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PM/CM、建設コラム

本記事では、はじめて「建設プロジェクトの担当者」になった方へ向けて、「工場用地の選び方」について、できるだけわかりやすく解説しています。
なお、「工場建設全体の流れ」を確認したい方は、下記記事をご確認ください。
工場用地を選ぶ際は建設できるかだけでなく、完成後に安定して操業できるかまで見据えて判断しなければなりません。
自社の工場建設に適した土地を選ぶためのポイントは以下の7つです。
工場用地を選ぶ7つのポイント
それぞれについて詳細を解説していきます。
工場用地を選ぶ際は、予定している工場を建設できる土地かどうかを最初に確認する必要があります。
土地ごとに「建設できる工場の種類や建物の規模、接道条件などが定められている」ためです。
工場を建てられる立地か判断するために、主に以下の6項目を確認しましょう。
| 確認事項 | 確認場所・確認方法 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 用途地域 (建てられる工場の種類) |
|
自社の業種・用途の工場を建設できる地域かを確認する |
| 建ぺい率・容積率 (建てられる建物の大きさ) |
|
希望する建築面積・延床面積を確保できるかを確認する |
| 市街化区域・市街化調整区域 |
|
開発許可の必要性や建築制限の有無を確認する |
| 接道条件 (道路への接し方) |
|
建築に必要な道路への接道条件を満たしているかを確認する |
| 農地・農業利用の指定 |
|
農地転用の許可・届出や、農用地区域からの除外手続きが必要かを確認する |
| 盛土規制法 |
|
候補地が規制区域内か、予定する盛土・切土などの造成に許可が必要かを確認する |
確認する規制によって、自治体内の担当部署が異なります。
候補地ごとに各部署への確認結果と必要な許認可を整理し、比較できるようにしておきましょう。
なお、工場の規模・業種によっては工場立地法や環境関連法令などの確認も必要です。
地域未来投資促進法は、地域の特性を生かした事業を促進する法律です。
市街化調整区域や農地においても条件を満たせば土地利用の調整を進められる可能性があります。
経済産業省によると、地域未来投資促進法を活用した土地利用調整は2024年11月末までに全国56件、約230haで完了しています。
市街化調整区域や農地に該当する場合でも、最初から候補から外すのではなく、自治体の企業誘致・産業振興担当課などへ相談するとよいでしょう。
盛土規制法は静岡県熱海市で2021年7月に発生した大規模な土石流災害を契機に、従来の「宅地造成等規制法」を改正して施行された法律です。
工場建設では建屋や大型車両の動線を確保するため、土地を平坦にする盛土や切土が必要になるケースがあります。
そのため、候補地が盛土規制法の対象区域に含まれている場合は、申請手続きに時間がかかるので、造成工事に許可が必要かどうかを事前に確認しておくことが重要です。
参考:盛土規制法|国土交通省
工場用地を選ぶ際は現在の生産計画だけでなく、将来の設備投資や生産能力の拡大も見据えて、十分な敷地を確保できるかを確認することが重要です。
将来的に生産ラインの増設や倉庫の拡張などが必要になった際、敷地に余裕がなければ対応が難しくなるためです。
候補地を比較する際は、以下の点を確認しましょう。
| 確認事項 | 確認内容 |
|---|---|
| 将来の設備投資計画 | 将来の生産ラインや設備の増設に必要なスペースを確保できるかを確認する |
| 建屋の増築 | 工場や倉庫などを増築できる敷地の余裕があるかを確認する |
| 敷地内の動線 | 設備や建屋の増設後も、搬入・搬出や作業に必要な動線を確保できるかを確認する |
| 建築に関する法規制 | 建ぺい率・容積率などの制限を踏まえ、将来的に増築できるかを確認する |
| 敷地の拡張可能性 | 将来的に隣接地を取得し、敷地を拡張できる可能性があるかを確認する |
近年、国内の設備投資が活発化する一方で、企業のニーズに合う産業用地の不足が課題です。
2025年版中小企業白書によると、「企業の立地ニーズが高い地域では産業用地の開発が追いつかず、分譲可能な土地が不足している」とされています。
また、経済産業省の資料では、「数万坪規模の工場用地を確保できず、新工場の設立計画が難航した」事例も紹介されています。
そのため、工場用地を選ぶ際は、将来の増設用地を確保できるとは限らないことを踏まえ、生産ラインの増設や建屋の拡張まで見据えた敷地面積を検討することが重要です。
工場用地を選ぶ際は、必要なインフラを確保できるかも重要な判断基準の一つです。
候補地の周辺にインフラが整備されていても、工場が必要とする供給量を満たせるとは限らないためです。
候補地では、以下5つのインフラについて、必要な供給量を確保できるか確認しましょう。
| 確認事項 | 確認場所 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 電力 | 一般送配電事業者 | 高圧・特別高圧での受電が可能か、必要な受電容量を確保できるかを確認する |
| 用水 | 自治体の担当部署 | 工業用水・上水道の引き込みや地下水の利用が可能か、必要な水量を確保できるかを確認する |
| 排水 | 自治体の下水道担当部署 | 下水道へ接続できるか、浄化槽・排水処理設備が必要かを確認する |
| ガス | 地域の都市ガス会社 | 都市ガスを利用できるか、利用できない場合はLPガス等で対応できるかを確認する |
| 通信回線 | 通信事業者 | 光ファイバーなど、工場運営に必要な高速通信回線を敷設できるかを確認する |
近年、工場用地を選ぶ際は候補地で必要な電力を確保できるかを早い段階で確認することが重要になっています。
資源エネルギー庁によると、DXやAI活用の進展を背景に、データセンターや半導体工場の新増設、産業の電化などによって、今後は国内の電力需要が増加すると見込まれています。
そのため、候補地の周辺に送電設備があっても、工場が必要とする受電容量をすぐに確保できるとは限りません。
必要な設備の増強や工事に時間がかかる場合もあるため、土地を絞り込む段階で一般送配電事業者へ相談し、必要な受電容量を確保できるか確認しておきましょう。
工場用地を選ぶ際は、必要な量の工場用水を安定して確保できるかも重要なポイントです。
経済産業省によると、法定耐用年数40年を超えた工業用水道の管路は約50%に達しており、設備の老朽化による漏水や破損、断水のリスクが高まっています。
また、地域によっては渇水時に給水制限が行われることもあります。
そのため、工業用水道が整備されている地域であっても、必要な水量を継続して確保できるとは限りません。 候補地を絞り込む段階で、工業用水道事業者や自治体に、供給可能量だけでなく、配管の整備状況や渇水・断水時の対応についても確認しておきましょう。
工場用地を選ぶ際は、原材料の調達や製品の出荷に支障のない物流アクセスを確保できるかも確認しておきましょう。
高速道路のIC(インターチェンジ)や主要道路へのアクセス、前面道路の状況などによって、輸送時間や物流コストが大きく変わるためです。
物流のしやすさを判断する際は、以下の点を確認しましょう。
| 確認事項 | 確認内容 |
|---|---|
| 高速道路(IC)からの距離 | ICや主要幹線道路までの所要時間を確認し、輸送時間・物流コストへの影響を比較する |
| 周辺の交通量 | 周辺道路の交通量や渋滞状況を確認し、輸送時間や搬入・搬出への影響を把握する |
| 前面道路の幅 | 使用するトラックが安全に通行・右左折できる幅員や道路形状かを確認する |
| 敷地内の動線 | 大型車両の入退場・旋回・待機・荷役に必要なスペースを確保できるかを確認する |
物流効率化法の改正により、2025年4月から荷主・物流事業者等には、荷待ち時間や荷役等時間の短縮、積載効率の向上などに取り組むことが努力義務となりました。
さらに2026年4月からは、一定規模以上の荷主が「特定荷主」に指定され、中長期計画の作成や定期報告、物流統括管理者の選任などが義務付けられています。
そのため、工場用地を選ぶ際も、単に高速道路や主要道路へアクセスしやすいかだけでなく、「敷地内でトラックの待機場所や荷役スペースを確保できるか」「スムーズに搬入・搬出できるか」といった視点も大切です。
工場用地を選ぶ際は、「地盤・土壌の状態」や「洪水・地震などの災害リスク」を確認することが重要です。
軟弱地盤や土壌汚染があると追加費用が発生するほか、災害によって長期間の操業停止につながる可能性もあるためです。
候補地の地盤・土壌の状態や災害リスクを確認する際は、以下の項目を確認しましょう。
| 確認事項 | 確認方法 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 地盤 | 国土交通省「KuniJiban」、地盤調査など | 軟弱地盤の可能性を確認し、地盤改良や基礎工事に追加費用がかからないかを確認する |
| 土壌汚染 | 土地の利用履歴、自治体の土壌汚染関連資料など | 過去の土地利用による土壌汚染の可能性を確認し、調査・対策費用が発生しないかを確認する |
| 洪水・浸水 | 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」内の「洪水ハザードマップ」など | 想定浸水深や浸水継続時間を確認し、生産設備・受変電設備などへの影響を評価する |
| 内水氾濫 | 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」内の「内水ハザードマップ」など | 浸水想定区域や想定浸水深、過去の浸水実績を確認する |
| 土砂災害 | 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」内の「土砂災害ハザードマップ」など | 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)・特別警戒区域(レッドゾーン)に入っていないかを確認する |
| 地震 | 「J-SHIS地震ハザードステーション」内の「表層地盤」 | 「地盤増幅率」を活用し、他候補地同士で比較検討する |
| 火山 | 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」内の「火山ハザードマップ」など | 火砕流・溶岩流・降灰などの影響が想定される区域を確認し、工場設備や操業への影響を評価する |
| 液状化 | 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」内の「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」 | 発生傾向図の色を確認し、特に紫・ピンクの区域は詳細な地盤調査を検討する |
近年は短時間に大量の雨が降るケースや都市部の舗装化などを背景に、「内水氾濫」のリスクに注意が必要です。
内水氾濫とは、大雨で下水道や側溝に雨水が流れきらず、道路や敷地に水があふれてしまうことです。
工場では生産設備や受変電設備が浸水すると、浸水深が浅くても操業停止につながるため、内水氾濫まで含めた水害リスクを想定しておきましょう。
参考:内水氾濫|国土交通省
工場用地を選ぶ際は、南海トラフ巨大地震などの大規模地震による被害も想定しておく必要があります。
2025年3月には、内閣府が南海トラフ巨大地震の新たな被害想定を公表しました。
最大クラスの地震・津波が発生した場合、最悪のケースで死者約29.8万人、全壊・焼失する建物約235万棟、資産等の被害約224.9兆円と想定されています。
工場では建物自体に大きな被害がなくても、液状化や津波、停電、断水、道路の寸断などによって操業を続けられなくなる可能性があります。
そのため、候補地を比較する際は、地震の揺れやすさだけでなく、液状化や津波のリスク、周辺インフラが被災した場合の影響まで確認しておきましょう。
参考:防災情報のページ|内閣府
工場用地を選ぶ際は、必要な人材を確保しやすい地域かどうかも判断基準になります。
人材の確保しやすさは周辺人口に加え、採用競争や通勤アクセス、必要な技能を持つ人材の有無などによっても変わります。
人材を確保しやすい地域か判断する際は、以下の点を確認しましょう。
| 確認事項 | 確認方法 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 周辺の生産年齢人口 | e-Stat「国勢調査」 | 周辺地域の生産年齢人口(15~64歳)を確認する |
| 必要な技能を持つ人材 | 厚生労働省「job tag」、ハローワーク、求人情報など | 必要な職種・技能を整理し、地域で人材を確保できるかを確認する |
| 周辺企業との採用競争 | 周辺企業や求人情報など | 近隣に工場・物流施設などが集中していないか、同職種の求人状況などを確認する |
| 通勤アクセス | 地図・公共交通機関など | 駅や住宅地からの距離、公共交通や自動車での通勤のしやすさを確認する |
| 外国人の受け入れ | 周辺の住居・交通・生活環境など | 住居・通勤・日本語学習・生活支援など環境が整っているかを確認する |
人材確保において近年注目されている制度として、2027年4月1日から始まる「育成就労制度」があります。
育成就労制度は従来の技能実習制度を見直し、外国人材の「育成」と「人材確保」を目的として新たに設けられる制度です。
今後、育成就労制度の対象分野において外国人材の受け入れを検討する工場では採用できる人材の数だけでなく、候補地周辺の住居や通勤手段など、外国人材が働きやすい環境についても確認しておくとよいでしょう。
工場用地を選ぶ際は、工場を建設できる土地であっても、操業によって周辺環境に影響が生じないかを考慮する必要があります。
特に住宅が近いと、振動・騒音・臭いなどの「住工混在リスク」が生じる可能性があるためです。
周辺環境に問題がないか判断する際は、以下の点を確認しましょう。
| 確認事項 | 確認方法 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 近隣住宅 | 地図・現地確認など | 工場と住宅との距離や位置関係を確認する |
| 学校・病院などの施設 | 地図・現地確認など | 周辺施設の位置や操業による影響を確認する |
| 騒音・振動 | 自治体の条例・規制基準など | 操業時に地域の規制基準を満たせるかを確認する |
| 排気・臭気 | 製造工程・周辺環境など | 工場から発生する排気・臭気と住宅等との位置関係を確認する |
| 周辺道路 | 現地確認など | 大型車両の通行による騒音や交通への影響を確認する |
| 河川の状況 | 自治体の河川・排水関連資料、現地確認など | 周辺河川の位置や工場排水の放流先を確認し、水質への影響や下流域での氾濫リスクが増大する可能性を把握する |
| 都市計画マスタープラン | 各自治体 | 将来的に工業・住宅・商業などの土地利用方針が変わる可能性がないかを確認する |
| 立地適正化計画 | 各自治体 | 周辺が居住誘導区域や都市機能誘導区域などに指定されていないかを確認する |
工場用地を選ぶ際は、住宅と工場が混在する「住工混在リスク」に注意が必要です。
特に準工業地域や工業地域では住宅も建設できるため、現在は住宅が少なくても将来的に増える可能性も考えられます。
実際に東大阪市では、工業地域・準工業地域で住宅を取得・賃借する人に対して、近隣の工場の立地状況や公害関係の規制基準など事前に説明する取り組みを進めています。
そのため、「都市計画マスタープラン」や「立地適正化計画」など自治体が公表している資料を確認し、将来的に住宅地が広がる可能性まで確認しておくことが重要です。
工場用地を探す主な方法は、以下の4つです。
| 探し方 | 概要 |
|---|---|
| METI土地ナビを利用する | METI土地ナビは、経済産業省が提供する工業用地を含む産業用地の情報サイトで、全国の自治体から提供された工業用地を検索できる。 |
| 自治体に相談する | 自治体の産業立地課や企業誘致担当部署などに相談すると、地域の用地情報や企業誘致に関する情報をまとめて確認できる。 |
| 不動産会社に相談する | 不動産会社への相談は、公開物件だけでなく独自に把握している工場用地の紹介や、所有者との価格交渉や売買契約までサポートしてもらえる。 |
| 建築業者・専門家を活用する | 希望する候補地に工場を建てられるか、用途地域や法規制だけでなく建物の配置・地盤・インフラなどを踏まえて確認できる。 |
上記のように工場用地の探し方は、それぞれで得られる情報が異なります。
そのため、1つの方法だけに絞らず、複数の方法を組み合わせながら候補地を絞り込んでいくとよいでしょう。
工場用地は法規制やインフラ、物流、災害リスクなどを確認したうえで、実際に計画している工場を建設できるか、事業予算に収まるかまで含めて判断することが重要です。
プラスPMでは候補地の条件だけでなく、建物の配置や必要な設備、建設費なども踏まえて、候補地が工場計画に適しているかを検証します。
「複数の候補地をどのように比較すればよいかわからない」「土地を取得する前に工場計画の実現性を確かめたい」といった場合は、ぜひプラスPMへご相談ください。
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