(VE)があります。
「建築におけるVEとは:デザイン、品質及び管理・保守を低下することなく、最小のコストで必要な機能を達成するために、建設物、工法、手続、時間等の改善に注がれる組織的な努力」と定義されています
「VEによる民間技術の活用」建設省(現 国土交通省)パンフレットより引用
もう少し噛み砕くと、その施設にとって本当に必要とする機能に絞ることや、優れた技術の採用でコスト削減、発注方法の工夫により競争原理を働かせる、リスク負担を削減することとも言えます。
コストを下げるために必要な機能を諦めるCDとは考え方の根本が異なるのです。
なお、VEにおけるコストとはイニシャルコストだけでなくランニングコストも含めたライフサイクルコスト(LCC)を指しています。
まずご紹介するのは、特殊な分析を行う研究施設の事例です。
その施設は分析用の特殊な配管工事が必要でした。その特殊配管工事も建設会社への一括発注で計画が進んでいました。
本発注の前に建設会社に概算見積を依頼してみると、特殊配管工事の金額が想定の倍以上でした。建設会社へのヒアリングで判明した原因は「特殊すぎて経験が少ないので、リスク分を価格に転嫁している」というものでした。
そこで当社は、コストオン発注を提案しました。コストオン発注とは発注者が直接専門工事会社を選定した上で、指定業者として建設会社と下請契約を結ぶ方式です。特殊配管工事の経験が豊富な設備工事業者と発注者が直接交渉をすることで工事内容は変えずに建設会社が見込んでいたリスクヘッジ金額を削減することが出来ました。
次の事例は屋上設備の目隠し壁のVEです。
その設計者は空調室外機の防音を兼ねる高さ4mの目隠し壁をメーカー既製品で設計していました。既製品であっても4mもの高さになると特注品になりコストもはね上がります。
それでも設計者が既製品を選択する主な理由は、設計と製造の責任がメーカーになる為です。
当社は防音と目隠しという機能を満たす目的であれば、鉄骨下地とALC板(乾式壁)で壁をつくれば問題無いと考えました。設計者にその工法を採用していただくには根気強く説明する必要がありましたが、最終的にはお客様と設計者にご理解いただき数千万円の削減になりました。
工事費は高くなるもののライフサイクルコストの観点で採用されたVEもあります。
その物流施設は天井高さが5.5mあり、天井照明もその高さに設置される設計でした。
お客様はその設置高さにメンテナンス面で懸念を示されました。照明機器の交換の度に高所作業車を用意せねばならず、いくら器具が安くても非常に高い工賃がかかってしまうからです。
そこで当社は設計者と協力し複数の代替案を提案しました。
様々な照明メーカーの製品を照度や価格、耐用年数はもちろん、光束範囲も踏まえた具体的なレイアウトと台数、照度分布を比較しました。その比較では「単体のイニシャルは安いが、耐用年数が短く、台数が多いのは交換が大変だ」という意見や、「光束範囲は広いが照度ムラが大きく不快に感じるのではないか」等、様々な観点で議論がなされました。
結果的にはイニシャルコストは多少高めでも、耐用年数が長く台数が少なく済む照明器具がライフサイクルコストの点で優れているとして採用されました。
このようなVEの取組の中で重要なのは複数案を比較することです。
そして、もっと重要なのは「何故その機能が必要なのか」、「何を目的にその機能が必要のか」、「最も重きを置くのは何か」、つまり「建設目的」を明確にすることです。
上述の照明器具の比較検討では事業継続が目的でしたので、ライフサイクルコストを重要視されました。しかし、別のお客様には「建設費を抑えることが何よりも重要で、ランニングコストは工夫次第で削減できる」とお考えになる方もいらっしゃるでしょう。
または、「まとめて交換する方が楽で安上がりだから、5%の照明器具がダメになっても照度を確保できるよう建設費は高くなっても多めに設置しよう」と考える方もいるかもしれません。
その違いは目的の違いから来るものです。様々な観点での意見が出て判断を迷う場面では、この"建設目的"が明確であればあるほどプロジェクトは成功に近づくことができます。
はじめに紹介したコストオン発注の事例では、コストと責任区分管理のどちらをとるかという比較、防音壁の事例ではコストと責任に加え、設計手間とその費用負担も絡んだ比較の検討になります。それぞれの結果は前述のとおりですが、建設目的が異なれば違う結果になっていたでしょう。
VEの大原則は品質を落とさずにコストを削減することです。しかし、コスト削減に注目するあまり、本来の建設目的を忘れてしまい気付かぬうちに品質を落として失敗したケースをよく耳にします。
今回ご紹介したように、発注方法を工夫するだけでコストを大幅に削減できる場合もありますし、本来の目的に立ち返ることでライフサイクルコストの削減につながった例もあります。VEは技術ですから、専門家に任せればいくらかのコスト削減提案はでてくるでしょう。しかし、それを取捨選択するのは事業主の皆様です。
VEの提案内容や採択判断が建設目的に照らして適切なものか、プラスPMでは「お客様の立場に立ち」検証・選択の支援を行います。もちろん、プラスPMは建築に特化した技術者の集まりですからVEをご提案するところからでもご支援可能です。
生産工場・物流施設の建築コストにお悩みの際には、ぜひ一度わたくしたちにご相談ください。
当社コンサルタントによる初期ヒアリングは無料です。まずはお客様のご要望をおうかがいいたします。