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生産工場・物流施設

環境に配慮した工場を建設するにはどうすべきか


近年、生産工場建設が増加傾向にあります。事実、半導体関連の工場が多く計画されており、昨年度(2022年度)は大手ゼネコンの生産工場建設受注が大幅に上昇傾向にありました。
当社でも生産工場の建設支援に関するお問合せが増えてきており、実際に基本計画策定、建替計画(ローリング計画)、建設費高騰対策、施工者選定など、様々な課題の解決を支援しています。

最近の工場建設事例を見ていると、"環境配慮による社会的評価の向上"がキーワードの1つになっている様に感じます。省エネルギー化によるランニングコスト削減はもちろんのこと、省CO2や再生エネルギーの利用、環境評価指標の達成など、環境に配慮した工場建設をプレスリリースすることで、ESG※1に関する企業の社会的評価向上にもつながります。また、同時により良い労働環境の整備を考えることで、働き手確保の面でもプラスに働くことになるでしょう。
そのような背景から、今回は生産工場の省エネをメインに環境配慮について、お話をさせていただきます。

※1 ESG:企業の長期的・持続的な成長のために、環境(Environment)や社会(Social)への配慮・取り組み、企業統治(Governance)の向上が重要だという考え方

生産工場における現状

環境配慮と聞いて、まず思い浮かぶのは省エネではないでしょうか。特に、一定規模の事業者様は常々、省エネ法に伴うエネルギー管理を実施されていると思います。省エネは光熱費や施設管理費等の経費削減につながり、事業収支にも直結します。昨今のエネルギーコストの高騰下においては、その影響は特に大きくなってきています。

1.生産工場に関わるエネルギー消費量

経済産業省資源エネルギー庁の『エネルギー白書2023』によると、1973年度から2021年度までの48年間で、製造業の生産額は約1.5倍に増加しています。その一方で、エネルギー消費量は約0.8倍まで低下しており、製造業全体では省エネを意識している傾向にあると言えます。しかしながら、国内でのエネルギーの約4割は製造業で消費されており、さらなる消費エネルギーの低減が期待されています。

製造業でのエネルギー消費は製造や加工プロセスにおけるものが主たる要因と考えられますが、施設内の空調や照明といった建物設備に係るエネルギー消費も大きな要因と想像できるため、省エネに配慮した建築・設備を計画することは重要です。長期間にわたり使用される生産工場だからこそ、建設計画時から省エネや環境配慮を長期的な視点(ライフサイクルの視点)で考えることが、更なるエネルギー低減につながると言えるでしょう。

2. ライフサイクルコスト(LCC)の目線

建設という大きな投資において、昨今の建設費高騰下ではイニシャルコストの低減が命題になります。一方で、過去のコラム記事ライフサイクルマネジメント(LCM)を考慮した建設計画を立てようでもご説明しましたが、その施設が寿命を迎えるまでのライフサイクルコスト(LCC)を把握することは、事業そのものの成功を左右する重要な要素になります。

そのため、建設費削減を意識しすぎて、建物完成後の光熱費や管理費等のランニングコストが著しく上昇するような計画は避けなくてはいけません。また、建設費をいたずらに削減しようとすると、作業環境の悪化や業務効率の低下等、建物の機能が損なわれる懸念があります。

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このライフサイクルの観点からバランスのとれた最適な計画に向けた助言をすることも、我々の支援内容の1つです。LCC効果を最大化するためには、トップランナー制度に適した高効率な機器、適切な設備システムの採用だけでなく、生産エリアの作業動線を最適化する、施設利用に合わせた平面プラン計画と照明の制御設備導入により点灯時間を抑制する、断熱性を上げて空調効率を向上する等、建設事業の初期段階で建築プランや建築性能について検討することが大切になります。

生産工場の省エネ化に向けて

1. 建築物の環境性能について


建築物を計画する際に色々な環境評価指標を目標として設定する必要があります。
現在一番耳にする評価指標は、BEI値を用いた『省エネ適判(建築物省エネ法)』や『ZEB(BELS)』ではないでしょうか。
BEI値とは計画建物(実際に建てる施設)のエネルギー消費量を定量的に評価する値です。計画建物のエネルギー消費量が基準建築物の消費量より小さいほどBEI値は小さくなり、省エネ性能の高い建物として評価されます。

BEI(Building Energy Index) = 設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量
※Ⅰ設計一次エネルギー消費量:設計時の想定消費エネルギー量(設置する設備により異なる)
※Ⅱ基準一次エネルギー消費量:室サイズ・室用用途ごとに設定された2013年基準の消費エネルギー量


「建築物省エネ法」とは、「省エネ法」から派生した法律で、建物を建設する際にはその建物のBEI値が基準値以下であるか適合判定されます。ここで一定の省エネ性能を有した建築物しか建設できません。省エネ適判・ZEBについては、以前のコラム病院建設で「省エネとZEB」を考えるときに最初に読む記事で詳しくまとめています。病院建設以外でも役立つZEBの情報を記述してありますので、ご興味のある方はこちらも一読いただけると幸いです。


一方で、BEI計算上の課題として、大きなエネルギー消費が考えられる生産エリアの空調や換気等の設備が計算対象外であることが挙げられます。これは、生産エリアの内容や構成が各工場の生産品や生産プロセスにより大きく異なるため、建物(室)仕様が規準化できないことに起因しています。また、BEI計算はあくまで計画上の値であり、実際の運用条件は反映されません。
つまり、建築の省エネを考える際には、評価指標等を参考に下記の2つを行うことが求められます。

  1. 建築物として省エネ性能の高い施設の計画
  2. 環境に配慮した施設運営

2.最近の省エネトレンド

年々環境への意識も高まり、設備も高度化が進んでいます。そのため、最新の工場事例では様々な環境配慮への取り組みが見られますが、今回はその中で特に気になるポイントをご紹介します。

①様々な環境評価指標の採用

既にZEBの話をしましたが、多様化が進む現在では環境評価指標は他にも多くあり、自社に適した指標が採用されます。例えば、エネルギー性能に限定せず総合的な環境性能を評価する指標(CASBEE、LEEDなど)の採用や、最近では「働き方、快適性、健康性」に焦点を当てた指標(WELL、CASBEE-ウェルネスオフィス等)の採用も増えてきています。企業理念に合わせて、施設の環境方針を定めることが重要です。

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②自然エネルギーの利用


前述したZEBを目指すうえでも、自然エネルギーを利用した創エネが必要になります。
創エネの代表例は、太陽光発電設備の導入です。FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)・FIP(売電価格に一定の補助額が上乗せされる制度)等の助成制度の普及も太陽光発電設備の導入増加に寄与しました。また、最近の大型の工場計画では、バイオマス発電や地中熱利用、グリーンエネルギー購入等、幅広い再エネ技術の採用も増えてきています。消費するエネルギーを削減する省エネだけではなく、自然エネルギーを用いた再エネ等によりエネルギーを創り活用することも重要な要素となっており、建設地、建設規模、建設費等に合わせた適切な設備システムの選定が必要です。

③見える化設備


次に"見える化設備"(施設のエネルギー状況をモニタリングし表示する設備)の導入です。
建築物をいくら環境に配慮した計画にしても、最終的なランニングコストは実際の運用状況に依存してしまいます。省エネ機器を採用しても、無駄に使用したり、適切な運用方法で使用しなかったりすれば、ランニングコストの増大は免れません。実際にどのようにエネルギーが使用されているのかを監視・管理することで、使用状況に無駄がないか、効率的設備運用が出来ないかを常に把握し、改善するための具体的な行動に移すことが出来ます。
また、管理者だけでなく実際に現場で働く方にも意識づけが重要です。モニタリングのデータを開示することは、各個人に省エネ対策への意識づけもでき、かつ目標に対するアプローチも明確になりますので、各個人の行動変容を促し、環境マネジメントの点でも有効に働きます。

プラスPMでの事例

1.CM会社として支援できること


実際に設計する各設計事務所や工事を行う建設会社は、過去の建設実績に基づくノウハウ・技術力を活かして、環境に配慮した計画提案や、環境に関する分析ツールや独自評価の採用等、各社が環境に対する取組みに力を入れています。工事中における環境負荷低減も技術力の1つです。
それらの取組みを前に、発注する側で重要となるのは、これから計画する生産工場の事業方針をどのようなものとするかや、技術や提案をどのような基準で選択するかになります。


我々は、適切に施設の方針設定を行い、プロジェクトにとって最適な設計事務所・建設会社をパートナーとして選定することを支援します。また、パートナーの選定後、設定した方針の実現に向けて、お客様の立場で計画・施工・運営の観点から助言をさせていただくことで、お客様の意思決定をご支援させていただきます。
留意点として、環境配慮を目指すことはイニシャルコストのアップに繋がる傾向があることが挙げられます。そのため、設備導入や建物性能等のコストアップと環境低減効果や社会的評価のアピール等の得られるメリットを適切に比較し、判断することが必要になります。その場合にも、我々は皆様が最適な判断ができるようにサポートを行います。

2.国内・海外の事例


当社では実際に、ZEBに関する助言・支援はもちろんのこと、CASBEE等のその他の環境評価に対しても支援を行っています。
さらに、国内だけでなく海外においても世界共通の環境評価指標や、各国独自に設定されたローカル指標があります。例えば、マレーシア、ベトナム、タイ、シンガポール等でも独自の環境指標があり、サスティナブルなサプライチェーンを検討する企業様においてもローカルの指標を選ばれている傾向にあります。その一例として、当社でもマレーシアの環境指標GBI(グリーンビルディングインデックス(Green Building Index))取得のプロジェクト支援をさせていただきました。
また、環境評価だけではなく、太陽光設備におけるPPA事業や、各種補助金の取得、健康オフィス・作業環境の構築等、お客様のニーズに合わせた環境への取組みについて、幅広い支援をしています。

まとめ


昨今、環境配慮や省エネルギー視点での経営も必要になってきています。目先の建設費削減も重要ですが、省エネルギー化におけるライフサイクルマネジメント目線でコスト削減を図り、環境配慮をアピールすることによる施設価値や企業価値の向上が重要になってきます。また、環境に配慮することは、施設の快適性を確保することと同義であり、作業環境や作業効率の向上にもつながります。
より良い施設の建設を実現し、その後の運営をプラスに変えることで、皆様のお力になれますと幸いです。


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