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【前編】物価上昇による建設費高騰にどう対処するか -追加費用を求められた時のポイント-

現在、日本全国で様々な物品の価格上昇が起こっています。

同様に建設費についても、過去に経験したことのない急激な上昇が起こっており、全国の建設プロジェクトで関係者全員がその対処に追われている状況にあります。

本コラムでは物価上昇の状況や要因を改めて振り返るとともに、実際に追加費用が発生した際にどのように対応するか、また今後契約を締結する際にどのような点に注意しなければならないか、それらのポイントをまとめたいと思います。この記事が、皆様の一助となれば幸いです。

建設費高騰の現状

国はどう捉えているのか

最初に、建設費高騰の状況を把握する必要があります。まずは、国がどのように今の状況を捉えているのかをまとめていきたいと思います。

建設費高騰に関して、国は様々な通知を出しており、国土交通大臣からも公式な発言が度々でています。その内容は一貫して「労務費、原材料費、エネルギーコストなどの取引価格を反映」した工事費を設定することや、「適正な請負単価の設定や適正な工期の確保」を発注者側に求めるものです(1)。その対象は公共事業だけでなく、民間事業も同様です。

これは、国が発注者の官民を問わず、建設費の上昇を適切に反映させた予算を確保し、その価格で工事請負契約を締結するように求めていることを示しています。

1パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化に関する事業者団体に対する要請(国土交通大臣通知<2021.12.27>)

建設費の推移を把握するための指数

建設費の推移を把握する事は、建設事業を行うすべての人に必要なことであり、様々な団体から多種多様な指数が発表されています。その中で、当社が特に重要だと考えている指数が2つあります。

1つは国土交通省が毎月発表している「建設工事費デフレーター」です。これは国土交通省が、消費者物価指数(総務省統計局)や企業物価指数と企業向けサービス価格指数(日本銀行)、毎月勤労統計調査における賃金指数(厚生労働省)などを基に算出しており、公共事業・民間事業を問わず建設費上昇の根拠指数として採用されています。この指数を基に建設費の動向を見てみると、例えば過去3年で、約8~10%程度建設費は上昇していることになります。

bukka1.jpg

もう1つの指数は、(一財)建設物価調査会が毎月発表している「建設費指数 」です(2)。この指数は、民間事業はもちろん、公共事業においても根拠指数として採用されていることがあります。この指数を基に建設費の動向を見てみると、例えば2019年の月平均から2022年11月の過去3年で約10~16%程度、建設費は上昇していることになります。

2建設費を構成している各種工事の費用(例えばコンクリート工事、鉄骨工事など)について、実際にどのような価格で取引されているのかなどを考慮した上で、その上昇・下降状況などを基に算出

この建設物価調査会が「建設費指数」とともに発表している「建設物価指数」の推移をもう少し見ていくと、現在起こっている建設費の高騰が、いかに前代未聞の状況かがわかります。

例えば、2011年の指数を100とした場合、この30年の間で最も建設資材価格が低くなったのは2003年頃で、指数としては91.1でした。その後の2005年の愛知万博やいざなみ景気と呼ばれている好景気に支えられ、2008年のリーマンショックまで建設資材は高騰を続けました。2008年時点の指数は102.6ですので、6年間で約12~13%上昇したことになります。一方、現在の建設資材価格高騰は2020年頃から始まっています。2020年の指数が108.6程度、現在の指数は134.8ですので、3年間で20%以上上昇したことになります。現在の建設資材価格高騰が、いかに急激に起こっているかがよくわかると思います(3)。

bukka2.jpgこれらの指数は、建設費の推移を、第三者性を確保しながら把握できるというメリットがあり、皆様の実際の建設事業における予算設定や、工事価格の交渉などに用いることができます 。

一方で、これらの指数はあくまでも一般的・平均的な建設事業における建設費を捉えているので、必ずしも皆様の建設事業に完全にフィットする訳ではないことに注意が必要です。また、いずれの指数についても、実際に起きている現象を分析し検証して算出されるため、実際の建設費上昇と数か月単位でのタイムラグが生じる点にも注意が必要です。

3 建設物価調査会における建設資材物価指数のうち、建築部門の年平均を基に記述

業界団体による調査

建設工事においては、工事請負契約を締結した時点ではゼネコンは各工事の発注を行いません。工事が進捗するにしたがって、各時点で必要な資材や職人を順次発注していくのが一般的です。よって、ゼネコンからすれば 、特に工事請負契約をすでに締結している場合、契約時に見積もっていた工事金額に比べ、実際に下請け業者に発注する金額が大幅に高くなってしまう、という事態が多発することになります。

これを受けていわゆるゼネコンの業界団体である(一社)日本建設業連合会が「建設資材高騰・品不足にかかる要望」という文書を2022年4月に発表しました。

この文書によると、この1~1.5年程度の間で幅広い建設資材・材料などにおいて、価格が高騰していると報告があります。例えば、建設資材の内、鉄筋の1種(異形棒鋼)で約180%、鉄骨(H型鋼)も種類によっては約160%、コンクリートを固めるための型枠(合板)については約180%になっていると記載があります。

また、価格高騰とともに品不足も深刻で、資材納期の遅延から建設工事の工期にも影響がでていると記載があります。

建設物価高騰の要因

では、なぜ建設物価は高騰しているのでしょうか。その要因についてまとめていきます。

新型コロナウイルス(Covid-19)による生産・供給の制約

現在の建設資材は世界的な生産・流通網を通して供給されています。世界での感染者の増大にともなってその生産・流通網が麻痺し、また日本国内でも同様の事態が起こったことで、建設資材の供給に制約がかかりました。

世界的な物流のひっ迫・停滞

上記新型コロナウイルスの影響と2019年頃に激化した米中貿易摩擦により、輸送運賃(海上・航空ともに)が上昇し、輸送費上昇に合わせて輸入が必要な建設資材が高騰しました。
これら世界的な物流のひっ迫と停滞が日本における建設資材高騰の要因にもなっています。

世界的な半導体不足

昨今の自動車は電気を動力として走行するものが増加しています。結果、自動車生産に半導体が必要となり、世界的に半導体需要が高まりました。

建設資材でも、特に建築設備関連の機器には半導体が必須で、照明機器や空調機、キュービクル、給湯器、シャワートイレなど、影響は多岐に及びます。それらの機器の生産量が半導体不足により制限され、需要量を大きく下回ることで、結果として資材価格の高騰と納期の遅延を引き起こしました。

建物に求められる環境性能向上によるコストの上乗せ

建設事業に求められる環境性能はどんどん高まってきています。省エネ省CO2はもちろん、ZEB (Net Zero Energy Building )をはじめ高性能認証の取得を目指す事業も多くなっています。

それら建物に求められる環境性能の向上は、イニシャルコストの高い高効率機器の採用を促し、また創電設備の導入につながります。これも従来よりも建設事業費が高まっている要因の1つと考えられます。

ロシア・ウクライナ危機

2021年3月から現在にいたるロシア・ウクライナ危機は、天然ガスをはじめとする一次エネルギーやレアメタルなど、建設資材の生産や工事自体に必要な一次生産品のひっ迫を招きました。

これによる建設費高騰や品不足も、日本における建設費高騰の要因の1つとなっています。

(つづく)


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